プルサーマル交付金新設に反対する(声明)
2010年02月09日
2月1日、経済産業省は、原発のプルサーマル発電に同意した自治体に最大30億円の交付金を支払う新制度を設けました。
この制度の導入により、これまでプルサーマルに難色を示していた自治体を懐柔させるために、多額の交付金という「あめ玉」をもって同意を迫ろうとするものです。
今年の7月までに同意すると30億円、来年3月までで25億円、1年遅れるごとに1億円が減額されるという制度で、まさに「金で同意を取りつける」もので、地元の意思や自立的発展を歪めるものです。
このような交付金という振興策は、すでに沖縄の名護市長選挙における普天間移設反対派の勝利でも明らかなように、政府の「あめ玉」は地元の発展に、もはや通用しなくなりつつあります。これまでも、原発のある自治体に対する様々な振興策によって、地元経済が結果的に活性化し、潤ったことはありません。一時的に潤っても、その後交付金も減っていき、地域社会が疲弊していくだけです。むしろ、大きな問題は、原発やプルサーマル計画を導入することで、地域の対立を深め、地域社会のきずなや人々のつながりを失わせ、地域社会に大きな傷跡を残していくことです。原子力による振興策が進めば進むほど地域社会の疲弊は取り返しのつかないものになります。先の名護市長選で市民が選択したのは、そのような振興策ではなく、地域社会の信頼ときずなに基づく地域振興であり、そのことが基地受け入れ反対を決めたのです。
原発・プルサーマルなどの推進という名の下に、地域社会を分断し、「振興(交付金)」の名を借りた「利権の政治」を地元有力者と政府、推進側が結託して推進していく構造は今も変わりありません。今回のプルサーマル交付金の新制度設立は、まさにその構造を利用し、地域社会は原子力でしか発展できないという幻想を与えるものです。
プルサーマルは、安全余裕を切り縮めるものであるがゆえに、地域住民を常に危険と背中合わせにさせるものです。地域社会の安心・安全をまさにお金によって買収するものです。
私たち原水禁は、今回のプルサーマル交付金の新設に反対の意志を表明するとともに、新制度の撤回を求めるものです。
2010年2月9日
原水爆禁止日本国民会議
議長 川野浩一
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