「プルサーマル実施に抗議する福島県集会」開かれる
2010年09月19日
9月19日、福島県大熊町の商工会館において東北各県や関東各地などから約300名が結集し、前日の東京電力・福島第一原発3号機でのプルサーマル実施(臨界)に対する「プルサーマル実施に抗議する福島県民集会」が開かれました。主催は脱原発福島県民会議(福島県平和フォーラム、プルサーマル反対双葉住民会議、社民党福島県連合)で、原水禁国民会議は後援として集会を支えました。
集会では主催者から、トラブルにより臨界が大きく遅れたことは、今後の安全性を考える上でも問題であることや、この間の知事の条件付き受け入れは、国の動きに県が屈服したものであることが訴えられました。
また地元からの報告では、東京電力の関連企業で働く人も多く(5000~6000人とも言われる)、運動もやりづらいが、声をあげ続けなければならないと、企業城下町の中での運動の大変さと決意が語られました。県会議員の古川正浩さんからは、この間の知事の動きと県議会での動きが報告されました。
連帯の挨拶として原水禁国民会議からは、六ヶ所再処理工場の2年延期やもんじゅでのトラブルなどプルトニウム利用路線がすでに破たんしていることを訴えました。女川原発のプルサーマルを抱える宮城県護憲平和センターや、日本原電の東海第2原発のプルサーマルを抱える、茨城県東海村からも連帯の発言があり、同じ東京電力の管内で、柏崎刈羽原発を抱える新潟県柏崎市からも、中越沖地震による影響と現状が報告されました。
集会アピールを採択後に参加者は、町内を「プルサーマルはいらない」とデモ行進を行いました。
集会決議文
8月6日、佐藤雄平知事は、今年2月の県議会において示した3条件がクリアーしたとして福島第一原発3号機でのプルサーマル計画受入れを表明した。
これに基づき東京電力は、原子炉の定期検査中の8月21日にプルトニウムとウランを混合したMOX燃料を原子炉に装荷し、9月18日に原子炉を起動した。
今後、9月22日に試運転が開始され、10月26日に国の検査を受けて営業運転に入る予定となっている。
これが行われれば、プルサーマル実施は国内で3番目となるが、高経年化対策が施されている原子炉として及び沸騰水型軽水炉として国内初、また長期保管のMOX燃料による実施も国内初になる。
しかし、プルサーマル実施については、安全・安心が確保されているとは決して言えない現状である。
知事が示した3条件は、そもそも福島県においては、原発の老朽化、地震の多発、MOX燃料の経年変化等の悪条件が揃っていることに起因している。本来ウラン燃料用に設計された軽水炉でMOX燃料を使うプルサーマルは、安全上すべてマイナスに作用し、事故の時の被害も甚大になると指摘されている。ただでさえ危険なプルサーマルをこのような悪条件のもとにあえて福島県において行うべき理由は全くない。
県が求めてきた、原子力安全・保安院の経済産業省からの分離・独立は未だに実現していない。また核燃料サイクルは確立しておらず、使用済み燃料の処分の目処も立っていないことから、行き場を失った使用済みMOX燃料が原発内に備積され続けることになる。原発のプール水漏えいによる環境汚染も心配されている。
また原子力安全・保安院の「保安活動総合評価」によれば福島第一原発3号炉は「重要な課題あり」と判定されており、福島第一原発、福島第二原発においてトラブルが相次いでいる現状も指摘せざるを得ない。
県は、東京電力や原子力安全・保安院の説明を受けて原子力発電所安全確保技術連絡会で検証を進めてきたが、この中にはプルサーマルに慎重、反対の立場で発言する委員はいなかった。しかし、県民の命に関わる重大な問題であることからすれば、すべての情報を公開し、推進派、反対派両者の間で徹底的な議論を行うことが必要である。県民にこの問題が十分に説明されておらず、県民の意見を聞く場が設定されなかったことも問題である。
今回の知事の了解はあまりにも拙速である。このようなことでは安全・安心に対する県民の信頼は決して得られず、不安も払拭されないと言わなければならない。
このまま、プルサーマルを実施することは将来に重大な禍根を残し、県民の安全を根底から揺るがすことになる。
私たちは、今回の佐藤雄平知事による受入れ表明と、それに基づき実施を進める東京電力に強く抗議し、県民の安全・安心を確かなものにするため、プルサーマルを即時中止することを求めるとともに、原発に頼らない社会づくりをめざして脱原発の闘いを強化するものである。
以上、決議する。
2010年9月19日
プルサーマル実施に抗議する福島県集会
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