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【ニュースペーパー2010年9月号】核兵器廃絶、ヒバクシャ支援、脱原発へ向けた取り組み強化を!―被爆65周年原水禁世界大会開かれる
2010年09月01日
広島・長崎に1万人を超える人々が結集
被爆から65年目を迎えた8月4日から9日にかけて、広島・長崎で「核も戦争もない平和な21世紀に」をメインスローガンに、原水爆禁止世界大会を開催しました。参加者は、原水禁・連合・核禁会議の三団体の開会大会に広島6,800人、長崎4,500人が集まりました。
8月5日の国際会議には、約100人が参加し、今年5月の核拡散防止条約(NPT)再検討会議をどのように受け止め、具体的な運動に結びつけるのかを問いました(内容は5ページ)。
分科会では、核兵器廃絶、ヒバクシャとの援護・連帯、脱原発の三つの課題を中心に議論しました。また、子どもたちの取り組みとして、「メッセージfromヒロシマ2010」には全国から約400人の子どもたちが集まり、高校生1万人署名運動も、炎天下で元気に署名活動や集会に取り組んでいました。
「核の傘」から離脱し、東北アジア非核地帯を
NPT再検討会議の議論を受けて、核兵器廃絶に向けた具体的な動きをつくり出すために、これまで以上の原水禁・連合・核禁会議の三団体と平和市長会議との連携強化を進めていくことが確認されました。
また、核密約問題が明らかになる中で、一部の政治家やマスコミなどによる非核三原則の2.5原則化(一時的寄港や通過を認めるなど)への動きに対して、非核三原則の法制化を提起しました。今後は法制化へ向けた議論や地方議会決議などの展開が求められています。
日本とインドとの原子力協定の動きは、被爆国日本が率先してNPT体制を空洞化させるものであることも訴え、広島では大会特別決議も採択しました。これも今秋以降、締結反対の地方議会決議などの取り組みが求められています。
さらに、東北アジアの平和と安全をどのように築きあげるのかが問われ、朝鮮民主主義人民共和国の核実験や韓国の哨戒艇沈没事件、米軍再編と普天間基地問題など、様々な不安定要因を抱える中で、東北アジア非核地帯構想を掲げました。米国の核の傘からの離脱を求めていくことが重要となる中で、菅直人首相の「核抑止力は必要」との発言は大きな問題です。
ヒバクシャ援護対策の充実と国際的な連帯を
被爆者健康手帳の所持者は227,565人(2010年3月末)となり、高齢化が進む中で、生活や健康不安を抱えて暮らしており、残された課題の解決が急がれています。特に今大会では、長崎の被爆体験者へ被爆者健康手帳を交付させることや、在外被爆者の課題では、「被爆者はどこにいても被爆者」という立場から、現行の最高限度額を設定した助成制度に限定した制度を国内と同様にすること、さらに、これまで何の援護も受けていない在朝被爆者への援護を行うこと、被爆二世・三世の健康不安を軽減させるための健康診断の充実などが、今後の運動の課題として確認されました。
また、アメリカの先住民のメニュエル・F・ピノさんが参加し、ウラン採掘における被曝の実態が報告されました。ウラン採掘に日本企業が関わっていることや原子力の商業利用の中での核被害の問題が明らかになり、今後の連携の強化が求められています
広島の平和祈念式典にバン・キムン国連事務総長が出席(8月6日)
プルトニウム利用の破たんとエネルギー政策転換へ
脱原発の課題では、プルトニウム利用政策の破たんとエネルギー政策の転換を訴えました。六ヶ所再処理工場が稼働できないでいる中で、もんじゅやプルサーマルが動き出しましたが、その先行は不透明なままです。大会では、プルトニウム利用路線の転換の必要性を明らかにし、各地での今秋以降の運動の強化が確認されました。
さらに、エネルギー政策の転換を求める上で、自然エネルギーの積極的活用を訴え、エネルギー政策の転換を求める提言を原水禁としてまとめ、今秋からの国会での議論を進めることをめざしています。