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【67大会・報告】広島第6分科会/ヒバクシャを生まない世界に2―交流・討論編「原爆訴訟・在外被爆者と被爆者援護法」

2012年08月05日

会場 広島市「ホテルチューリッヒ 東方2001」
講師 振津かつみさん(医師、チェルノブイリ・ヒバクシャ救援関西)
    平野伸人さん(韓国の原爆被害者を救援する市民の会)
海外ゲスト カク・キフンさん(元韓国原爆被爆者協会会長)

 第6分科会は、『ヒバクシャを産まない世界に2-ヒロシマからフクシマへ核被害者の課題』という事で、初めに海外ゲストとして招いた元・韓国原爆被害者協会会長の郭貴勲(カク・キフン)さんからは、当時の韓国において殖民地支配の中での、高額な税金により、土地を持てず売却する以外になかったことなど行き場のない中で、日本の賃金は韓国の5倍ということもあり広島・長崎には14万人を越える韓国人が移り住んだそうです。多くの韓国人は帰国しても200万人は帰れない人々が韓国に帰っても家も土地ない状況など、なぜ韓国人が被爆してしまったのかという歴史的背景や、軍隊からも韓国人は貨車に詰め込まれ物同然の扱いや被爆者認定など様々な差別があり苦悩しながら生活をしていたことなど話されていました。

 平野伸人さんからは、原爆被爆の被爆者援護法などについて触れられ、自らのご両親の話から被爆者認定も含め、認定基準の問題として1つには「病気の内容」という課題や2つには「爆心地からの距離」の問題があり、最初は2kmいないの被爆者を対象としてきたものが運動の中で3.5kmまで延長されたが3.6kmで認定外になってしまっている現状について報告もされていました。

 また、原爆が投下されてもいない韓国になぜ被爆者がいるんだという疑問も当時はあったが、植民地支配されていた歴史的背景があることや、だからこそ「日本が唯一の被爆国」と言われることは間違いであり様々な被爆があるという認識も必要であること。

 在外被爆者の問題として日本に移住しない。日本にいないだけで、認定をされない「在外被爆者問題」や移住政策により、同じ被爆者の中でも認定をされない人たちがいることとあわせて、原爆や原発など異なるものでも同じように「ヒバクシャ」がいるということ、ここを理解してほしいということも述べられていました。この事は被爆者援護法として、原爆被爆者だけの問題と受け取られるが、それだけではないという課題もあり、今後の運動として突き詰めて言えば「ヒバクシャをこれ以上増やさない」という事で大切だということでもあります。
国としてはPTSDは認定されず被爆者援護法には入っておらずガンも認定に入っておらず本当はガン治療を認めてほしいということ。長崎では市内と市外では土地に所属しているかいないかで認定されない問題など被爆内容や地域の妥当性という課題などについても触れられていました。

 くわえて、被爆二世・三世についての「遺伝的影響」、さらに福島原発事故以降、内部被爆の問題について注目もされ、国の言い方も変化し、「健康問題」「遺伝的影響」「被爆者の子供という社会生活上の立場」「人権」などの課題がある中、「被爆二世健康影響調査」が行なわれているが調査内容は不十分なもの、本人だけでなく、子や孫にまで健康被害・健康不安をあたえるものとなっていることからも、核爆弾と原発の違いはあるにせよ、放射能というのは、人の命を奪い、健康を蝕むものであり、今後は福島をどうしていくのかという認識に立ちながら、書くと人類は共存できない視点で運動を続けていきたいと述べられて言いました。

 振津かつみさんからは、過去から現在に至るまで、様々な核開発・核利用の過程の中で生み出されてきた問題や、根本的には国策として進めてきた原発が事故を起こしてしまったこと。だから補償を求めることが必用であるという事が述べられ、被爆国である日本さえ原発事故が起きるのを止められなかったが、事故から1年が経過して現地では問題は山積しており、福島の現状は4万ベクレル以上の「放射線管理区域」相当の地域がフクシマの半分以上、県外にすら広がる現実もあるが、ヒロシマ・ナガサキにおける健康被害が軽視され無視され、被爆問題が過小評価されていることに触れられました。

 この押し付けは、基準が明確にされておらず、1日で安全な基準が変更されてしまうことにも表れ、命を守る視点で政府にもやってもらわなければならない。今起きている事を確認していく事が重要になっていることでもありました。
 また、福島では避けられた被曝について情報を出さないことによって被曝を避ける努力をしされていない。この事は今も続いており、もう一度責任を問う闘いを続ける事の重要性など述べられました。
また、原発は経済的利益を守るために作られたものであり、今後援護法を含めて人々をヒバクから守るとともに脱原発の運動とも平行して取り組む必要性や、フクシマの被曝者や原発労働者など健康手帳を交付、国家補償として総合的な援護策を求めていくことなど、あらゆるヒバクシャと連帯し「福島を最後にしたい」という決意を含めて述べられました。
講師から報告に対して、それぞれ意見や質問も出されてきました。

■ 被爆者の補償問題として、核兵器を使用した米国にも投下した責任があるという事から国際人権委員会などに対して米国を訴える運動なども必要ではないか。
■ 福島において線量が高くなったといわれていたが、井戸水なども今後セシウムが出る
可能性はあるのか。
■ 事故から1.5年が経過した。原水禁として具体的にどうしていくのかが弱い気がし
ている。大会を通じて具体化をすべきではないか。
■ 被爆者に学ぶということで参加した。補償問題は国が犯した責任をとるのであれば国
内でも国外でも同じ事であり、国の責任を明らかにしていく必用がある。
■ 小名浜在住で、ライフラインは寸断されたが、ショ-トメ-ルで原発関係者から情報
が出された。高い線量の地域では早く以前の生活にと忘れようとしている雰囲気すらある。その中で「早く帰村したい」「そうは言っても高い線量では」という人と大きな亀裂が生じている。また、いわきでは原発労働者は孫受け会社等により生活基盤の弱い人たちが集められてきた敬意もある。そこでは文句を言わず働かされているのが現状であり、店が襲われたというニュ-スすらあった。補償の難しさや副読本などの悪影響もあるが追求していくことが必要になっている。
こうした意見に対して、講師からは
□ 米国を訴えるという考え方は言われるとおりと考える。原爆被害者訴訟などでも少しずつ前進した経緯もあり難しい面があっても求めていく事も重要。
□ 井戸水のセシウムの問題は継続してモニタリングを行なっていく必要がある。
など答弁されました。

 最後に、梶原運営委員からまとめとして『多くの在外被爆者の思いも込めた闘いであったということ。被爆者の訴訟の取り組みの中で明らかになった課題について、難点かにまとめられたが特に反戦があっての反核なんだ、つまり侵略の歴史の中での在外被爆者問題という課題があり、これまで放置され続けてきた様々な被爆者の存在を認めようとしない日本政府の姿勢は、カクさんが言われていた「韓国に帰ったら被爆者でなくなる」という課題とかさなった。振津さんからはチェルノブイリでの活動を踏まえながら映像を交えての様々な情報を合えて出さなかったことによって事故直後避けられたはずの被爆を避けることが出来なかった。そして今もなお、住民に流される安全神話の中で普通に生活し被爆し続けている人がいる重大な事実。これらは直ちにとめなければならない。国策としての原発推進であった以上、国策としてすいしんされた原発の事故である以上国の責任においてお金も含めて補償させていく必要がある。
 戦後67年が経過し、広島を学び長崎を学ぶ姿勢でやってきたが60年学んだのに福島で事故が起きてしまった。私たちは一体何を学んきたのか、その学んだ質や広がりいつまで学び続けるのかなど含ましの原状から思わざるを得ない。基本は生きる権利だと思う。不津さんが最後に言われていた「福島を最後にしなければならない」運動はいつも不利益を受けた人、差別をされた人から立ち上がるが多くの人々が共に立ち上がることによって解決に進んでいく。今なお原子力政策を推進しようとする多くの人がいる以上、私たちはそれ以上の力を力をつけそれ以上の連帯を造らなければならない。彼らは様々な情報を流すが正しい情報をきちんと学習しながら連帯して運動をつづけなければならない。首相官邸包囲行動や7・16集会など多くの人が集まったが、それは魂の叫びとして次の時代に安全で安心な環境をつないでいくことを確認したい』とまとめられました。
 

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