原水禁大会 2023年、2026年
「被爆81周年原水爆禁止世界大会・広島大会」3日目 国際シンポジウムとまとめ集会を開催
2026年08月07日
8月6日、広島市・県民文化センターで「被爆81周年原水爆禁止世界大会・広島大会」国際シンポジウムとまとめ集会を開催し、約500人が参加しました。
本年の国際シンポジウムは「核廃絶社会の実現に向けて 現在の世界情勢をもとに私たちのとりくみを考える」をテーマに、 セス・レーアさん(アメリカ・ピースアクション)、キム・ドンジンさん(韓国・参与連帯)、秋葉忠利さん(原水禁顧問、元広島市長)がパネリストとして参加〔コーディネーター:染裕之(共同議長)〕。
パネリストからは世界、とりわけ日米韓の核をめぐる情勢を踏まえた提起が行われました。核使用の危険性のみならずあらたな核保有へと踏み切りかねない厳しい状況にあることは明らかではありますが、先制不使用宣言などを軸に具体的なアクションの積み重ねが必要であり、現状打開にあたっては日本政府の方針転換こそが重要であることを確認しました。
まとめ集会では、3日間の広島大会の成果を振り返ったうえで、「ヒロシマ・アピール」を採択しました(谷事務局長による広島大会まとめ報告、アピール全文は記事下部に掲載しています)。四半世紀を経て、「核も戦争もない21世紀」には程遠い現状があります。しかし、この目標を諦めず、平和を希求し声を上げる世界の人びとがいます。私たちはこのことに励まされながら、「核と人類は共存できない」という運動の原点を確認しつつ、いっそうの奮闘努力を重ねていきましょう。
今後、長崎の地において、8月7・8・9日、「被爆81周年原水爆禁止世界大会・長崎大会」を開催します。ご参加・ご協力・ご注目をお願いします。
被爆81周年原水爆禁止世界大会・広島大会まとめ報告(谷雅志・事務局長)
1945年8月6日8時15分、ここ広島に人類史上はじめて、原子爆弾が炸裂しました。一瞬にして多くの命を奪った原子爆弾。被爆者は「人間として死ぬことも、人間らしく生きることも許され」なかったのです。81年経った今でも後遺症に苦しむ被爆者を生み出し、その影響の大きさと今日まで続くあまりに長い時間の長さが、いかに非人道的な兵器であったかを示し続けています。
81年経った今日を、広島で迎えた私たちは当時の状況を想像することでしかその凄惨さを感じることができません。私たちの想像力の基となる被爆者の語る被爆の実相は、広島という場所としての歴史とあいまって、私たちに二度と繰り返してはならないという具体的なメッセージとなって届いてきます。
現在の核をめぐる状況は、大変危機的であると言わざるを得ません。5月に閉会した核不拡散条約(NPT)再検討会議では、成果文書をとりまとめることができませんでした。核保有国であるアメリカとロシア・中国の対立が深まり、イランやウクライナでの武力による現状変更を押し進めようとする姿勢に、国際社会全体が混迷度合いを増しています。国際法は関係ないと公然と発言する国のリーダーが、国家間の対立と分断を煽っています。時の政治権力者によって核兵器使用という誤った判断がなされないよう、私たち市民が声をあげなければなりません。11月末から12月にかけて開催される核兵器禁止条約第1回再検討会議へと、核廃絶を願う私たち市民の声をつなげていきましょう。そのためにまずは日本が、核兵器廃絶を実現させる強い決意を示すうえでも、核兵器禁止条約に署名・批准することが必要です。この運動を強化していかなくてはなりません。
昨日の分科会ではこういった国際情勢を踏まえた講演と議論が展開されました。日本国内における「防衛力強化」という名の軍事力増強は、近隣諸国との対立を深める一方です。沖縄・南西諸島のみならず全国を巻き込む基地機能強化と、日本政府がおし進めようとする日米軍事一体化は、武力としての構えをより鮮明にするばかりです。今こそ日本国憲法の理念である、世界の平和を実現させる強い発信が必要です。日本が有事という名の戦争に巻き込まれると危機感を煽り、戦争のできる国づくりを進めようとする日本政府の方向性は誤っています。気がつけば戦争が始まっていたという歴史を決して繰り返すことはできません。国際情勢の不安定さや「安全保障環境の変化」を理由に、高市政権は今年中に見直すとする「安保3文書」に関わって、「非核三原則の見直し」を議論する姿勢を示しています。これまで歴代政権が堅持してきた国の基本方針・国是をなぜ今、見直す必要があるのでしょうか。加えて高市首相は憲法「改正」を急ごうとしています。原爆投下につながった戦争という過ちを二度と繰り返さないという決意が込められた憲法理念を変える必要など、まったくないことは明白です。憲法は政治家のものではなく、私たち市民のものです。
原水禁世界大会では広島・長崎の被爆の実相を原点に、核実験の被害、ウラン鉱石採掘から始まるあらゆるヒバクを許さないとする「核絶対否定」の運動を進めてきました。今年の分科会ではフランス領ポリネシアからテヴァエアライ・マリオ・フリッツ・プアライさんをお招きし、核実験による被害と補償を求めるとりくみの実態についてお話しいただきました。これからもグローバル・ヒバクシャのみなさん・関係各団体と連帯して核廃絶運動を進めていきます。
東京電力福島第一原発事故の発生から15年が経過しました。日本政府はいまだ避難生活を強いられている住民が数多くいるにも関らず、被害者支援を切り捨て、原発推進・積極活用へと舵を切りました。原発に絶対の安全はありません。先日発生し、多くの犠牲を出した熊本地震の時にも、近隣の原発は大丈夫かと肝を冷やされた方も少なくなかったと思います。地震大国日本に原発は危険です。これ以上核のごみを生み出さないためにも、原発再稼働ではなく、再生可能エネルギーを促進させる政策が必要です。
今大会においてのチャレンジとしてとりくんできた特別分科会は、企画から当日の運営まで、多くの青年層が中心となってすすめてきました。高校生から60代の幅広い年齢層の参加と、グループによるディスカッションは、多くの気づきと学びのきっかけとなり得たのではないかと感じています。
すべての分科会でご講演いただいた講師のみなさん、報告者のみなさん、貴重な学びと気づきをいただけたことに、心より感謝申し上げます。
初めての大会参加となったみなさん、この3日間でどのようなことを感じられましたでしょうか。ぜひお一人おひとりのお話を伺いたいと願っています。今後は各地域での原水禁運動の一助としてもらえれば、何よりも幸いです。
全国からの参加者を迎えるにあたって、これまでご準備をいただいた現地広島の大会実行委員会のみなさん、本当にありがとうございました。多くのみなさんの支えによって、個の広島大会を無事に開催することができましたことに、まずはホッとしています。
原水禁運動としてはまだまだめざすべき到達点には届かないもどかしさを抱えつつも、多くの仲間のみなさんと共有できた課題や問題意識を具体的に解決する道筋を、これからもともに考え、ともに運動を進めていきたいと思います。核と人類は共存できないという理念をいかした運動展開を模索していきます。
すべてのみなさんの感謝を申し上げながら、被爆81周年原水禁世界大会広島大会のまとめとさせていただきます。ありがとうございました。
被爆81周年原水爆禁止世界大会・広島大会「ヒロシマ・アピール」
1945年8月6日午前8時15分、広島に投下された原子爆弾は、強烈な「熱線」、「爆風」、「放射線」のもと、その年のうちに14万人もの尊い命を奪い去りました。あの日から81年。被爆者は「核戦争を起こすな、核兵器をなくせ」「ふたたび被爆者をつくるな」と、自らの壮絶な体験を語り続け、力の限り世界に核兵器廃絶を訴えてきました。
そうした中、4月27日からニューヨークで開催された核不拡散条約(NPT)再検討会議においては、日本被団協のノーベル平和賞受賞により核軍縮にむけた具体的な前進が期待されましたが、国際的に不安定な情勢も相まって、会議は3回連続で成果文書を採択することなく閉会しました。核の脅威が現実味を帯びている今だからこそ、加盟国は、条約第6条に基づく核軍縮義務を誠実に履行しなければなりませんし、私たち市民社会もその機運を高めていかなければなりません。
世界では、ロシアによるウクライナ侵攻は未だ終息を見ず、中東ではアメリカ・イスラエルが国際法を無視し違法なイランへの大規模攻撃を行い両国の停戦合意後も不安定な状況が続くなど、各地で武力による対立が深化しています。また、そのような軍事行動はいつも市民の尊い命や生活を奪います。とりわけ核兵器保有国による軍事行動は、核兵器使用が危惧される事態を招いています。状況はどうあれ、非人道兵器である核兵器の使用も威嚇も絶対に許されるものではありません。
一方、政府は日本が戦争被爆国でありながら、未だ核兵器禁止条約に署名・批准していません。また、現政権は、防衛力のさらなる強化や日米同盟を基軸とした安全保障政策を推進し、国是である非核三原則の見直しを進める議論や「核共有」を容認するかのような発言を繰り返しています。こうした姿勢は被爆者が80年以上にわたり訴え続けてきた「核兵器のない世界」の実現に逆行するものです。私たちは、改めて核兵器禁止条約への早期署名・批准、非核三原則の堅持・法制化、そして、核の傘に依存しない安全保障政策への転換を強く来めていかなければなりません。
東日本大震災・東京電力福島第一原子力発電所事故から15年が経過し、未だに多くの人々が避難生活を余儀なくされ、事故の完全な収束は見通せていません。にもかかわらず、政府は声高に「脱炭素」を理由に、原発の再稼働や新増設、運転期間延長を推し進めています。福島の現実と被災者の苦しみを顧みず、危険な原発への回帰政策は到底容認できるものではありません。引き続き、脱原発・脱再処理を基本とした再生可能なエネルギー政策への転換を強く来めます。
今日、ヒロシマは被燥81周年を迎えました。私たちはこの地に集い、原子爆弾がもたらした被者の実相を改めて心に刻み、人類がはじめて受けた衝撃を決して忘れることなく語り継ぎ行動し続けます。今年は、原爆ドームが世界遺産に登録されて30周年を迎えます。これを実現させたのは市民の力でした。この教訓に学び、これからも「核と人類は共存できない」の理念のもと、「核も戦争もない21世紀を」を実現させるため、原水禁運動を大きく拡げていきましょう。
ノーモア・ヒロシマ ノーモア・ナガサキ ノーモア・フクシマ ノーモア・ウォー ノーモア・ヒバクシャ
2026年8月6日
被爆81周年原水爆禁止世界大会・広島大会




