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止めよう再処理!共同行動ニュース03/28号の記事から

2012年03月28日

経産省は誤りを認め、路線転換を
無責任な核燃料サイクル施設の認可はやめろ!
 
欠陥工場・六ヶ所再処理工場
 現在、六ヶ所再処理工場は、高レベル放射能ガラス固化施設のトラブルで停止し、再開の目途さえたっていません。今年10月に予定されていた「完工」も不可能となっています。今回のトラブルとなったガラス固化製造試験は、2008年12月以降約3年間も同様のトラブルで中断し、今年1月に試験再開となりましたがすぐにトラブル-停止の事態に追い込まれるという失態を演じました。今回のトラブルは、本来のガラス固化製造試験前の作動確認のために「非放射性の模擬ガラスビーズ」を使用し、ガラスの流下がうまくいかなくなってしまったことにあります。あらためてガラス固化体製造技術の問題点(限界)が浮き彫りにされました。ガラス固化施設そのものはA系統、B系統の二つのラインがありますが、そのどちらもトラブルで停止したままとなっています。
 そもそも、この施設が完成しなければ、政府・推進側が進める高速増殖炉やプルサーマル計画といった核燃料サイクル政策は根本的に破綻を招くものです。それだけ重要な施設である六ヶ所再処理工場は、いまだ完成の目途がたたない施設としてあり(【表】を参照)、その間に3・11の福島第一原発事故により、原子力そのものをめぐる環境が大きく変わり、再処理の存在自体も問われるようになってきました(P4「最近の新聞記事から」)。六ヶ所再処理工場を支える最大の大株主である東京電力は、今後、事故の莫大な賠償負担を背負い続けなければならず、さらに本格的に再処理工場が稼働していけば費用負担も増大していくことになります。すでに経済的にも六ヶ所再処理工場の破たんは明らかです。そのツケは結局、私たち国民に向けられてくることになります。

無責任な核燃サイクル施設の認可
 六ヶ所再処理工場の先行きが不透明感を増す中で、核燃料サイクル政策そのものも破たんが明らかになっています。ウランとプルトニウムを混合してMOX燃料として既存の原発で燃やすプルサーマル計画は、1997年の閣議了解後、これまで2010年に16~18基原発で実施する予定が、杜撰な計画は2015年へと延期されましたが、現在まで福島第一原発3号機など4基のみでしか実施されていません。福島第一原発事故により、プルトニウム(肺や肝臓、骨に蓄積し発ガンの危険性がある)の飛散も検出され、プルサーマル発電そのもののあり方も問われる一方、原発の再稼働自体が危ぶまれる状況にあります。2015年に延期しても計画はまたまた破たんを来すことは明らかです。
 また、「夢の原子炉」と言われていた高速増殖炉も、その原型炉「もんじゅ」の相次ぐ事故により、85年の着工以来まともに動かずにいます。95年のナトリウム漏洩・火災事故で15年に渡り停止し、2010年の運転再開に漕ぎ着けても、すぐまたトラブルを頻発していまも停止中で、再開の目途も立っていません。その間、研究開発費も削られますます「実用化」にはほど遠い状況となっています。
 さらに、3・11以降、これまでの原子力政策の見直しの議論の中で、核燃料サイクル政策の見直しが議論されています。議論の行方次第では政策の見直し、計画の大幅な変更などが考えられます。さらに、事故や安全規制に対応する安全体制がこれまでの経済産業省から環境省へ移管され、新たな体制(原子力規制庁)がとられようとしていいます。しかし、ここへ来て駆け込み的に、原子力安全・保安院が施設認可を出し続けています。
2月に日本原燃のウラン加工工場の遠心分離器の設置許可、3月にはフルMOX燃料(100%MOX燃料)で発電する大間原発の建設工事に関わる「変更計画」を認可してきました。さらにMOX燃料加工工場の建設の認可も3月中になされる可能性があります。


【表】六ヶ所再処理工場の略年表
1991年3月 事業指定
1993年4月 建設開始
2001年4月 施設完成(通水試験開始)
2002年1月 化学試験開始
2004年12月 ウラン試験開始(劣化ウラン)
2006年3月 アクティブ試験開始
2007年11月 ガラス固化体製造試験開始
(以降多数の事故・トラブルで試験中断)

※建設費 当初 7600億円
現在、約2兆2000億円(まだ未完成)


社会的責任としても許されない!
 現在、54基ある原発は、現在北海道電力の泊原発3号機のみとなり、5月に入れば全ての原発が停止することになります。3・11以降、原発をめぐる環境が厳しくなる中で、再稼働そのものがますます厳しくなっています。MOX燃料やウラン燃料の需要があるのか? 仮にそれらの施設で動かしても経済的にも割が合わないものとなり、経済的破綻は明らかです。不透明な核燃料サイクル路線を既成事実化して強引に推し進めることは、3・11以降の政府・電力会社の社会的責任としても許されることではありません。巨額な賠償や復興への資金が必要な時期に、ムダで危険な核燃料サイクル路線を無謀にも進め、そのツケを国民に押しつけることは絶対に許されません。
 いま必要なことは、破たんした核燃料サイクル路線の根本的な見直しが必要です。いたずらに「人・モノ・金」の浪費は、いまや電力業界にその余裕はないはずです。これまでの政策的誤りを認め、路線転換を速やかに行うことを求めます。そして無責任な認可はすみやかに撤回することを求めます。

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