10月, 2026 - 原水禁

オンライン署名「いま動かなければ間に合わない――原子力潜水艦保有に反対します」のご紹介

2026年10月20日

今年末にも安保三文書の改定が目論まれています。その際、非核三原則の「持ち込ませず」の表現変更、そして原子力潜水艦の保有を盛り込むことなどが策動されています。

戦争被爆国である日本が原子力潜水艦保有へと動くことは、世界の核拡散防止にとって非常に悪影響を及ぼします。また、周辺諸国にさらなる軍事的緊張をもたらします。そして本質的に核汚染のリスクを抱えるものであり、許されるものではありません。

今回、原子力資料情報室が中心となって、原子力潜水艦保有に反対するオンライン署名が呼びかけられていますので、ご紹介します。ぜひご賛同・ご協力をお願いします。

こちらから署名できます→ https://c.org/kmXC8JXqH7

いま動かなければ間に合わない――原子力潜水艦保有に反対します

いま、日本が大きな転換点を迎えています。

2026年10月14日、高市首相は国会で自衛隊への原子力潜水艦導入について「具体的かつ現実的な検討を深める」と答弁しました。政府は年内に安保3文書(国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画)をとりまとめる予定で、原子力潜水艦保有がその中に盛り込まれる可能性が現実のものとなっています。

この1年、議論は急速に加速してきました。2025年9月には防衛省有識者会議が「次世代の動力」として保有検討を報告書に記載。2026年6月には日本維新の会が核共有・非核三原則見直しと並んで原潜保有を提言、自民党も「次世代の動力」を搭載した潜水艦の保有検討を提言しました。そして今、首相自らが「具体的検討」を口にしています。

原子力潜水艦は長期間・長距離の外洋展開を前提とした攻撃的な兵器です。専守防衛の日本に、その必要はありません。1隻1兆円ともいわれる巨額コスト、母港となる地域への新たなリスクも見過ごせません。さらに、原子力潜水艦を保有すれば核燃料が国際的な査察の外に置かれる恐れがあり、被爆国日本が核拡散防止の国際的な枠組みを自ら傷つけることになります。

日本は「唯一の戦争被爆国として、核兵器のない世界の実現をリードする責務がある」と自ら宣言してきました。原子力潜水艦の保有は、その言葉を自ら裏切ることです。

政府これまで原子力潜水艦保有を水面下で何度も検討を重ねながら、その大きなハードルから、結局、保有を否定してきました。今回、安保3文書に「原子力潜水艦の保有を検討する」と書き込まれてしまうと、保有を前提とした検討に進みかねません。

安保3文書のとりまとめは今年末。時間がありません。ぜひ署名で声を届けてください。

私たちは政府に対し、原子力潜水艦の保有検討を撤回するよう強く求めます。

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宛先:高市早苗内閣総理大臣/小泉進次郎防衛大臣

日本は原子力潜水艦を持つべきではない

6月24日、日本維新の会が「提言【「危機の30年」時代の国家安全保障戦略】」を発表した。同提言は、非核三原則の見直し、核共有の検討と並んで、原子力潜水艦保有を強く打ち出している(全124ページ中16ページを原潜、13ページを核戦略に割いている)。昨年9月に防衛省の有識者会議「防衛力の抜本的強化に関する有識者会議」が発表した報告書や日本維新の会の提言と同日に自由民主党が発表した「新たな国家安全保障戦略等の策定に向けた提言」においても「次世代の動力」と婉曲的ではあるものの原子力潜水艦の保有検討が示されていた。私たちは、こうした動きに強い懸念を持つ。日本は原子力潜水艦を持つべきではないと考えるからだ。

まずそもそもの必要性が疑わしい。一般に原子力潜水艦の用途は攻撃原潜の場合は敵艦艇との交戦・空母護衛・監視、戦略原潜の場合は核抑止(第二撃)のためとされる。最近の原潜保有論の多くは広範な海域での展開を前提とするが、それは日本の国是である専守防衛の枠を大きく超える。 また日本は非核兵器国であることから戦略原潜が想定する核の第二撃を運用する主体となりえない。次に、現実的な障壁も大きい。1隻1兆円ともいわれる建造コストに加え、母港の確保、長期潜航に対応できる乗員体制の構築など、運用上の課題は山積している。放射能関連の事故リスクをはじめ安全性の問題も存在する。また通常型潜水艦とはコンセプトが大きく異なるため、開発には相当の期間を要する。近年、急速な進歩を遂げている蓄電池技術により、実用化の時点では原子力潜水艦の優位性が失われている可能性もある。

最大の問題は、核不拡散体制への深刻な打撃である。核不拡散条約(NPT)第3条に基づき締結されている包括的保障措置協定(14条)は、核物質が軍事的性格を持つ活動に使用されている期間中は、 国際原子力機関(IAEA)の保障措置(査察)を免除することを認めている。そのため原子力潜水艦での核物質利用はNPTの 「抜け穴(loophole)」になると懸念されている。これまで原子力推進の軍事用艦船は核兵器国しか保有していなかったため、その問題は顕在化してこなかったが、オーストラリアや韓国など非核兵器国による原子力潜水艦保有の動きは、同条で規定する特別かつ固有の保障措置協定が必要となる。このどの国も締結したことがない協定の内容は不透明であり、すでに核不拡散体制に深刻な緊張をもたらしている。なお、低濃縮ウランを用いれば懸念が緩和されるとの指摘もあるが、濃縮度にかかわらず核物質が保障措置の対象から一時的に外れるという構造自体は変わらない。 日本がこれに加わることは、保障措置制度を複雑化させ、核不拡散体制のさらなる弱体化を後押しすることになる。原子力の軍事利用と民生利用の境界線が希薄化しつつある今、日本のような技術力を持つ非核兵器国が原潜保有に踏み出せば、この境界のあいまいさをさらに既成事実化しかねない。

日本はこれまで「唯一の戦争被爆国」として核廃絶をリードする責務を自ら宣言し、原子力基本法においても原子力利用は平和利用に限定してきた。原子力潜水艦の保有はその立場を自ら否定するものだ。専守防衛を国是とする日本に原子力潜水艦は必要なく、この議論に費やすべき政治的・財政的資源は、外交による緊張緩和に用いられるべきだ。私たちは政府に対し原子力潜水艦保有検討を行わないことを強く求める。

>>>署名はこちらから<<<
https://c.org/kmXC8JXqH7

JCO臨界事故を忘れない!27年目の集会を東海村で開催

2026年10月01日

1999年9月30日、茨城県東海村にあるJCOの核燃料加工施設で臨界事故が発生し、急性放射線障害で労働者2名が死亡、1名が重症、施設周辺住民の多数が被ばくする事態となりました。

この大惨事の直接の原因は、同施設で核燃料製造中、国が許可していない作業手順で、臨界量以上のウラン溶液を使用したことで核分裂連鎖反応が発生し、これにより大量の中性子線が放出されたことによります。事故発生は10時30分、終息したのは翌日10月1日の6時30分でこの20時間の間、目に見えない強烈な放射線を放出し続けたのでした。

発生から27年が過ぎ、原子力の「安全神話」を完全に崩壊させたJCO臨界事故を忘れず、語り継ぎ、教訓を次の時代につないでいくために9月27日、地元の団体や原水禁など6団体が主催して「JCO臨界事故27周年集会」を東海村・石神コミュニティセンターで開催しました。

地元の市民団体を代表してあいさつに立った大泉実成さん(臨界事故を語り継ぐ会)は、事故発生当時JCOから120メートルのところでご両親が仕事をしており、お母さんがその日の夜から口内炎や激しい下痢などで苦しみはじめ、その後も「JCO」、「原発」など被爆に関連する言葉を聞いただけで体が硬直するなど、典型的なPTSDの症状が出るようになったと住民の被害の実態を話しました。こうした被害が明らかであるにもかかわらず、JCOは補償にはいっさい応じず、やむなく裁判も提起しましたが、8年間にわたる裁判闘争で結局敗訴になってしまいました。体の不調がJCOの事故による放射線によるものだという因果関係を被害者側が立証しなければならないという法律の不備が大きな壁になったと穏やかな口調で怒りを語りました。

フォトジャーナリストの豊田直巳さんは、東京電力福島第一原発の過酷事故から15年たった今の福島の状況を、事故直後からの豊富な取材と撮影された写真を紹介しながら説明しました。被害の実態を小さく見せたい、復興が進んでいると喧伝したい政府の説明がいかに実際とそぐわないものであるか、事実はどこにあるのか、豊田さんが具体的に示す過去と現在の写真であきらかにわかります。

集会では他に、茨城県内の39市町村長からのメッセージが紹介され、また集会参加者一同で採択されたアピールでは、核のごみの「地層処分」で、文献調査の対象に茨城県の常陸大宮市が対象となったことに反対する姿勢を示しました。核のごみがウラン鉱石並みの「安全」となるには10万年の年月を要します。遠い遠い将来に渡って、4つのプレートがぶつかり合い、活断層だらけの日本列島でどうやって安全な地層処分があるのでしょう。アピールでは、「いま、必要な原子力政策は、まずは核のごみを出し続ける原発推進を改め」ることを求めています。

集会に参加した180名は、「JCO臨界事故を忘れない」「子どもたちをまもろう」などと、全港湾青年部労働者の若々しいシュプレヒコールが村内に響き渡るなか、JR東海駅までデモ行進をしました。

 

JCO臨界事故27周年集会アピール

JCO 臨界事故は1999年9月30日10時30分に、ウラン加工工場の転換試験棟で起こり、一昼夜臨界状態が続き翌10月1日、6時30分に終息した。この20時間のあいだ居住地に中性子線を主に放射線が放出され、労働者や周辺住民が被ばくした。

この事故は、チェルノブィリ事故・スリーマイル島事故についで世界第三番目の規模に達し、作業員2名の死亡を含む3人が急性放射線障害で労災認定された。日本の原子力事故で死亡者が出たのは初めてである。国の線量評価では660名を超える被ばく者と、うち年間線量限度1mSv超えの被ばく住民は119名と記録されている。

事故の直接的原因は、高速増殖実験炉「常陽」の核燃料製造の前段階の硝酸ウラニルを製造する際に、国が許可していない作業手順や道具を使って、沈殿槽という装置に臨界量以上のウラン溶液を投入したことにあった。本来あってはならない違法作業が行われていた上に、国の監視もずさんで、認可のない工程での作業を見逃していたのである。

住民が村内放送で臨界事故を知ったのは発生2時間後の12時半であり、350m圏内の住民に1㎞先の避難所への避難を、国の無策のなか独自に東海村が要請したのは、4時間30分後の午後3時であった。そして翌朝、臨界が収束したが、避難者の避難解除は2日午後6時30分になった。この間住民は制限された情報の中、放射線に怯えて不安と焦燥の時間を強いられたのである。屋内退避解除後の放射能汚染検査会場への長蛇の列はその恐怖の確かな証明である。

この住民の体験とは裏腹に国の事故調査委員会は、確定的な影響をもたらす線量ではなく、確率的な影響も見出しがたい線量のレベルであったと放出線量評価を行い、住民の被ばく認定や補償の道を閉ざしてしまった。このような評価をしながら、「不安解消のためと」して住民健康診断を国の予算で茨城県が実施することになった。この年1回の健診は今も続けられている。

以上は、JCO 臨界事故状況のあらましであり、記憶すべき事態の要点である。私たちはこの事故を語り継ぎ、ここから学び取る教訓を次の時代への糧にしなければならない。

JCO臨界事故は、原子力の「安全神話」を完全に崩壊させ、国内外に大きな衝撃を与えた。この東海村で、東海第二原発の再稼働問題が焦点となっている。人口過密地帯に立地し運転開始から48年になる超老朽原発で、防潮堤の不良工事が内部告発で明らかになり、中央制御室の火災をはじめ頻発する火災を起こし、運転習熟要員も少ないなかで、原発の安全な運転を期待するのは無理であり、再稼働の選択はあり得ない。日本原電は東海第二原発の再稼働を断念し、廃炉にする手だてに入るべきである。

もう一つ、この地域に大きな衝撃が起こっているのが、常陸大宮市が高レベル放射性廃棄物の最終処分場の文献調査の対象と発表されたことである。地層処分は、この核のごみを地中に埋めて、10万年という遠い将来の世代に責任を押しつけていく政策であり、安全性も確認できていない。周辺地域の自治体や住民は、核のごみの危険性を知らされていないし、反対の声を拡げていかなければならない。いま、必要な原子力政策は、まずは核のごみを生み出し続けている原発推進を改めて、これ以上使用済み核燃料が発生しないようにすることである。

2026年9月27日

JCO臨界事故27周年集会参加者一同

【原水禁声明】茨城県常陸大宮市の「核のごみ」文献調査受け入れ表明に抗議する

2026年10月01日

高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分地選定に向けた文献調査について、茨城県常陸大宮市長が受け入れを正式表明したことを受け、原水禁は以下の声明を発表しました。

茨城県常陸大宮市の「核のごみ」文献調査受け入れ表明に抗議する

原子力発電所から出る高レベル放射性廃棄物、いわゆる「核のごみ」の最終処分地選定をめぐり、経済産業省は8月31日、茨城県常陸大宮市に対して文献調査の実施を申し入れた。これを受け、鈴木定幸市長は9月30日、文献調査を受け入れることを正式に表明した。原水禁はこれまで、現地市民団体らとともに常陸大宮市長や市議会に対して文献調査受け入れ反対の要請行動をおこなってきた。

「文献調査」は、最終処分地選定に向けた3段階の調査の第一段階であり、受け入れれば最大20億円の交付金が支給される。これまで北海道寿都町、神恵内村、佐賀県玄海町、東京都小笠原村で実施されており、常陸大宮市は全国5例目となる。

特に問題視すべきは、市長が受け入れを決定するまでの過程で、市民に十分な情報が公開され、議論する機会が保障されていないという点である。市民や市議会から懸念の声が上がり、市長自身も判断を先送りしていたにもかかわらず、経済産業大臣との面会を経て「懸念はほぼ解消された」として受け入れを決定した。しかし、国から説明を受けたことによって、市民が抱える安全性への不安や、将来にわたる地域への影響が解消されたとは到底言えない。「核のごみ」の最終処分は、数万年から10万年単位で将来世代に関わる重大な問題である。行政と国との間のみで受け入れを決めることは許されない。

また、国が「地域任せにせず、国の責任で地域に協力をお願いする」として主導することは、原発を推進し、増え続ける「核のごみ」の処分地を確保するという、原子力政策を維持するための国の都合による申し入れでしかない。これまでに文献調査を受け入れてきた自治体では、住民の対立・分断が生み出されている。誤った原子力政策が、地域にどれだけの不和を招いているのか、国は目を背けてはいけない。

さらに、文献調査の受け入れについて、人口減少が続く常陸大宮市の「市の存立基盤として十分に機能する可能性がある」と市長が判断していることにも強い疑問を持つ。人口減少に歯止めをかけるために「核のごみ」を受け入れ、交付金を活用するという考え方は、あまりにも安易である。交付金によって一時的に財政が潤ったとしても、それによって人口減少という地域が抱える根本的な課題が解決されるわけではない。

常陸大宮市は、施政方針の柱の一つとして「だれもが安心して暮らせるまち」を掲げ、市民の生命と財産を守るため、医療や福祉の充実、防災体制の強化に取り組むとしている。しかし、数万年から10万年単位で将来世代に影響を及ぼす可能性のある「核のごみ」をめぐる調査を、市民への十分な情報公開や議論、理解がないまま進めることは、「だれもが安心して暮らせるまち」という市の理念とは反するものである。

「原発を動かして核のごみを生み出す。しかし処分地は決まらない」という矛盾を抱えたまま原子力政策を進め、その負担を人口減少や財政上の困難を抱える地域に、交付金と引き換えに押しつけることは、極めて不公正・不正義である。

原水禁は、原子力政策そのものが構造的な矛盾を抱えた政策であることを改めて指摘する。これ以上「核のごみ」を生み出さないためにも、脱原発を実現し、核燃料サイクル政策を断念することを政府に求める。

市民の安全と理解を置き去りにして「核のごみ」の処分地選定を進めることは許されない。原水禁は、常陸大宮市の文献調査受け入れに反対するとともに、地層処分を前提とした処分地選定は誤りであることを強く訴える。

2026年10月1日
原水爆禁止日本国民会議
共同議長 川野浩一
金子哲夫
染 裕之

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