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福井で6・19対APEC市民エネルギーシンポジウム開かれる
2010年06月19日
警察の過剰なまでの厳戒態勢の中、6月19日、アジア太平洋経済協力会議(APEC)エネルギー担当大臣会合が福井市内で開かれました。20ヵ国のエネルギー担当大臣が、日本一原発が集中する福井に結集し、省エネルギー政策や地球温暖化対策について話し合われました。会議のまとめとしての「エネルギー安全保障にむけた低炭素化対策に関する福井宣言」(福井宣言)【※PDFファイル】では、エネルギー源の多様化と二酸化炭素(CO2)の排出削減に向けて、省エネの推進や再生可能エネルギーの導入促進をうたいつつも、日本政府の肝いりで「新規の原発建設の促進」を明記しました。
厳戒態勢が敷かれた福井市内
このような地球温暖化対策に原発活用を積極的に打ち出す動きに対抗して、原水禁、原子力資料情報室、原発反対福井県民会議の3者によって、同日、青森や鹿児島など全国各地から250名が集まり、「6・19対APEC市民エネルギーシンポジウム」を開催し、地球温暖化対策に原発は役に立たないことを訴えました。
三者を代表して、藤本泰成原水禁事務局長は、「もんじゅ」の無謀な運転と六ヶ所再処理工場の技術的破綻は明らかで、再生可能エネルギー社会にシフトしていくことの必要性を訴えました。基調講演では、立命館大学の大島賢一さんから「原子力で未来を拓けるのか-原子力発電の費用とCO2排出量」として講演していただきました。その中では、電源別のコストで「原子力単体でみた発電単価でみた場合であっても、原子力は安価な電源とは言えない」「『原子力+揚水(出力調整用に原発を補完してつくる揚水発電所)』でみれば、最も高いで電源である」と語られ、これまでの推進側が主張してきた原発のコストが最も安いとしてきたことに具体的な反証を行いました。さらに、原子力とCO2排出については「原子力発電は炭素フリーな電源ではないし、CO2排出量の点で再生可能エネルギーよりすぐれているとは言い難い」と述べました。
その後のパネルディスカッションでは、東北大学の長谷川公一さんから「原発は地球温暖化対策の切り札か?」、フリージャーナリストの鈴木真奈美さんからは「日本の原子力輸出政策をめぐって」、原子力資料情報室の西尾漠さんからは「原発は温暖化防止に役立たない」をテーマにそれぞれ報告されました。このシンポジウムに先立ち、厳戒態勢が敷かれる市内で抗議のデモが行われました。
■APECエネルギー大臣会合に対するNNAF(ノー・ニュークス・アジア・フォーラム)共同声明
6・19対APEC市民エネルギーシンポジウム(福井市・福井県教育センター)
福井市内をデモ行進