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原水禁世界大会「川内原発の再稼働に反対し、脱原発社会をめざす決議」
2014年08月09日
川内原発の再稼働に反対し、脱原発社会をめざす決議
2011年3月11日の福島第一原子力発電所事故から3年余り経ったにもかかわらず、事故原因すら解明されないまま、労働者被曝の増大や累積する汚染水の処理など困難な問題が山積し、事故の収束の見通しは立っていません。今なお13万人を超える住民が避難生活を強いられています。放射能の影響や避難生活のストレスなどから、子どもたちをはじめ多くの住民の健康被害も懸念されます。
安倍政権は、民主党政権が国民的意見を踏まえて決めた「2030年代の原発稼働ゼロ」をめざす政策を覆し、原発を重要なベースロード電源と位置づけ、原発推進を鮮明にした「エネルギー基本計画」を今年4月に閣議決定しました。
安倍政権が原発回帰を明確にする中、福井地裁は今年5月、「極めて多数の人の生存権と電気代の高低の当否を判断すること自体許されない」、「豊かな国土に国民が暮らしていることを取り戻せなくなることが国富の喪失だ」としました。憲法が規定する個人の生命、身体、精神および生活に関する利益(人格権)に言及し、「大きな自然災害や戦争をのぞくと、人格権を広汎に奪う事態が想定されるのは原発事故以外に想定できない」と断じ、関西電力に大飯原発3、4号機の運転差止めを命じる判決を下しました。
しかし、九州電力川内原発は、原子力規制委員会の優先審査方針を受け、7月16日に新規制基準に適合するとする審査書案が発表されました。田中俊一原子力規制委員長は、新しい規制基準の適合審査は「安全性を保証するものではない」と発言していますが、菅官房長官は「原発の安全性は、規制委員会の判断にゆだねている。個々の再稼働は事業者の判断で決めること」として、国の責任を回避しながら、全国の原発のトップを切って再稼働させようとしています。
伊藤祐一郎鹿児島県知事は、病院や福祉施設にいる要援護者の避難計画は川内原発から10キロ圏内で十分で、30キロ圏内までは現実的でないと発言しました。30キロ圏内の施設などでの策定を求めた国の指針や県の計画を無視し、高齢者や障がい者、乳幼児なども含めた多くの要援護者を切り捨てようとしています。いかなる対策をも超えて発生する可能性のある苛酷事故に際して、実効性のある避難計画の策定は不可能です。また川内原発に係る断層評価や大規模火砕流のリスクは軽視されたままです。
原発が人の健康や生命を必ずや害すること、即ち「核と人類は共存できない」ことは明らかです。私たちは、川内原発再稼働の動きに反対して全力でとりくみます。あわせて全原発の廃炉と再処理からの撤退、核廃棄物の安全な処理の促進、再生可能エネルギー政策への転換を要求する諸行動をもって、脱原発社会実現へ向けたとりくみをより一層強めることを決議します。
2014年8月9日
被爆69周年原水爆禁止世界大会