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止めよう再処理!共同行動ニュース04/24号の記事から
2013年04月24日
ガラス固化試験の中止を!
核燃料サイクル政策の明確な説明を強く求める
A系統のガラス固化試験はじまる
4月17日、日本原燃は、六ヶ所再処理工場のアクティブ試験の最後の試験として残されている高レベル廃液ガラス固化建屋ガラス溶融炉(A系統)のガラス固化試験の開始しにむけた熱上げを開始しました。5月上旬からガラス固化試験を開始し、1カ月程度の試験を見込み、6月初旬頃までに終了するとされています。この試験は、実際の高レベル放射性廃液を使いガラス固化体を作る試験で、炉内の温度を安定して管理できるかチェックする安定運転試験や廃液の最大処理能力(1時間当たり70リットル)で運転できるかどうかを確認する性能確認試験などを行うものです。
これまでB系統での試験では、一応成功としてきましたが、A系統はこれまで何度もトラブルを起こして試験が失敗してきた施設です。それにより再処理工場の完工が何度もすれ込ませたいわく付きの施設です。B系統でうまく行ったからと言って、A系統でもそうなるとは限っていませんが、根本的に欠陥があることは間違いありません。
未完成な技術のガラス固化施設
そのことは、この施設が完成する前に、すでに次のガラス固化溶融炉の研究開発施設を新たに敷地内に建設し、改良型の新型ガラス溶融炉の研究が急ぎ進められていることからもわかるように、現在のガラス溶融炉の信頼性の低さを日本原燃自ら語っています。六ヶ所再処理工場は、日本で初めての「商業用」再処理工場として建設されたものです。当然先行した研究開発を主とした東海再処理工場と違い、「完成された」技術を用いていることが前提のとなっています。しかし、ガラス溶融炉の相次ぐトラブルに見舞われ、急遽研究開発を余儀なくされている状況は、結局「完成された」技術ではないことを証明しています。欠陥施設は、今後もまともに動くことすら保証の限りではありません。さらに新たな研究開発でまともなものが作れるのかどうかさえ、これまた保証の限りでないことは明らかです。商業施設としても問題な六ヶ所再処理工場をムリに動かすことは大きな問題です。ムダな研究開発に私たちの貴重な電力料金を投入することは許されません。
しかしこの状況にあっても、日本原燃は、この試験を強行し、8月までに国による使用前検査を受けて、当初予定していた10月完工に漕ぎ着けたいとする予定をいまだ変更していません。
20回目の延期確実!
しかし、たとえ試験がうまく行ったとしても六ヶ所再処理工場は、すぐに完工へと動き出せないと言われています。現在原子力規制庁は、再処理工場やMOX加工工場などの原子炉以外の核燃料サイクル施設の新規制基準策定の議論を始めたばかりです。新規制基準ができるのは今年12月以降と言われ、原子力規制庁サイドは、それまでは使用前検査を受けさせないとの方針を示しています。すでに10月完工と宣言していた日本原燃の不退転の決意は、この時点で脆くも崩れ落ちようとしています。20回目の完工延期は確実ですが、それでもいまだ10月完工の旗は降ろしていません。
さらに前号の「止めよう再処理!共同行動ニュース」でも報じたように、2013年度に六ヶ所再処理工場で、使用済み核燃料から取り出す予定の核分裂性プルトニウム約0.5トンの使い道を示す利用計画について、電気事業連合会は計画作成を断念したことが明らかになりました。核兵器の材料になるプルトニウムの使い道が明らかにされないままの製造・保有は国際的な緊張を高めるものとされ、これまで国際公約として余剰プルトニウムを持たないこととされていました。その前提である国内でのプルトニウム利用の透明性を確保するために、どの原発でいつから、どれくらい使うのかを明らかにしなければならないところ、福島原発事故以降、国内の原発そのものが停止し、ましてやプルトニウムを使うサーマル計画の見通しの目途がたたない状況にあります。そのことからも、六ヶ所再処理工場が完工してもまともに動く訳がないことは明らかです。
核燃料サイクルは成り立つ明快な説明を求める
まともに動くことなく施設は一方で老朽化していきます。計画から四半世紀を超えたいま、すでに施設が完成する前に老朽化を心配しなければなりません。さらに実際にどれだけ稼働できるのか、これまで投資した(2兆1千億円以上)以上に資金が回収できるのか。私たちの大切な電気料が使われている以上、電気事業者にはその責任と説明義務があります。私たちは、六ヶ所再処理工場の存在意義と経済性、必要性そして核燃料サイクルの具体的計画現実性の説明を強く求めます。
さらに核燃料サイクル計画の中で、関連する施設建設や政策の遂行が個別バラバラに動いている中で、整合性ないし責任ある政策はまったく立っていません。にもかかわらず、いまだまともな説明すらなされていません。このまま無為無策のまま、ただこれまでの政策の垂れ流し的政策の遂行は、政治や行政の怠慢でしかありません。政治家や行政そして電力側からの明快な説明を強く求めます。そして核燃料サイクル路線からの撤退をこれもまた強く求めます。