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【ニュースペーパー2010年9月号】被爆65周年原水禁世界大会・国際会議―NPT再検討会議後の運動を考える

2010年09月01日

 被爆65周年原水禁世界大会・国際会議は、「2010 NPT再検討会議を受けて―東北アジアをめぐる核状況と非核化」をテーマに、8月3日、広島市のアークホテルで、パネルディスカッション形式で開催されました。討論は、川崎哲さん(ピースボート共同代表)、中村桂子さん(ピースデポ事務局長)の二人をコーディネーターとして進められました。

「ヒバク国日本」が今ほど問われるときはない
 初めに、藤本泰成・原水禁大会事務局長がキーノートスピーチを行いました。そこでは、①崩壊の危機の中で開催された2010年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議は、不十分ながらも「合意文書」を採択したことによって、核廃絶社会への新たなスタートを切ったと評価。しかし米ロなど核兵器国が、核兵器廃絶への「行程表作成」に強く抵抗したことが示すように、核兵器保有国の核兵器への強い執着心も浮き彫りにされたことから、世界の核廃絶運動の一層の強化が重要。②中東非核化会議の2012年開催は、イスラエル、イランを含む中東全域での今後を左右するものとして評価。③韓国哨戒艦沈没をめぐり緊張が続く朝鮮半島について、韓国内では合同調査団の報告に多くの疑念が存在している。真相究明には時間がかかるが、それを待つことなく、6ヵ国協議再開を求めて行くことの重要性。④現在、日印政府間で協議が進んでいる「日印原子力協定」は、NPT体制を崩壊させかねない問題であり、強く反対すると提起しました。

東アジア非核化へ向けての熱い討論
 パネルディスカッションでは、米国・ピースアクション政策担当のポール・マーティンさんが「米核戦略と朝鮮半島の非核化」と題して報告。まずNPT再検討会議で合意文書が採択されたことを評価した上で、「核態勢の見直し(NPR)の中で、オバマ大統領は核兵器の役割を削減すると約束しているが、米ロ間の『新START条約』の調印はこうした考えに基づくものだ。議会保守派は新STARTに反対しているが、これは批准されるだろう。また朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の核問題は、軍事的というより、政治的な意味が強い。日本政府は6ヵ国協議を進展させ、米国に協議を継続するよう促すことができる立場にある。もっと積極的に行動すべきだ」と訴えました。
 韓国・参与連帯のイ・テホさんは「朝鮮半島の非核化から東北アジアの非核化へ―今求められること」と題して、東北アジアは核の脅威が解決されるか、さらに悪化するかの岐路にある。積極的な平和活動(先制平和行動)が今、東北アジアで最も求められていると訴えました。

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左からポール・マーティンさん、イ・テホさん、候紅育さん

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パネリストの議論に熱心に耳を傾ける参加者

 中国人民平和軍縮協会の候紅育さんは「中国から見た東北アジアの非核化」というテーマで、特に北朝鮮、韓国、日本が非核地帯化で合意し、それを中国、ロシア、アメリカが尊重する、いわゆるスリー+スリー(3+3)方式が最も望ましいと訴えました。
 日本からピースデポ特別顧問の梅林宏道さんは「NPT再検討会議の結果と東北アジアの非核化」と題する報告の中で、「核軍縮を進める包括的アプローチ」として、核兵器禁止条約と東北アジアの非核地帯化の必要性を指摘しました。また、討論の中で、元英国海軍将校のロバート・グリーンさんの「核抑止論は虚構である」との報告などもあり、参加者からの意見も含めて討議が進められました。これらの内容は、大会記録集に収録される予定です(10月発行・1,500円)。
 

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