声明申し入れ

申し入れ書/JCO臨界事故13周年集会

2012年10月01日

日本原子力発電株式会社取締役社長 濱田康男 様
東海発電所・東海第2発電所長   劔田裕史 様

東海第2原発の再稼働中止と廃炉を求める申し入れ

 2011年3月11以降の福島第1原発事故は、原子力発電がひとたび事故を起こし放射性物質を拡散してしまえば、取り返しのつかない事態に陥ることを白日の下に曝し、事故はいまも続いており、多くの福島県民が避難生活を余儀なくされています。
 1999年9月30日に発生したJCO臨界事故の教訓の一つは原子力事故は起こるという事でしたが、福島事故によってそれが実証されました。原発の安全神話は完全に崩れたのであり、原子力災害は、ある想定のもとに事故対策がたてられても、その想定を超える事態によって事故は起こる、ということです。
 福島第1原発事故と同時に日本原電・東海第2原発は、一応原子炉は停止したものの、外部電源喪失の中であわやの事態が続き、3日後の冷温停止まで原子炉格納容器内で主蒸気逃し安全弁の操作が170回行われるなど、危機一発の事態が続き、最悪の場合は福島原発と同様の事態となり、放射能が首都圏を襲う危機が進んでいました。
 東海第2原発は、1978年の稼働からすでに33年が経つ老朽原発であり、その位置から周辺30キロ圏内に約100万人が暮らし、東京まで110キロの距離に立地しています。ひとたび事故が起これば圏内の人々は押し寄せる放射能から避難できず身を守れないことは福島事故で明らかにされました。
 しかしながら、貴社は8月31日に東海第2原発の1次安全評価(ストレステスト)の提出を行い、「再稼働」に向けた準備を進めています。
 一方、大変猛暑となったこの夏の電力需要の状況を見ても、電力供給量には余裕があり、貴社の東海第2原発再稼働はまったく必要性がないものであります。
 県内では、東海第2原発の再稼働に反対し、廃炉を求める声はさらに大きくなっており、廃炉を求める署名も23万筆を超えて知事に提出され、「再稼働反対・廃炉」を求める市町村議会決議が相次いで採択されています。
 こうした脱原発を求める多数の民意に従えば、貴社の東海第2原発は一刻も早く、廃炉を決め、再稼働を断念すべきであることをここに申し入れます。

2012年10月1日
JCO臨界事故13周年集会参加者一同


株式会社ジェー・シー・オー
代表取締役社長 桐嶋 健二 様

申し入れ書

 2011年3月11日、福島第一原発は重大な事故を起こした。放射能雲は、福島現地はもちろん茨城県を含む広範な地域にも広がった。放射能は大地を汚染し、農作物に降り注いだ。一時間当たりの環境放射線量は通常の百倍にも達した。海洋に流れ出た放射能は海流によって茨城県沿岸も襲った。こうしてそれ以来、放射能で汚染された農作物や海産物、飲料水の摂取に気を使わなければならない生活を強いられるようになった。校庭や園庭などの除染作業やホットスポットとなった公園の除染も行われている。東海村では子供の甲状腺超音波検診が間もなく実施される。このように五感ではとらえられない放射能によって3.11前とは違った環境のなかに、この地域に住む私達は在るのである。
 こうした状況下で、貴社・JCOは放射性廃棄物の焼却施設を設置する計画を明らかにした。事故から一年も経たない、今年2月に東海村に説明を行い、4月には県と関係町村に計画を公表した。新増設の際の、立地県・自治体との事前協議を規定した、安全協定5条の対象施設ではないとして、自治体議会への説明もないまま、毎年恒例の年間事業計画のなかに忍ばせて周辺住民への説明会を開いて、そそくさと文科省へ許可申請を出そうとしたのである。何故この時期に?というのが周辺住民の率直な疑問である。環境放射線が事故直後よりは下がってきているとはいえ、いまだに3.11以前よりは高い中で、たとえ微量でも施設排気筒から、あるいは排水路から放出される追加放射線を認めることはできない、それが住民感情というものである。この感情を氷解させるには、それこそ丁寧な説明が必要である。
 JCO側の説明によれば、放射性廃棄物を詰めたドラム缶8,900本のうち700本を8年かけて焼却し、その後焼却施設は解体する、他からの放射性廃棄物を受け入れることはしない、という。焼却炉だけで1億円かける施設の扱いがほんとにそれで済むのか、というのが住民の疑念でもある。JCOはこの疑念を氷解させなければならない。
 以上、原発再稼働問題に社会全体の目が集中している裏で、村議会や住民への十分な説明もなく、そそくさと放射性廃棄物焼却施設の建設を始めようとしている貴社・JCOに、私達は厳重に抗議する。かつて臨界事故を起こして社会に大きな迷惑をかけた会社として語るに落ちた行為だと考える。その上に立って、放射性廃棄物焼却施設設置の申請が文科省によって認可されたという事実を踏まえて、以下の事項の実現に力を尽くすよう申し入れる。


 一. 放射性廃棄物焼却施設の建設前に真摯な透明性のある住民説明会を開くこと
 一. 安全協定五条の対象でないことの根拠を分かりやすく説明すること
 一. 事情が変わっても、他からの放射性廃棄物を受け入れないという約束を村と結ぶこと

以上

2012年10月1日
                       JCO臨界事故13周年集会参加者一同

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