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核兵器禁止条約の発効にあたっての原水禁議長声明
2020年10月25日
核兵器禁止条約発効確定にあたっての原水禁議長声明発出について
昨日10月24日、中米ホンジュラス共和国が核兵器禁止条約に批准し、よって来年1月22日には発効することが確定しました。発効することが確定したことを受けて原水禁は、別紙声明を発出しました。核禁条約発効後も「核と人類は共存できない」ことを基本として、核兵器廃絶のみならず、すべての国の、すべての核に反対しとりくみを強化していくことを確認したいと思います。
核兵器禁止条約発効確定にあたっての原水禁議長声明
原水爆禁止日本国民会議(原水禁)
議長 川野浩一
10月24日、核兵器禁止条約(TPNW)を中米のホンジュラス共和国(Republic of Honduras)が批准しました。これにより批准した国・地域が50に達して、2021年1月22日に発効することが確定しました。これにより核兵器を非人道的兵器・絶対悪と定める国際規範が成立し、世界は核兵器廃絶という希望へ大きく前進することとなりました。原爆投下の惨劇の中から生きることを選択した被爆者の強い思いと、日本の原水禁運動やICANなどの核兵器廃絶にとりくむNGOの様々な努力、そして核兵器に頼ることなく自国の安全と世界の平和を願う各国政府のとりくみの大きな成果です。原水禁は、条約発効の意味をしっかりと受け止め、様々な組織・人々とともに核兵器廃絶へのとりくみを進めることを改めて確認します。
しかし、核兵器保有国、日本やドイツなど他国の核の傘の下にある国は、核抑止力を自国の安全保障の基本に据えて、条約に反対しています。本年10月2日に開かれた国連の「核兵器廃絶国際デー」で演説に立った、オーストリア代表の「核抑止力は安全をもたらすものではない。いいかげんにこの神話を葬ろう」との呼びかけに、核兵器保有国や保有国の核の傘の下にある国は真摯に応えるべきです。
今年8月9日、長崎平和祈念式典後の記者会見で安倍首相は、核兵器禁止条約に触れ「わが国の考え方とアプローチを異にしている」として、改めて条約に参加しないことを表明しています。また、安倍政権を継承するとした菅首相は、9月26日の国連総会でビデオ演説し「積極的平和主義」に基づき世界平和に貢献するとしましたが、「現実の安全保障の観点を踏まえていない」として、これまでの政府の姿勢を基本に核兵器禁止条約には触れませんでした。安倍政権は、この間朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)の核実験・ミサイル発射実験を脅威とし、また中国の南シナ海進出も含めて日本をめぐる安全保障の脅威を主張してきました。その上で、核抑止力をことさらに評価し条約批准が日米安保条約体制に矛盾するとの立場をとり、旧来の安全保障観を抜けることができません。朝鮮は、2002年のアメリカのジョージ・W・ブッシュ大統領の「悪の枢軸国」とされて以来、米国の圧力の下で核兵器保有を強行してきました。中国は、核の先制不使用宣言しており、両国の核兵器や戦力が日本へ向けられているとは考えられません。米国とともに、中国や朝鮮を仮想敵国として、ミサイル防衛の強化や敵基地攻撃に言及する日本政府の姿勢こそが、日本の安全を脅かすものと考えられます。
原水禁は、連合、核兵器廃絶・平和建設国民会議とともに、「核兵器廃絶1000万署名」にとりくみ、日本政府に核兵器禁止条約の批准を求めるとともに、核兵器廃絶を訴えてきました。8月9日には、長崎において中満泉国連事務次長・軍縮担当上級代表に、823万を超える署名を手交しました。中満泉事務次長は、核兵器廃絶という目標は「日本も共有しているはず」として条約に反対する各国に対して「ドアを完全に閉めずオープンマインドで」と苦言を呈しています。
米国は、イラン核合意を破棄し、そしてINF条約も破棄しました。来年2月には期限を迎える新戦略兵器削減条約(新START)の
原水禁は、核兵器禁止条約が発効したこの記念すべき出発点にあたって、平和を愛するすべての人々と、核兵器廃絶・平和構築にむけて、全力でとりくんでいくことを改めて確認します。