原水禁大会 2023年、被爆78周年原水禁世界大会、2023年、原水禁大会
被爆の実相継承こそが唯一の「核抑止力」 「被爆78周年原水爆禁止世界大会・広島大会」まとめ集会
2023年08月07日
「被爆78周年原水爆禁止世界大会・広島大会」最終日の8月6日、広島市・県民文化センターでまとめ集会を行い、広島大会で議論し、確認した内容を参加者のみなさんと共有しました。
まとめ集会では「ヒロシマ・アピール」に加え、山口・上関への使用済核燃料中間貯蔵施設建設の動きに対する「特別決議」を採択しました。このあと7日から長崎大会が開催予定です。現在、台風が接近していますが、その動向に注視しています。今後の開催スケジュールについては適宜このウェブサイトにてお知らせいたしますので、引き続きのご協力をよろしくお願いいたします。
【被爆78周年原水爆禁止世界大会・広島大会】まとめ集会
被爆78周年原水爆禁止世界大会・広島大会「ヒロシマ・アピール」
1945年8月6日午前8時15分、広島に投下された原子爆弾は、強烈な「熱線」、「爆風」、「放射線」のもと、その年の内に14万人もの生命を奪い去りました。あの日から78年、被爆者の高齢化は進み、限られた時間の中で、被爆2世・3世も含めた援護対策の充実と国家の責任を明確にすることが急務となっています。
ロシアによるウクライナ侵攻から1年5ヵ月以上が経過し、今なお多くの生命が奪われています。この侵攻では核施設が標的となり、核兵器の使用や威嚇発言も繰り返されるなど、核被害の危険性がかつてなく高まっています。平和の実現のために、外交努力による即時停戦をさらに強く希求していきます。
2023年5月19日から5月21日にかけてG7広島サミットが開催されました。岸田首相がこだわった被爆地広島での開催でしたが、サミットで出された「核軍縮に関する広島ビジョン」は核廃絶どころか、核兵器禁止条約や核兵器の先制不使用宣言にも全く言及されておらず、核による抑止力と北大西洋条約機構の核共有を正当化しただけの許しがたいものでした。
核兵器を所持することが核抑止になることは絶対にありません。被爆の実相こそが、核兵器使用を思いとどまらせてきた最大で唯一の核抑止力であるということを、改めて強く社会に発信していく必要があります。
そして、これからも「核と人類は共存できない」ことを基本に核兵器廃絶への動きを前進させなければいけません。
2022年12月16日に政府は安全保障関連3文書を改定しました。これは沖縄を中心とした南西諸島を戦場にする恐れがあるものであり、これまでの日本の専守防衛を逸脱した軍拡と改憲をさらに助長する危険な状況となっています。
外交努力による国際社会の平和の構築こそが日本国憲法のめざす理念であり、軍備拡大政策を進める岸田政権に反対の声を上げ続けていきます。
東日本大震災・福島第一原発事故から12年が経過しましたが、いまだに「原子力緊急事態宣言」も解除できず、原発事故の「風化」も懸念されています。この中で、政府は放射能汚染水の海洋放出を強行しようとしています。関係者や近隣周辺国からも反対の意思が示されており、海洋放出を断じて許してはなりません。政府が「原発60年超の運転」を可能とするなど、原発回帰を鮮明にするなか、山口県上関町では中国電力と関西電力が使用済燃料の中間貯蔵施設を建設する方針を示しました。私たちはこれからも全ての原発の廃炉と再生可能エネルギーへの転換を強く求めていきます。
原水禁運動の原点は被爆の実相です。しかし、子どもたちに核のない未来を実現するためには、若い世代の積極的な平和運動と、被爆の実相をつなげて、次世代へと継承していかなければなりません。
未来ある子どもたちに、「核も戦争もない平和な社会」を届ける取り組みと、次世代への継承を全力で進めていきましょう。
ノーモア・ヒロシマ、ノーモア・ナガサキ、ノーモア・フクシマ、
ノーモア・ウオー、 ノーモア ヒバクシャ
2023年8月6日
被爆78周年原水爆禁止世界大会・広島大会
上関町「中間貯蔵施設」建設中止を求める特別決議
中国電力は、8月2日、原子力発電所の使用済み核燃料を一時的に保管する中間貯蔵施設について、山口県上関町に建設を検討していることを明らかにした。
上関町では今から41年前の1982年、原発建設計画が表面化した。計画は、地元住民の合意がない中で強引におし進められようとしたため、原発予定地の対岸わずか3.5kmにある祝島島民や地元住民をはじめとした広範な人たちが、先祖から受け継いできた命や生活、ふるさとを守るために根強い反対行動、抵抗闘争を今も続けている。
原発建設計画を巡っては、2009年に敷地造成の準備工事が始まったものの、2011年に起きた福島第1原発事故を受けて、上関現地での埋め立て工事は中断したままとなっている。
原発事故後、上関町では、高齢化と過疎化が進む町の将来に不安を抱える中、原発建設に賛成・反対の立場の垣根を越えて、町おこしにとりくんできた。しかし、今回の中国電力による中間貯蔵施設建設計画の表明により、再び町内に争いや対立が生まれようとしている。
中国電力が建設検討を表明した中間貯蔵施設は、使用済み核燃料を「一時的に」保管する施設であり、その場しのぎの対策である。これは、国が進める核燃料サイクル政策において、最も重要な六ケ所再処理工場が現在も完成していないため、増え続ける使用済み核燃料の新たな貯蔵施設が必要となったからに過ぎない。既に核燃料サイクル政策は破綻しており、今回の中間貯蔵施設の建設は、問題の先送りとしかならず、極めて無責任と言わざるを得ない。
こうした状況にあるにも関わらず、国は原発の再稼働を進め、次世代に「負の遺産」となる使用済み核燃料を、将来にわたって作り続けようとしている。
今、必要な政策は中間貯蔵施設の建設ではない。直ちに原発を停止し、これ以上使用済み核燃料を作り出さない政策が必要である。そして上関町では、そもそも原発建設の中止が望まれる。
未来の社会を生きる今の子どもたちが、これからも安全で安心に、ごく普通に暮らすことができる社会を残すことが、今の私たちの責務である。そのために、一刻も早い脱原発社会の実現と、上関町の中間貯蔵施設建設中止に向けて全力でとりくむ。
以上決議する。
2023年8月6日
被爆78周年原水爆禁止世界大会・広島大会