2013年、原水禁大会、原水禁大会 2013年、被爆68周年原水禁世界大会
長崎大会まとめ(被爆68周年原水禁世界大会)
2013年08月09日
原水禁世界大会長崎大会まとめ
被爆68周年原水爆禁止世界大会実行委員会
事務局長 藤本 泰成
ご紹介いただきました、藤本です。若干のお時間をお借りしたいと思います。
昨日付の長崎新聞は、論説で「福島事故2年5ヵ月」と題し、事故で避難した方々の集団訴訟や浪江町の被災者の集団訴訟を取り上げて、被災者の側に寄り添った主張を述べています。
「放射能は住民の地域の現在を破壊し、将来を不確かにした」「そこで暮らすことは、健康被害の予感と恐怖と共に生きることを意味する」「人の心の不安はコントロールできないし、それより膨大な損失が生じる」「そんなものは被害でないというなら、核被害を理解できていないということだ」
まさに、原発事故は、地域社会そのものを破壊し、家族と人間のつながりとを破壊しました。私たちは、フクシマの被害から新しい社会を創造しなくてはなりません。
「脱原発」私たちが福島原発事故の前から主張してきた「再生可能な、平和な社会」に、市民の心は確実に向かっています。フクシマに向かい合うときに、福島県民の総意である「脱原発」への道筋は、決して避けて通るわけにはいきません。第2分科会での、明治大学名誉教授、藤井石根原水禁顧問の「不幸な事故で、放射能による環境汚染を、さらに世界に拡大させてしまったら、どう責任がとれるのか」「もし、そうした選択をするなら、日本という国の品格など有ったものではない」との言葉は、「脱原発」社会の実現が将来の日本のなくてはならないことを教えます。ドイツからのゲスト緑の党のイエンス・ケンツィアさんが示したドイツの取り組み、再生可能エネルギー比率が原発を超えて、その方向性が多くの雇用を生んでいること、確信を持った言葉に私たちは学ぶべきです。
冒頭述べた長崎新聞の論説は、最後に「いったん事故が起きてしまえば十分な補償と原状回復がほとんど不可能であることを福島は教えている」「事故の収束対策や除染費用だけでなく、被災者の過酷な負担も全て原発という事業の『コスト』に含まれるはずであり、事業者や国が償わないのなら、そのコストは被災者に転嫁されてしまう」「ここの住民の実情に誠実に向き合い、有形無形の損害を償い続ける以外に道はない」と断言しています。
私たちは、第1分科会で福島原発事故の現状が、極めて深刻なものであることを学び、
法律による「放射線管理区域」に相当する放射能汚染地域が、福島県外にも広範囲に広がり、現在400万人が居住している実態を学びました。福島から多数駆けつけていただいた方々から、単に放射能の問題だけでなく、人間の営み全てに関わる複合的な被害について学びました。福島原発事故とその被害は、現在進行形として存在します。
「原子力は、エネルギーとしては最も高くつきます。その代償は、ユーロや円といった通貨だけではなく、人の苦痛と悲しみとで払うこととなります」と述べた、イエンス・ケンツィアさんの言葉を、かみしめなくてはなりません。
68年前の原爆投下も、2年5ヵ月前の原発事故も、形こそ違いますが、国の政策の中で引き起こされたものに違い有りません。ヒロシマ・ナガサキの長い闘いの経験に学び、しかし異なる実相を抱えるフクシマでの闘いに、私たちは大きな一歩を踏み出すこと、そのための議論を、これからも真剣に重ねていこうではありませんか。
「そこで暮らすことは、健康被害の予感と恐怖と共に生きることを意味する」ヒロシマ・ナガサキのヒバクシャは、生涯にわたって苦しんできました。放射能による被害は、世代を超えて続きます。ヒロシマ・ナガサキにおける被爆2世・3世の課題は、フクシマにおけるこれからにつながっています。
私たちは、国の責任を明確にし、国によるしっかりとした補償を確立させなくてはなりません。私たちは、ヒバクシャの皆さんの長い闘いを無駄にしてはならないのです。
今回の原水禁世界大会を前にして、原水禁は世界の反核団体に呼びかけ、青森県六ヶ所村の使用済み核燃料再処理工場の運転開始に反対する書簡を、各国の日本大使館宛に送るキャンペーンを展開しました。現在、国際平和ビューロー(IPB)や、海外ゲストとして米国から来日いただいたピーター・デッキーさんの所属するピースアクションなど9カ国18団体から送付してもらっています。
日本は、NPT加盟国の中の、核兵器を持たない国で唯一「使用済み核燃料の再処理」を行い、約44トン、長崎型原爆にして5,500発分ものプルトニウムを所有しています。核実験を行う朝鮮民主主義人民共和国とプルトニウムを持ち実質的な核保有国と言っても良い日本の間にあって、韓国は韓米原子力協定の交渉に於いて、再処理の実施を強く要求しています。韓国からのゲスト、イム・ピルスさんは、日本のプルトニウム、北朝鮮の核実験、このことは、韓国の核保有要求の声を大きくすると指摘しています。東北アジアの非核化のためには、日本が核兵器を持たないことを再度確認することが重要であるとの、パウエル元国務大臣の指摘には、日本が再処理を行わない、プルトニウムを作らないと言うことをしっかりと表明することが一番の答えだと考えます。
原水禁世界大会を通じて、多くの議論をいただきました。時間の関係でご紹介できませんことをご了解下さい。
皆さんよく知っている曲に、ジョン・レノンの「Imagine」があります。
想像してごらん 何も持たないって │ Imagine no possessions │
あなたなら出来ると思うよ │ I wonder if you can │
欲張ったり飢えることも無い │ No need for greed or hunger │
人はみんな兄弟なんだって │ A brotherhood of man │
想像してごらん みんなが │ Imagine all the people │
世界を分かち合うんだって… │ Sharing all the world │
│ │
みなさん共に新しい社会を創造しましょう。
そのために闘いましょう。