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止めよう再処理!共同行動ニュース05/23号の記事から
2012年05月23日
核燃料サイクル施設は動かなくても金食い虫
国民にツケを押しつける再処理工場
東京新聞の5月14日付けの記事(※本紙では3頁に掲載)にある通り、現在のトラブルで停止中の六ヶ所再処理工場(青森県六ヶ所村)は、稼働しなくても維持費だけで年間1100億円もの経費がかかることが明らかにされました。1日あたり約3億円もの浪費となります。内訳は別表の通りですが、これまで六ヶ所再処理工場の建設に2兆1千億円もの巨費が投じられても、いまだ完成の目途が立っていない現状にあります。今後政府部内での核燃料サイクルのあり方の見直しが進めば、さらにその存在意義が問われてきます。これまでの経費は私たちの電力料金から支払われ、今後もこの巨額の維持管理費は、いやおうなく電力料金から取り立てられます。電力会社や政府の政策的失敗のツケを国民に全て転嫁させようとするものです。
再処理工場だけではない!
巨額の金食い虫は再処理工場だけではありません。これまでも指摘してきた高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)も未完成なまま巨費を浪費し続けています。こちらも年間200億円弱、1日5500万円と言われています。これも完成の目途もなく、将来的に実用化の見通しもたっていません。これらは全て国民の税金で賄われています。
さらに規模は小さくなりますが、もんじゅに付随して日本原子力研究開発機構のリサイクル機器試験施設(RETF/茨城県東海村)も、2000年6月に試験棟が完成しましたが、12年近くに渡って放置されたままです。これまで建設・維持管理費に約830億円もかけても、もんじゅの長期に渡る停止にともなって、ただただ維持管理費(年間約3億円)が浪費されています。もんじゅの運転再開や将来像の見通しが立たない中で、今後も浪費だけは繰り返されていくことは明らかです。これらの建設・維持管理は全て国民の血税からです。
その上、記事にもありますように、核燃料サイクル施設が立地していることを理由に、政府が青森県の自治体に92億円の交付金(2011年度)を支払っています。これも私たちの税金からです。
現在、消費税値上げ論議が交わされる中、さらに福島などの原発震災の補償や事態の収束に向けた費用の捻出など多くの金銭的な課題が山積しています。実現性のない核燃料サイクルにこれ以上こだわり、本来もっと活かすべきところに資金が投入されないことは、政府や電力会社の犯罪的行為とも言えるのでないでしょうか。これ以上ムダな浪費をさせ続けてはなりません。今こそ決断のときです。
核燃料サイクルからの撤退を!
現在、原子力委員会で核燃料サイクルの見直しが議論されています。これまでの全量再処理から再処理せずに直接使用済み核燃料を処分する案がでています。しかし、どのような形でも六ヶ所再処理工場を活用する案では、その全体に施設の完成とスムーズな運転が求められています。しかしその見通しとなるとはなはだ不透明と言わざるを得ません。ましてや核燃料サイクルの完成などさらに問題になりません。すでに破綻しているプルトニウム利用路線からの撤退が必要です。ムダな夢に、ムダな資金を浪費している余裕など今ないはずです。
高レベルガラス固化施設は根本的欠陥施設だ!
今年1月24日に発生した六ヶ所再処理工場での高レベルガラス固化施設B系統のガラス溶融炉の事故に対する日本原燃の原因と対策が今月21日に発表されました。その中でB系統のガラス溶融炉の流下事故は、「炉の耐火レンガが欠けて底にたまり、炉を詰まらせたのが原因」と推定した上で「炉に大きな損傷はなく、健全性に問題はない」としました。しかし一方で、「今後もレンガが欠ける可能性はある」と説明しました。再発防止策として「炉の温度変化を緩やかにするなど、丁寧な運転で流下不調は避けられる」としました。この説明からもわかるように根本的な対策ではまるでなく、施設の運転でなんとか切り抜けられるのではないかとする対処でしかありません。
当初の「アクティブ試験時に発生が予想されるトラブル等とその対応(詰まり・堆積)」という事故想定の中にも載っていない想定外の事故(それは想定が甘いともいえるのではないか)であったことで、施設そのものの根本的な欠陥でしかないのではないでしょうか。知見も技術も未完成であり、今後も繰り返し同じようなトラブルが発生しうる可能性があるということです。欠陥施設にこれ以上期待をかけることは、必ず裏切られるのではないでしょうか。これ以上、悪あがきはやめるべきだと私たちは強く訴えます。
発表の当日、事前確認試験にむけてガラス溶融炉の熱上げを行いました。完了までに2週間程度かかると言われていますが、その後、前回失敗したガラスビーズを使った試験をまたもやろうとしています。今回も万全を期すとした上での再トライですが、ここで失敗したらどう責任を取るのでしょうか。例え今回うまくいっても、要は試験ビーズではなく本物の高レベル放射性廃棄物で、恒常的にコンスタントに施設が稼働しなければ意味がありません。それまでの道のりは、あまりにも険しいものがあるはずです。