声明申し入れ
経産省・原子力規制委員会に再稼働に関する申入れ
2014年04月02日
経済産業大臣
茂木 敏充 様
原子力規制委員会委員長
田中 俊一 様
原子力発電所の再稼働に関する要請
日々の真摯な行政への取り組みに対して敬意を表します。
さて、原子力規制委員会は、現在、原発の再稼働に対する適合審査を行っています。特に川内原発の審査を優先して進めることを表明し、4月以降にその結果が報告されることとなっています。
一方で国民世論の原発の再稼働への不安を60%以上の人々(3月15日・16日朝日新聞調査)が感じています。また、原発のUPZ地域にあたる30キロ圏内の自治体も「再稼働を容認するのは、条件付きを含め約2割だけしかいないとう共同通信の調査結果も明らかになっています。
原発の再稼働の適否については、原子力規制委員会が新規制基準に適合しているかどうかを審査していますが、その基準に合えば「安全」とするには、福島原発事故の事故原因究明もできていない段階での基準は、住民が求める「安心・安全」の感覚からほど遠いものです。そのことの表われが上記の世論調査の結果でもあると考えます。
原発の技術的な面だけ審査する原子力規制委員会は、住民の避難などの防災体制は、審査の枠外となっています。福島原発事故以降、緊急避難防災計画の策定が自治体に義務づけられたにもかかわらず、その統合的運用の実効性を確認することもなく、安倍首相は「原子力規制委員会が「『安全』と認めた原発は再稼働を認めていく」としています。現在、自治体の4割もいまだ計画の策定すらなされていない実態も一方であります。実効性の検証もないまま、再稼働を認めることは、住民の命の軽視でしかありません。
また、再稼働についての住民合意についても、立地自治体と県を中心としたもので、UPZ内の他の自治体の意見反映の機会や立ち入り権限などが必ずしも求められていないことも問題です。国民の不安が存在する中で、その不安解消は福島原発事故以降重要なポイントのはずです。一部の利害の自治体だけで判断することは、福島原発事故の遠因の一つと非難された「ムラ社会」の構造を、またも出現させることであり、福島原発事故の教訓に学ばないことでもあります。
原発の再稼働の審査結果が近々に出されようとする状況を迎え、それをもとにした拙速なる再稼働の容認をしないように以下に要望をいたします。
1. 国民の世論を重視し住民の「安心・安全」の理解を深める努力、防災体制の実効性が確認されないままに再稼働することは認めないでください。
2. 福島原発事故の原因究明を優先し、その知見を常にバックフィットし、現在の規制基準に反映させ、全原発にその適合をさせてください。
3. 新規制基準だけで再稼働の適否を判断せず、UPZ内の防災体制の確立と実効性の確認を再稼働の条件とし、地域住民の合意を求め、公聴会や説明会を設けてください。
4. UPZ内の自治体との再稼働の了承を再稼働の条件としてください。
5. 原子力規制委員会の報告書に対する説明会または公聴会を開催してくだい。
原水爆禁止日本国民会議
議長 川野 浩一 公印略
原発・原子力施設立地県全国連絡会
会長 中村 進 公印略