2013年、分科会報告、原水禁大会、原水禁大会 2013年
【68大会・報告】広島第5分科会/ヒバクシャを生まない世界に1–学習編–世界のヒバクシャの現状と連帯のために
2013年08月05日
豊崎博光さんの講演
ウラン鉱石は天然のもの。有害な放射性物質を含んでいる。採掘した時から被曝者は生まれる。精錬する過程でも被曝する。ウラン235はウラン鉱石に0.7%しか含まれていない。その他のものは捨ててしまう。その後4%ぐらいまでに濃縮してペレットを作成する。90%以上の高濃縮にしたものが原爆になる。
労働者だけでなく、作業服に付着したウランにより家族まで被曝している。
1940年代からナバホで採掘され始めた。核分裂が発見される前は、ウランは、糖尿病の薬として飲まれたり、夜光塗料として使用されていたりした。
ナバホで採掘されたウランがヒロシマ・ナガサキの原爆に使用された。その他、カナダ、アフリカ産のウランが使用されていた。その後、アメリカは軽水炉型原発にウランを使用するようになった。アメリカは原発を平和利用の名のもとに日本など提供を始めた。日本の原発用のウランは、カナダ、オーストラリアから主に輸入している。オーストラリアではアポリジなど先住民族の被曝と言う犠牲の上に成り立っている。今、日本はカザフスタンとモンゴルからの輸入に切り替えようとしている。日本はいずれ輸入先の採掘場所に核のゴミを捨てようとしている。過去にもアメリカのユタ州で廃棄したことがある。
マーシャル諸島でアメリカは67回の原爆実験をした。そのためアメリカの基金により個人の健康被害補償(36の保障対象)、島における資産の損害に対する保障がある。
アメリカでは、ウラン採掘、運搬、精錬に携わる労働者の内、月間20ミリシーベルトを浴び健康被害が発生した者に対して10万ドルの保障がなされている。さらにアメリカでは核実験の被爆者、被曝労働者の家族などへも保障の対象を広げようとしている。
一方、日本では認定被爆者、それ以外のヒバクシャは被爆体験者として限定しようとする。昨年、国連の人権委員会の特別報告者が日本の福島に来た。そこでの聞き取りにより今年5月に報告書が作成された。国家の無策などが人権侵害であると指摘された。本来なら福島の被害者に対して国が一人ひとり話を聞くことが当然である。私たちが知らない、隠された被爆者は沢山いる。被爆者を生み出した時代に生きている私たちは、そこから学び取らなければならない。
<質問>
○ アメリカの補償法について詳しく知りたい(大阪)。
● アメリカの補償法改正案はこの4月に議員立法で提出されたが、審議はされていない。被爆者をひろくとらえようとするものである。アメリカが行ってきた核開発自体を見直そうと言う流れである。
○ 今こそ福島から学ばなければならない。ヒロシマ・ナガサキの被爆者に学び、フクシマの被爆者にたいしても「健康被曝手帳」を作らせるべきと考える。
● 医療用の被曝は自らの選択である。福島の被曝は、被曝させられている。被曝は続いている。だから累積被曝量という概念が生まれている。その意識を運動の中でどのように生かして行くのかが問われている。一人ひとりが意識をして行くことで、運動を押し上げていくべきである。
レオナ・モルガンさんの講演
まず話に入る前にお祈りを捧げた。
祈りを捧げることが先住民として重要なことである。この儀式によってみなさんをお守りすること、精霊(スピリット)の許可を受けることでみなさんと話をシュアしていきたい。
植民地政策について、1890年からアメリカ政府により始められた寄宿舎政策は、今も続いている。先住民の言語の使用が禁止され制服を着ることを強いられた。母の世代までは寄宿舎に言っていたが、私の世代は先住民言語すら話せなくなっている。しかし、自分たちの言語や文化を学ぼうと言う運動が始まっている。ナバホ先住民の居住地にウラン鉱山が点在している。さらに沢山の核実験施設が集中している。子ども達が汚染された場所で遊んでいて、家族全員が脳腫瘍で死んだ話を聞いている。あまりにも無防備に暮らしていた。先住民言語には、被曝、被曝者と言う適切な言語がなかった。アメリカ政府はウラン採掘が始まり60年経ってから2007年から除染を行われるようになった。
2005年にナバホ居住地に置けるウラン採掘・精錬を禁止するという先住民特法が成立した。しかし、ナバホ居住地政府のトップは産業界の影響を受け、ウラン採掘を続けようとしている。
1979年にはチャーチロックにおいてダムが決壊し、ウラン採掘所などを飲み込み膨大な汚染水が広範囲に広がった事故があった。
テーラ山は聖なる山として崇めている。テーラ山には多くのウラン採掘跡がある。さらに6つのプロジェクトがすすんでいる。その一つには住友商事がかかわっている。私たちは、この山には聖なる精霊が住んでいると考えており、この山が破壊されることは精神的・体力的にも影響が大きい。
私たちは、連邦政府、州政府、ナバホ居住地政府と闘っている。そして先住民だけでなく非先住民とも連携して闘っている。私たちは、ウランだけでなく金などの鉱山開発に対して反対の活動をしている草の根の運動体でとりくみを続けている。
五十嵐和典さんの各地報告
福島は広い土地である。北から南に3つに分けている。浜通りが大きな被害を受けた。私は会津にすんでおり原発から120km離れている。福島の中でもどこに住んでいるかで、受け止め方が違っている。
今、汚染水の漏洩がマスコミで報道されている。また、福島民友では各地の放射線量を掲載している。さらに、NHKの天気予報には県内の放射線量予報が放映されている。福島では毎日そのような情報にさらされている。
事故を起こした原発の中は誰もわからない。いつ収束するかの目処がたたない。チェルノブイリは石棺で覆っているが、それも劣化しているから巨大なシェルターで覆ってしまおうとしている。チェルノブイリですら内部は手つかずとなっている。本当に東電は処理が出来るのか。
県民調査で甲状腺がんの調査が行われている。しかし、18歳以下の県民全ての調査が終了していない。調査で甲状腺がんが発見されているが県は原発との関連を否定している。
福島の多くが山林であり、除染作業は手付かずになっている。そのため除染した場所もすぐに元に値に戻っている。除染の方法の農地や宅地の別なく一律の手法に行っているため農地が使い物にならなくなっている。
助け合いなど美談を流布して高い放射線地への帰還を促している。それでも帰らないと自主避難とされ援助が切られる状況にある。住民同士で放射能について話を出来ない状況になっている。避難している人、避難していない人での分断が行われている。
今、だれも事故の責任をとっていない。そのため33人を刑事告発した。しかし、強制捜査は行われていない。そして東京で1000人規模の集会等を行っていてもマスコミは扱わない。
事故の風化ではない。まるで事故が無かったかのような扱いである。
柳田邦男の本に「起こりうる可能性があるものは、どんなに確率が低くても必ず起こる」とある。地震列島である日本の原発を全て廃炉にするまで頑張りましょう。