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インドのシン首相と安倍首相の原子力協力協定締結への会談に対する声明

2013年05月27日

インドのシン首相と安倍首相の原子力協力協定締結への会談に対する声明

 インドのシン首相が来日、安倍首相と原子力協力協定締結への会談を行い、来年1月に向けて「早期妥結」も言われています。インドは核拡散防止条約(NPT)に加盟せず、核実験をし、核開発を進め、核武装をしました。パキスタンと核軍備競争を続け、包括的核実験禁止条約(CTBT)にも署名していない国です。1998年の核実験をした際には国際社会から非難を浴び、制裁をうけました。

 NPTに基づく核不拡散を主張し、CTBTの発効へ向けて努力を続けてきた日本が、NPTに背を向けるインドに核・原子力技術の協力をすることは外交上の大きな矛盾となります。インドを例外的な核保有国として認め、原子力輸出を進めることは、NPTから脱退宣言をして核開発を行った朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)に対しても、「核実験をして国際社会から非難を浴びても、何年かすれば例外的な核保有国として認められる」ともいうべき、外交メッセージを送ることになるでしょう。核不拡散の原則を崩せば、北朝鮮に限らず、多くの国が例外的・実質的な核保有を目指す事も考えられます。

 安倍政権は、トルコやアラブ首長国連邦(UAE)と相次いで原子力協定に署名してきました。さらに、核廃絶・核不拡散を主張してきた外交の原則を曲げ、経済的利益としても疑義のある原発輸出のために核拡散の扉を開ける国となることは、果たして被爆国日本の人々の望むところなのでしょうか?

 日本は、核兵器以外実質使い道のないプルトニウムを45トンも貯めこみ、国際社会から核武装への懸念も指摘され、核セキュリティー上も大きく問題視されています。さらに、NPTに加盟しないインドを含め多くの国に原子力技術を輸出などするようになれば、表向きの外交政策とは裏腹に、国際的には核拡散に加担する存在として認められるようになります。

 福島第一原発の事故究明や収束もままならないまま、安全性よりも原発メーカーの商機を優先させるような原発輸出は許されません。インドとの原子力協力協定締結よりも、核不拡散体制にインドを組み入れる方を優先させるべきです。少なくとも、インドが核兵器開発の凍結と、国際原子力機関(IAEA)による査察対象外の軍事用核分裂性物質の生産中止を宣言し、CTBTに署名するまでは、原子力協力協定を締結してはなりません。

2013年 5月27日
原水爆禁止日本国民会議
議長 川野 浩一

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