声明申し入れ

米国の未臨界核実験実施に際しての声明

2012年12月10日

米国の未臨界核実験実施に際しての声明

原水爆禁止日本国民会議
議長 川野 浩一

 12月6日、米国政府は未臨界核実験を行ったと発表しました。 未臨界核実験は、昨年2月以来1年10か月ぶりで通算27回目となります。原水爆禁止日本国民会議(原水禁)は、世界が求める核兵器廃絶に逆行するような米国の行為に対し強く抗議します。
 
 米国オバマ大統領は、就任後の2009年4月5日にチェコのプラハで演説し「アメリカは核兵器を使用した唯一の核保有国として、核兵器廃絶への道義的責任を有する」との趣旨の発言を行い「核なき世界をめざす」と主張しました。2009年10月9日、ノーベル賞選考委員会はこの発言に基づくオバマ大統領の姿勢を評価し、ノーベル平和賞を授与しました。オバマ大統領の発言は、核兵器を使用された側の日本はもとより核兵器廃絶を求める世界の人々に、大きな希望を持って受けとめられました。

 原水禁は、米国が調印したロシアとの「新戦略兵器削減条約(新START)」や北大西洋条約機構(NATO)との戦術核兵器の撤廃交渉など、オバマ大統領の核廃絶への努力を評価するものです。しかし一方で、オバマ大統領は「核なき世界」を提唱しながら、「核実験全面禁止条約(CTBT)」は未臨界核実験を禁止していないとして、これまで4回の実験を繰り返してきました。このようなあり方は、核兵器廃絶に真摯に取り組んできた人々に対する背信行為であり、ノーベル平和賞の意義を冒涜するものであると考えます。原水禁は、米国オバマ大統領に対して、核実験を繰り返すことなく一層確実な核廃絶の道筋をつくるために努力されることを心から望みます。

 一方日本政府は、2012年10月22日に開催された国連総会第一委員会において、スイスなど非核兵器保有国34カ国で提出された「非人道的兵器である核兵器を非合法化する努力を強めなくてはならない」とする共同声明に、参加を求められてにもかかわらずこれを拒否しました。米国への配慮があったとされていますが、命を蝕む放射能の被害に苦しみながら核廃絶を訴えてきた広島・長崎の被爆者の思いを踏みにじるものであり、核廃絶に苦悩の努力を続ける世界中の人々を失望させるものです。日本政府こそは、ヒロシマ・ナガサキの原点に立って、核廃絶のとりくみの先頭に立たなくてはなりません。

 原水禁は、「核と人類は共存できない」という先達の言葉を忘れず、この世界からすべての核がなくなるまで不断の努力を続けることを決意するとともに、「核なき世界をめざす」とするオバマ大統領が、その原点たる広島・長崎を訪れ、新たなスタートの決意をされることを要請します。
 

TOPに戻る