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止めよう再処理!共同行動ニュース08/22号の記事から
2012年08月22日
将来の展望も見えないのに…
再処理工場のガラス固化試験の中止を!
六ヶ所再処理工場は、高レベル廃液ガラス固化施設のガラス溶融炉の試験を再開しました。これまでB系列での、不溶解残査を含んだ実廃液による事前確認試験を実施し、7月27日に終了しました。また、これまで長期に渡って停止していたA系列についても、8月17日に模擬ビーズを用いた下流確認作業が開始されました。今後も試験の動きに注視する必要があります。
六ヶ所再処理工場は、度重なるトラブル(表1)でその完工の時期がこれまで18回にも渡り延期を重ねてきました。そして、今年10月の完工が予定されていましたが、今回も完工は困難であり、またも延期されることは確実となっています。地元である青森県からも、度重なるトラブルで延期されることに対して、「六ヶ所再処理施設のガラス固化試験には、わが国の技術陣の総力をあげて取り組んでいるものと考えるが、国内外の世界的知見を総動員してスケジュールこだわることなくじっくりと腰を据えて取り組むこと」と、釘を刺される始末です。しかし、問題の本質は、「じっくり腰を据えて取り組む」ことではなく、事業の失敗を認め、工事の中止をはかることです。
延期を重ねる再処理工場は、その間には福島第一原発事故が起こり、原子力をめぐる環境は一変しました。原発の大半が停止する中で、プルサーマル計画も、高速増殖炉計画も実質的に頓挫しています。さらにエネルギー政策も、現政権が進めているエネルギー環境会議で示された、2030年のエネルギーシナリオ「0%」の支持が圧倒的多く、原発そのものの存続自体を、国民の多くが望まない状況が明らかになっています。
2030年「0%」でなくても、「脱原発依存」政策を採り続ければ、再処理工場の存続する理由はありません。今後、エネルギー環境会議での議論がどのように推移していくかは注目されますが、国民多くは「0%」シナリオ支持の声が強く、簡単には無視することは出来ないはずです。それでも再処理を続けようとするならば、国民の前に具体的な利用計画を示すべきですが、実現性に乏しいことは明らかです。
現在、国の原子力政策の大綱を決める策定会議は、エネルギー環境会議の議論が終わるまでは、動けない状況にあります。3.11以降の状況に対応した六ヶ所再処理工場を含めた核燃料サイクルの方針は、未確定なまま現在にいたっています。責任の所在もあいまいなまま、旧来の路線を踏襲しながら、事業を進めています。その一つが、六ヶ所再処理工場のガラス固化施設の試験再開です。
先の見通しも立たない中で、ただ粛々と工事や試験を進めて、既成事実だけを積み上げていくことは、今後の原子力政策を議論する際にも大きな妨げとなるものといえます。まして、将来の展望が見えない再処理事業に、これ以上私たちの電力料金を費やすムダを続けさせること自体も大きな問題です。
私たちは、「ガラス固化試験の中止を!」そして、「再処理からの撤退」を要求します。未来のない再処理にこれ以上固執することなく、オープンな原子力政策の議論を求めます。
【表1】再処理工場の各種試験期間とトラブル等発生数
通水作動試験 2001年4月20日~2002年11月 1,252件
化学試験 2001年11月1日~2004年12月 802件
ウラン試験 2004年12月21日~2006年3月 261件
アクティブ試験 2006年3月31日~2012年7月10日 497件