ニュース
京都府議会による「原子力政策に関する意見書」
2012年03月22日
原子力政策に関する意見書
東京電力福島第一原子力発電所事故は、住民の被ばくや農林水産物の汚染を招き、周辺環境にも甚大な被害を与えるとともに、原子力発電所の安全性に対する国民の不安を引き起こし、更には、国が推進してきた原子力政策に対する信頼を、大きく損ねる結果となった。
福井県に隣接する本府においても、関西電力高浜発電所及び大飯発電所については、現在、国において検討されている緊急時防護措置を準備する区域(UPZ)の30キロメートル圏内に、約13万人の府民が居住しているなど、府民の安心・安全を確保する立場から、その安全対策に万全を期すべく、取組を進めているところである。
このような中、去る2月、経済産業省原子力安全・保安院は、再稼働に向け関西電力が実施した大飯発電所3号機及び4号機のストレステスト(耐性検査)一次評価結果を「妥当」と判断し、その審査結果を原子力安全委員会に報告したところである。
しかしながら、ストレステストは机上の調査にすぎず、再稼働の判断材料とするには、あまりにも不十分である。再稼働に当たっては、地震や津波、高経年化の影響など福島第一原子力発電所事故の原因究明から得られる知見をもとに、国が新たな安全基準を設定し、これに基づき、プラントの安全性を厳格に検査・確認するという手続が必要である。
ついては、国におかれては、大飯発電所3号機及び4号機をはじめ、今後検討が進められる原子力発電所再稼働に当たっては、上記手続が適切に行われた上で、原子力政策を担う国の責任において、慎重に判断がなされることを強く要望する。
あわせて、現下の厳しい経済情勢を踏まえ、国の責任において電力事業者等を指導し、再生可能エネルギーや化石エネルギー等、エネルギー源の多様化を図る中で、安易な電気料金の値上げにより国民や企業に負担を求めるのではなく、経営努力等により、低廉で安定的な電力供給が行われるよう、強い指導力を発揮されることを求める
ものである。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成24年3月22日
衆議院議長横路孝弘殿
参議院議長平田健二殿
内閣総理大臣野田佳彦殿
経済産業大臣枝野幸男殿
原子力行政担当大臣細野豪志殿
内閣官房長官藤村修殿
京都府議会議長 近藤永太郎