2026年、声明申し入れ

【原水禁声明】茨城県常陸大宮市の「核のごみ」文献調査受け入れ表明に抗議する

2026年10月01日

高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分地選定に向けた文献調査について、茨城県常陸大宮市長が受け入れを正式表明したことを受け、原水禁は以下の声明を発表しました。

茨城県常陸大宮市の「核のごみ」文献調査受け入れ表明に抗議する

原子力発電所から出る高レベル放射性廃棄物、いわゆる「核のごみ」の最終処分地選定をめぐり、経済産業省は8月31日、茨城県常陸大宮市に対して文献調査の実施を申し入れた。これを受け、鈴木定幸市長は9月30日、文献調査を受け入れることを正式に表明した。原水禁はこれまで、現地市民団体らとともに常陸大宮市長や市議会に対して文献調査受け入れ反対の要請行動をおこなってきた。

「文献調査」は、最終処分地選定に向けた3段階の調査の第一段階であり、受け入れれば最大20億円の交付金が支給される。これまで北海道寿都町、神恵内村、佐賀県玄海町、東京都小笠原村で実施されており、常陸大宮市は全国5例目となる。

特に問題視すべきは、市長が受け入れを決定するまでの過程で、市民に十分な情報が公開され、議論する機会が保障されていないという点である。市民や市議会から懸念の声が上がり、市長自身も判断を先送りしていたにもかかわらず、経済産業大臣との面会を経て「懸念はほぼ解消された」として受け入れを決定した。しかし、国から説明を受けたことによって、市民が抱える安全性への不安や、将来にわたる地域への影響が解消されたとは到底言えない。「核のごみ」の最終処分は、数万年から10万年単位で将来世代に関わる重大な問題である。行政と国との間のみで受け入れを決めることは許されない。

また、国が「地域任せにせず、国の責任で地域に協力をお願いする」として主導することは、原発を推進し、増え続ける「核のごみ」の処分地を確保するという、原子力政策を維持するための国の都合による申し入れでしかない。これまでに文献調査を受け入れてきた自治体では、住民の対立・分断が生み出されている。誤った原子力政策が、地域にどれだけの不和を招いているのか、国は目を背けてはいけない。

さらに、文献調査の受け入れについて、人口減少が続く常陸大宮市の「市の存立基盤として十分に機能する可能性がある」と市長が判断していることにも強い疑問を持つ。人口減少に歯止めをかけるために「核のごみ」を受け入れ、交付金を活用するという考え方は、あまりにも安易である。交付金によって一時的に財政が潤ったとしても、それによって人口減少という地域が抱える根本的な課題が解決されるわけではない。

常陸大宮市は、施政方針の柱の一つとして「だれもが安心して暮らせるまち」を掲げ、市民の生命と財産を守るため、医療や福祉の充実、防災体制の強化に取り組むとしている。しかし、数万年から10万年単位で将来世代に影響を及ぼす可能性のある「核のごみ」をめぐる調査を、市民への十分な情報公開や議論、理解がないまま進めることは、「だれもが安心して暮らせるまち」という市の理念とは反するものである。

「原発を動かして核のごみを生み出す。しかし処分地は決まらない」という矛盾を抱えたまま原子力政策を進め、その負担を人口減少や財政上の困難を抱える地域に、交付金と引き換えに押しつけることは、極めて不公正・不正義である。

原水禁は、原子力政策そのものが構造的な矛盾を抱えた政策であることを改めて指摘する。これ以上「核のごみ」を生み出さないためにも、脱原発を実現し、核燃料サイクル政策を断念することを政府に求める。

市民の安全と理解を置き去りにして「核のごみ」の処分地選定を進めることは許されない。原水禁は、常陸大宮市の文献調査受け入れに反対するとともに、地層処分を前提とした処分地選定は誤りであることを強く訴える。

2026年10月1日
原水爆禁止日本国民会議
共同議長 川野浩一
金子哲夫
染 裕之

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