2014年分科会報告原水禁大会原水禁大会 2014年

長崎大会第1分科会 再稼働問題と日本のエネルギー政策

2014年08月12日

長崎大会第1分科会
脱原子力1 ―再稼働問題と日本のエネルギー政策

長崎第1分科会.JPG

(1)海外ゲスト報告 イ・ヨンヒ(韓国 カトリック大学社会学科教授)
・韓国では現在、23基の原発が稼働中。5基が建設中。
・低・中レベル核廃棄物処分場の場所は決定したが、高レベル核廃棄物の管理という問題をかかえている。
・高レベル核廃棄物の管理について、一般の人々も含めた社会的対話を通して決定することを決めたが、原子力界の専門家に委ねるべきだと方針転換された
・政府は使用済み燃料の再処理についても発言している

(2)講演 吉岡斉(九州大学大学院比較社会文化研究院教授)
・福島原発事故を契機として、政策転換への動きが始動した。エネルギー・環境会議では「原発に依存しない社会の実現」という方針が掲げられ、「2030年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入すること」がうたわれた。
・自民・公明の連立政権となり、逆コースをたどりつつある。官庁主導で審議が進められ、政府審議会の委員の大半が原子力発電に好意的な人々で占められている。

(3)講演 西尾漠(原子力資料情報室共同代表)
・2014年3月、原子力規制委員会は川内1・2号の優先審査を決定した。7月からパブリックコメントを求めているが、科学的・技術的意見に限定している。しかし、これにとらわれる必要はない。住民避難計画の非現実性も含め、誰も安全を保証しない体質を問題にすべきだ。
・再稼働を許せば、「事故の危険性」「高レベル核廃棄物の増大」等、問題をより深刻化させることになる。

各地報告として、福島、青森、鹿児島、佐賀から原発再稼働の動きと現地の闘いが報告された。
まとめとして次のことが確認された。
・原発が担っていた20~30%の電力量は、今後は人口減少とものづくりからサービス産業へのシフト変更による総電力使用量の自然減、企業や国民一人一人の省エネにより補う必要がなくなっている。また日本は再生エネルギーをうみだす潜在能力を持っている。よって、脱原発社会とエネルギー政策の転換は実現可能だ。
・「科学技術的問題は専門家に委ねるべきだ」という方針の韓国政府と日本政府の姿勢は共通している。再稼働問題と日本のエネルギー政策は国民の生活に密接する問題だからこそ、国民全体で議論していくことが大切だ。
・原水禁運動を若い世代に継承していくことも大切だ。

(報告=静岡・吉田明生)

 

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