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被爆69周年原水爆禁止世界大会・福島大会アピール

2014年07月27日

 被爆69周年原水爆禁止世界大会・福島大会アピール

 2011年3月11日の東日本大震災は、多くの人命と生活基盤を根こそぎ奪い取る未曾有の大災害となりました。この地福島では、さらに東京電力福島第一原発の重大事故による被害が加わりました。3年半近く経ったいまでも事故の収束の見通しはたっていません。東日本大震災の余震もいまだ続き、福島第一原発は、再び大量の放射能放出につながる危険性も残されています。原子炉建屋・トレンチ内の大量の放射性物質による地下水の汚染も広がり、その海洋への流出も明らかにされました。期待された多核種除去装置(ALPS)や凍土壁、地下水バイパスなどは十分に機能していない現実があります。現在も懸命に進められている事故収束作業は、今後何十年もの長期に亘ることが予想され、人類が経験したことのない被害、汚染との闘いが続きます。私たちは、東電・政府に対し、事故収束に向けた一層の努力を強く要請します。加えて、福島第二原発に固執することなく「廃炉」を決定し、無駄な資金や人材を投入することなく、収束に全力をあげることを要請します。
 福島原発事故は、政府や東電による「人災」そのものです。根拠ない原発の「安全神話」を宣伝し、経済効率を優先し、地震や津波などへの専門家の指摘に耳を貸さず、安全対策をないがしろにしてきた結果が、福島第一原発の重大事故につながりました。政府や電力会社など原子力政策を推進してきた全ての者の責任をきびしく問わねばなりません。
 福島県だけでも、未だに13万人におよぶ人々が、故郷を奪われ先の見えない避難生活を余儀なくされています。被災地のコミュニティや家族生活は分断され、多くの人々が放射能と向き合う生活を強いられ、人権が侵害される状況が続いています。地元、福島県町村議会議長会や町村会は6月総会で福島第二原発の全基廃炉を特別決議し、「一刻も早い事故収束と事故前の平穏な日常を取り戻すのが最大の願い」だと訴えています。「もとの生活を返せ!」は、被災者全ての心底からの叫びです。政府や東電は真摯に応えるべきです。
 政府や東電は、重大事故を起こした責任を認め、心から謝罪し、被災者に対する正当な賠償や援護施策を果たすべきです。被災者の生活は困難を極め、心労や病気、言われなき差別など精神的・肉体的に追い込まれ、「震災関連死」は1700人を超え直接死を上回ることとなっています。被災者の生活再建、健康維持のための賠償や援護施策の充実を、真摯に行うことが求められます。
 浪江町をはじめとする双葉町村会は、政府に対して原爆被爆者と同様の法律に基づいた「放射線健康管理手帳」(「健康手帳」)の交付と医療費の無料化、生活保障などを求めています。政府の責任による公的・制度的な医療支援と生活保障制度の確立は被災者の切なる願いです。また、事故原発では、多くの労働者が通常運転時とは桁違いの被曝を強いられています。そのほとんどが下請け労働者です。私たちは、被災者と被曝労働者の健康と生活を守るよう、政府や東電に強く求めます。
 ヒロシマ・ナガサキから69年。ヒロシマ、ナガサキ、ビキニ、JCOと続いた核被害の歴史にフクシマが加わりました。しかし今、福島原発事故がなかったかのように、安倍政権は、川内原発を皮切りに全国各地で原発の再稼働を強行しようとしています。私たちは、福島原発事故の深刻な状況、被災地のきびしい現実を改めて直視しなければなりません。事故の現実を無視した「福島の復興」はありえません。フクシマ支援を抜きにした脱原発もありません。県内の全ての原発の廃炉は、福島県民の強い願いです。事故の風化に抗し、原発の再稼働を阻止し、政府に脱原発への政策転換に向けて舵を切らせることを、私たちはここ福島で決意します。「第二、第三のフクシマ」を許さず、フクシマを核時代の終わりにしましょう。
 2014年7月27日
被爆69周年原水爆禁止世界大会・福島大会

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