声明申し入れ
声明/米国エネルギー省のプルトニウム使用実験について
2011年06月03日
米国エネルギー省のプルトニウム使用実験について
2011年6月3日
原水爆禁止日本国民会議
議 長 川野 浩一
事務局長 藤本 泰成
米国エネルギー省の国家核安全保障管理局(NNSA)は、ニューメキシコ州にあるサンディア研究所の実験装置「Zマシン」で核兵器物質プルトニウムを使った実験を行いました。これまでの未臨界実験と同じく、「核兵器の維持・管理」のための安全性実験とされています。
昨年11月18日と今年の3月31日に行われた実験では、世界で最も強力なX線の出力を使い、核兵器の爆発に近い超高温・高圧下でのプルトニウムの反応テストに成功したと発表されました。これまでの未臨界実験では、ネバダ核実験場の地下施設で爆薬を使って行われており、極小出力の核実験との見分けが難しく、検証を難しくする事から、核拡散上の問題になっています。今回の新装置をつかった実験では、地下施設に隠れた実験ではなくなり、この検証問題では改善と評価すべき点もありますが、核兵器開発につながる危険性も疑いようもありません。削減されつつある米国防予算のなかで突出する核関連予算の問題とあわせ、核廃絶を目指すオバマ政権の姿勢が問われます。サンディア研究所の運営会社が世界最大の軍需企業ロッキード・マーティンの完全子会社であることもその性質を表していると言えるでしょう。
CTBT批准を実現させるため、米国議会内の取引材料であるとみても、その政治的コストは高すぎるものになっていると言わざるを得ません。
一方で、NNSAは、福島第1原発の震災事故後、放射能汚染の空中測定を続け、原発周辺数十kmの注目すべき測定データも日本政府より先に公表するなど、米国内外の核・放射能危機への対応や核兵器の安全性・信頼性の維持・発展を担う年間予算91億ドルの強力な組織です。公表データも福島住民の被曝対策にも有効なものでした。
原発震災後の核の恐怖のもとにある日本の政府は、こうしたNNSAの危機管理については、学ぶ必要も大いにありますが、米政府に対しては、ネバダ核実験場の閉鎖や、CTBT早期批准を求め、核開発につながる動きを抑止するよう求めるべきです。
原水禁は、「核と人類は共存できない」考えから、あらゆる核開発に反対します。これらの新型実験の中止と、ネバダ核実験場の閉鎖、CTBT早期批准を米国政府に強く求めます。