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止めよう再処理!共同行動ニュース03/27号の記事から

2013年03月27日

核燃料サイクル路線は破たんしている

プルトニウム利用計画描けず
 電気事業連合会(電事連)は、六ヶ所再処理工場で2013年度に取り出す核分裂性プルトニウム約0.6トンの使い道を示す「プルトニウム利用計画」の作成を断念したと報道されました。核兵器の材料になるプルトニウムの透明性を確保するために、日本政府はこれまで国際公約として「余剰プルトニウムを持たない」としてきました。そのため、2003年8月に原子力委員会が、プルトニウムを取り出す前に、「プルトニウムの所有者、所有量及び利用目的」(利用量、利用場所、利用開始時期、利用期間など)の予定を毎年度、電力会社に明らかにするよう求めているものです。その上で、原子力規制委員会がその妥当性について確認することになっています。
 しかし、福島原発事故以降、原子力政策そのものの破たんがいっそう明らかになる中で、これまでのプルトニウム利用計画も破たんした状況にあります。だからこそ、計画そのものを描くこともできない状況に追いつめられたといえます。電事連が2013年度のプルトニウム利用計画の作成を断念したことは、当然、六ヶ所再処理工場の運転や、存在理由そのものにも影響を与えます。
 これまで日本原燃は、六ヶ所再処理工場の竣工を今年10月と発表し、1月31日には2013年度下期には運転を始めるとして「再処理施設の使用計画」を原子力規制委員会に提出しました。現在、それに合わせて試験や工事を進めています。
 私たちはこれまで、プルトニウム利用計画は破たんしており、提出した計画は「絵に描いた餅」でしかないと指摘してきましたが、いよいよその通りの状況になってきました。10月の竣工にこぎつけたとしても、つくり出されたプルトニウムをどのように使うのか、明らかにできないことが、今回の電事連の計画断念ではっきりしました。
 さらに、原子力規制委員会が、核燃料サイクル関連施設の新安全基準を発表するのが12月だといわれています。竣工しても新基準のチェックがあり、まともに動かすことすらできないはずです。基準づくりが遅れれば、さらに中途半端な状態に置かれることになります。
 さらに計画が立てられない状況は、MOX加工工場の建設にも影響します。これも利用計画の見通しが立たない中で、このまま強引に建設を進めれば、早晩行き詰まることは明らかです。作られたMOX燃料も、海外から返還されるMOX燃料の使用が優先され、国内のMOX燃料が、いつ、どの原発で使用できるのかも示されていません。むしろできないといったほうが正確で、使うあてのないMOX燃料をつくり続ける状況になりそうです。

フランスからMOX燃料が日本へ
 その海外からのMOX燃料が、フランスからこの4月に日本へ向けて輸送されようとしています。時期は明確にされていませんが、4月上旬から中旬にかけて日本へ向けて送り出されると言われ、輸送ルートも明らかにされていません。おそらく喜望峰回りで、インド洋から太平洋に出て、フィリピンや韓国沖を走るのではないかと言われています。通過ルートの沿岸諸国にとっては、ハタ迷惑な輸送でしかありません。ルートも日時も公表されず、事故の危険性だけが押しつけられ、沿岸諸国からも抗議の声が上がっています。
 輸送されるMOX燃料の輸送先は、関西電力の高浜原発3号機とも言われています。関電は、新安全基準にしたがって3号機の再稼働をめざすとしていますが、その際、MOX燃料の装荷については「現時点では判断していない」としています。原発の再稼働そのものが、地元や周辺自治体で大きな問題となっている中で、さらに原発の危険性を高めるMOX燃料の使用は、原発推進の側から見てさえ、再稼働の「ハードルを高める」だけです。使うあてのないMOX燃料輸送が再開され、ますます原子力政策を混乱させるだけです。

混乱する核燃料サイクル政策に終止符を
 これまでも繰り返し訴えているように、核燃料サイクル路線は破たんしています。すみやかに幕引きが必要です。ムダな資金を、六ヶ所再処理工場やMOX燃料加工工場、その他付随する施設に投入するべきではありません。大切な電力料金や税金を完成するあてのない核燃料サイクルに期待し、投入する愚行はこれ以上やめて、政策の破たんを認めて、撤退すべきです。今からでも遅くはありません。

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