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【67大会・報告】長崎第3分科会/脱原子力3―学習編「脱原発に向けたエネルギー政策の展開」

2012年08月08日

会場:長崎市「長崎新聞文化ホール」
講師:藤井石根明治大学名誉教授

討論の要点と特徴
 冒頭、講師の方より「被爆体験者訴訟の問題は、これから福島においても同様の問題が多数出てくるのではないか。」という指摘があり、「放射能は、北海道・九州以外の日本中に拡散されている。まずは1人一人が『どれだけ被曝しているのか』把握することが大切」そして、「これから汚染された中で生活していく事を考えると、おのずと『脱原発ありき』で考えていくべき。」といった提起が行われました。
 一方で「電気が足りない」ということや、「レントゲンと同程度の被曝」ということも宣伝されていますが、これについても「省エネや電気の融通で今まで足りなくなった事はないし、被曝の問題も、今後は自然界放射線+人工的にまき散らされた放射線を持続的に浴びることになる。福島第一原発では、今でも人が近づけない程高い放射線値になっていて、中身がどうなっているのかすら分からないにも関わらず、政府は『収束宣言』を出している。安全が確立されないまま原発を動かすことの方が問題。」という指摘が行われました。
そして、この間、政府や電力会社は「安全・コスト安・クリーンエネルギー」の3つの神話をもとに原発を推進してきましたが、これについても「事故によって安全神話は崩壊、コストについても事故の際の補償費用や国からの補助金などが換算されておらず、また原発が止まっていても他の発電所からの電気で燃料を冷やし続けなければならず、どんどんCo2を排出している。」と指摘され、放射性物質をまき散らしても責任が問われず被害者が泣き寝入りさせられている事なども含めて、「いかに原発がリスキーかという事を改めて認識して行く事が必要では」という事も言われています。
 
 次に、今後のエネルギー政策の在り方について、「まずは『大量生産・大量消費・24時間型社会』から『地産地消型・低エネルギー社会』を目指していくべき。その為には、化石燃料に頼らず、自然エネルギーを活用していく事が必要。」という事で、「NPOの試算によると、日本でも太陽光発電で原発30基分・風力782基分・地熱20基分・水力28基分もの発電量が見込まれ、供給量は十分ある。それぞれ安定していない部分はあるが、ベストミックスして運用して行けば十分やっていける。」という提案が行われました。
 また、そうした施策を推進していく為にも「自然エネルギー割合の数値目標の設定」「環境悪化に対するペナルティ」「化石燃料・原発に対する補助金の段階的廃止」「自然エネルギー利用の義務付け」などの政策も求めて行かなければならないという事も言われています。

 最後に、「何が正しくて何が間違っているのか、自分の頭を使って考え、判断・行動していく事が大切」「人間社会は1人では成り立たず、みんなでどう共存していくのかといった視点で社会を作っていくことが必要」という主張が行われ、締め括られました。

 参加者からの質疑では、「電力会社は『地域独占』で原発に固持している。そうした中で、発・送電分離問題をどう考えていくのか。」「地域が一定の割合で担う『オーナーシップ制度』とは。」といった事が出され、その後の討論でも、「今からでも出来る取組みとして、自販機などをなくしていく取組みなどを考えてみてはどうか」「教育現場では、毎日遅くまで残業している実態がある。まずはそうした働き方を見直さなければならないのでは」「九州では6月に計画停電の宣伝が行われ、様々な対策を強いられた。そうした中で国民の意識を誘導しようとしているのでは」といった問題提起もされました。
 

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