2019年、分科会報告、原水禁大会、原水禁大会 2019年
広島大会 第1分科会 平和と核軍縮Ⅰ─沖縄で何が、起きているのか
2019年08月05日
被爆74周年原水爆禁止世界大会 広島大会
第1分科会 平和と核軍縮Ⅰ─沖縄で何が、起きているのか
日時:8月5日(月)9:30~12:30
会場:ゲバントホール(広島市中区本川町2-1-13和光パレス21 5F/℡082-503-1711)
講師:北上田毅(沖縄平和市民連絡会)、湯浅一郎(ピースデポ共同代表)
◆初参加者は7割程度
○辺野古新基地建設は頓挫する
沖縄防衛局が2015年に行ったボーリング調査で、大浦湾には海面下90mに軟弱地盤が広がっていることがわかったが、政府は2019年1月の衆議院本会議で地盤改良工事の必要性を認めるまで3年以上にわたって軟弱地盤の存在を隠し続けていた。講師は、「辺野古新基地建設事業を左右させられることを避けるため、防衛局が意図的に隠ぺいし続けたものだと」指摘。
地盤改良工事の必要があるのは海面下90m、一方で国内に存在する作業船は海面下70m程度が能力の限界だが、政府や防衛局は「必ずしも固い地盤まで改良しなくてもよい。70mまでの改良でも問題はない」と主張する。講師は「関西空港では地盤沈下対策に5年間で1千億円もの巨費を投じて補修工事を行っている。辺野古には活断層もあり、軍事空港として運用する中で同じように維持工事はできないだろう」と疑問を示す。
また、「沖縄県知事も再三にわたって変更申請の承認は難しいと示唆している。知事が不承認とした時点で辺野古新基地建設事業は頓挫する」と指摘した上で「民意が示されるたびに強権な姿勢がエスカレートする。土砂が入るほど辺野古の回復は困難になる」とし、新基地建設計画の疑問と反対運動の強化を呼びかけ。
○生物多様性・非軍事から見て辺野古新基地建設に大儀なし
世界中の海生哺乳類の約33%が絶滅の危機にある中、沖縄ではジュゴンが激減している。防衛省が辺野古周辺で確認した3頭のジュゴンのうち1頭の死骸が2019年3月に今帰仁村の海岸に漂着しているのが確認され、残る2頭も少なくとも1年程度、生存が確認されていない。
埋立てのための土砂は、西日本各地の採石場から搬入する計画になっている。しかし、温帯気候である本州と亜熱帯気候である沖縄では異なる生態系であり、外来種の侵入が危ぐされる。砂杭用の海砂も沖縄だけでの調達は不可能で、本州から持ち込まれることが考えらる。海砂採取によって海底の砂に生息している貝などのすみかが奪われ、減少することで生態系や漁業にも影響を与えることが懸念されることから、瀬戸内海に面する多くの県では海砂採取を禁止している。
講師は「生物多様性・非軍事という観点から見て新基地建設事業は中止しなければならない。また、朝鮮戦争の終結や冷戦構造の解消に向かっていく中、北東アジアで米軍の役割を強化することにつながる新基地建設は時代錯誤。そうした議論になっていくはずだ」と期待を寄せるとともに、「本州の採石場で外来生物の実態調査や、気候帯の違う生態系の移動につながる物資の大量移動をさせない仕組みをつくる必要がある」とした。
会場からの質問
○沖縄の砕石メーカー13社のうち1社だけ独占させている、「政府が加担した『犯罪行為』について」。また、北東アジア非核地帯をつくることで、世論として「中国にやられるのでは」ということが出てくると思うが(大阪)
「桟橋を貸すことで反対運動等で迷惑をかけるから、単価を上積みしながら琉球セメント1社のみ独占させている。露骨な官製談合だ。」(北上田)
「『中国にやられる』等といった漠然とした感覚をなくしていくために、外交によって国際法的なものをつくっていくことが重要。」(湯浅)
○大浦湾の埋立ては本当にできるのか(千葉)
「砂杭の強度が足りない可能性がある。形の上では工事ができてもその後のことは誰も想像がつかないことが出てくるはず。」(北上田)
○沖縄県の対応の甘さもあるのではないか。情報の拡散・発信が少ないのでは(広島)
「県政の柱が辺野古新基地建設反対なのであれば、そのことにつながる一切の事業の許認可については毅然とした対応を求めなければならない。沖縄も少数の活動家で取組んでいる中、全国から支援に来てくれる人達も年々減ってきている。運動も沖縄だけの負担にならないよう、引き続き支援をお願いしたい」(北上田)