2012年世界・原水禁の動き声明申し入れ注目記事

声明/大間原発の工事再開に強く抗議する

2012年10月05日

電源開発株式会社 社長 北村雅良 様

 10月1日、東日本大震災でこれまで止まっていた貴社の大間原発の建設が再開しました。私たちはこのことに強く抗議します。
 現政権が、「2030年代に原発稼働ゼロ」を方針とした中で、貴社は、建設再開にあたって「少なくとも40年間はしっかりと動かせるようベストを尽くす」としており、政府の方針に真っ向から対立しています。政府の方針に挑戦するかのような態度は、政府だけでなく脱原発の大きな国民世論にも反するものです。
大間原発は、その周辺や敷地内に複数の活断層が存在する可能性が、専門家から指摘されています。また、世界に例のないプルトニウムをフルMOX燃料として使うことにより、通常の原発より安全余裕を縮め、事故時の被害がより深刻になることが指摘されています。さらにMOX燃料は、通常のウラン燃料に比べ割高で、余分なコスト増は、安全コストや人件費などの圧縮につながり、これも安全余裕を切り縮めるものです。さらに使用済みMOX燃料の行方も決まらないまま進められる大間原発の建設再開は、まさに見切り発車といえるものです。
  さらに周辺地域でも心配されている防災対策も何ら手付かずのままです。特に避難道路の問題は深刻で、東日本大震災でも明らかなように津波による幹線道路への被害は、そのまま原発周辺地域が孤立化する恐れがありますが、避難道路の建設は一向に進む気配はありません。さらに対岸の函館市も被害を受ける可能性があり、それへの対策もないまま進められる建設に対して、「訴訟も検討」するなど、大間原発の建設に強く異議を唱えています。
 2011年3月11日の福島原発事故により原発や核燃料サイクルをめぐる状況が大きく変わりました。六ヶ所再処理工場は、トラブル続きでいまだ完成をみていません。高速増殖もんじゅも1995年のナトリウム漏洩火災事故以降まともに動かず、発電炉から実験炉に格下げされ5年ほどの運転で廃炉になるなど開発の展望はなくなっています。プルトニウム利用政策そのものが破綻している中で、強引にプルトニウム消費のためにフルMOXの大間原発建設を進めても早晩行き詰まることは明らかです。大間原発の建設・推進は、プルトニウム利用政策の破綻を隠ぺいし、危険性だけを押しつけるものでしかなく、いまこそ現実を直視し、貴社の勇気ある英断を求めます。
 原子力の「安全神話」が崩れ、プルトニウム利用路線の破綻が明らかになる中で、大間原発建設再開は、貴社の未来に大きな負の遺産となります。原発を動かす前であれば、撤退も容易なはずです。燃料を装荷し、一旦動かしてしまえば廃炉問題を複雑にし、その費用も膨大なものになることは明らかです、2030年代に「原発稼働ゼロ」を実現する動きが強まれば、実質20年ほどしか稼働しない原発となり、採算性の面からも割の合わないものとなるはずです。
 いま国民の多数が原子力からの撤退を求めています。フクシマの惨劇を再び北の大地で繰り返してはなりません。私たちは、原子力政策の根本的転換を求めるとともに、大間原発の建設中止を強く求めるものです。

2012年10月5日

 

原水爆禁止日本国民会議
フォーラム平和・人館・環境
東京都千代田区神田駿河台3-2-11連合会館1F
電話03-5289-8224

 

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  参考資料 函館市の大間原子力発電所に対する対応について【函館市HPより】

大間原発の工事再開に強く抗議する

 

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