2019年、ニュース、声明申し入れ
関電幹部らの原発に関連した金品授受に抗議し、全原発での厳密な調査を要求する(声明)
2019年09月29日
関電幹部らの原発に関連した金品授受に抗議し、
全原発での厳密な調査を要求する(声明)
関西電力の八木誠会長、岩根茂樹社長ら20人が2011年~2018年の7年間で3億2千万円にも上る多額の金品を、関電の原子力発電所が4基立地する高浜町の森山栄治元助役(故人)から受け取っていたことが明らかになった。原発工事の関連会社が資金を提供していたという。関電は、発電量の6割近くを原子力発電に頼っていた。2011年3月の福島第一原発事故以降原発を稼働できない中にあって、電気料金を値上げして市民負担を強いる一方で、このような不当な利益を得ていたことは、市民感覚としても許すことはできない。
「不適切だが、違法な行為はない」との岩根社長の言葉は、利用者である市民を愚弄するものに他ならない。ここまで多額になれば、特別背任罪とも言える。外部の税務調査がなければ、この問題は闇に葬られていたのではないか。問題が発覚し社内の調査委員会が結果をまとめても、報道されるまで1年にわたって公表しなかった。関電のコンプライアンスの欠如には、あきれてものが言えない。電力産業は公益事業であり、ゆえに様々な税金が投入されている。このような企業が公益事業を担い原発を動かす資格などない。金品を受領した20人全員の遡っての辞任を要求する。
記者会見で岩根社長は、受け取った金額が20人で3億2千万円と明らかにしたが、様々な疑問には「個人のことなので回答は差し控える」と述べた。原発マネーの還流はないと強弁するが、そもそも原発に関わる地元企業の不正な金が、原発立地に深く関わってきた地元自治体の助役を通じて、関電幹部に流れたものである。原発マネーではないという詭弁は通用しない。「見返りはない。発注も適切だ」というが、誰が信じるのか。社会福祉事業なら理解もするが、見返りがなくて3億を超す金品を電力会社幹部に贈ることは市民の理解を超えている。一度は受け取りながら「返せるものは返したとしているが」全額とは言っていない。個人管理の中で使い込みはなかったのか、返却は発覚してからか、額も時期も明らかにしていない。関電の社会的立場を理解した発言とは思えない。
岩根社長は、社内の調査委員会の報告書を「個人情報が入っているので公表しない」とした。それでは、関電の責任を果たすことはできない。全てを明確にすることを強く望む。また、高浜原発以外の調査は現時点ではしていないとし、遡っての調査も実施していないとしている。岡田達司常務は「今後の検討」としたが、全ての原発に関わって調査することを強く要請する。
菅義偉官房長官は「不透明な形で長年にわたり金品を受領していたのは大変な問題だ」と発言しているが、経済産業省を中心とした監督官庁に責任はないのか。原発立地には、多額の資金が動くと言われてきた。これまで原発立地地域や立地予定地域でも度々問題とされ、不透明な金にまつわる話は枚挙にいとまない。全ての原発立地においてこのような事例がなかったか、しっかりと調査をするのが政府の責任ではないのか。原発メーカー、電力会社、大手建設会社や地元企業、そして地方自治体に広げた厳密な調査を要求する。
原発立地の地元理解は利益誘導によって進められてきた。原発が存在する限り、これからもこのようなことが繰り返されるだろう。脱原発は、安全の問題だけではなく、民主主義の問題でもあることを、今回の事件は象徴している。脱原発の運動は、平和と民主主義を守ること、原水禁はしっかりとそのことを踏まえ、今回の事件への追及の手を強めていく。
原水爆禁止日本国民会議
議 長 川野 浩一