2020年1月アーカイブ

 

 伊方原発3号機に関わる広島高裁の運転禁止の仮処分決定を歓迎する

 

  1月17日、四国電力伊方原子力発電所3号機の運転禁止を求めた仮処分の即時抗告審において、広島高裁(森一岳裁判長)は運転を認めないとする決定を下した。原発事故の可能性にしっかりと向き合い、地域住民の安全を第一に、四国電力(四電)の安易な姿勢と原子力規制委員会(規制委員会)の審査をきびしく批判した高裁決定の意義は、大きいと言わざるを得ない。

 高裁決定は「福島原発のような事故を絶対に起こさないという理念にのっとった解釈が必要」との基本姿勢に立って、四電に対して地域住民に被害の危険性がないことの立証責任を求め、それを基にして、佐多岬半島沿岸に存在するとされる中央構造線に関わる四電の活断層の調査と地震動評価を不十分とした。また、調査不十分なままに提出された原子炉設置変更許可申請を問題なしとした規制委員会の判断は、「その過程に過誤や欠落があったと言わざるを得ない」ときびしく批判した。また、阿蘇山の破壊的噴火の可能性を否定できないとして立地不適とすることは社会通念に反するとしながらも、破局的には至らないが最大規模の噴火を考慮すべきで、四電の降下火砕物の想定は過小であり、それを認めた規制委員会の判断も不合理であるとした。

 高裁決定が求めた原発の安全性に対する判断の基本は、専門家の判断が分かれる場合や判断がつかない場合、原発事故の極めて深刻な事態を想起し、安全性を最大限に求めるべきという姿勢にあり、その確保が原発稼働の必要条件だとの考えである。国・規制委員会、電力各社は、その基本をしっかりと守らなくてはならない。

 原発運転を差し止めるとした司法判断は、福島原発事故以降5回目、伊方原発では2度目となる。原発に対する市民社会の考え方は、福島原発事故以降明らかに変化し、脱原発の方向性は明確になっている。司法判断もその方向に向いている。読売新聞は1月18日の社説で、高裁決定を批判し「裁判官が独自の解釈と判断で、結論を導いた印象はぬぐえない」としている。しかし、四電も規制委員会も、裁判官の疑問に答えなくてはならない責任があるのではないか。また同社説は、規制基準は世界的にも高水準で、伊方原発は審査に合格していた。これまで、行政側の審査結果を司法は尊重してきた。今回の判決はその

 枠組みからはみ出している、と批判している。余りにも偏った判決への評価は許しがたい。四電は、「到底承服できず、速やかに不服申し立ての手続をする」とした。規制委員会も、「審査は常に適切で、内容の見直しはしない」としている。司法の判断を全くないがしろにする姿勢は、公益事業に携わる電力会社として、また、行政官庁として、その資質を欠くとしか言いようがない。原発をめぐっては様々な意見や判断があるが、しかし、事故を回避するためには意に沿わない意見に対しても真摯に耳を傾けなくてはならない。しかも、法治国家における高裁決定である。

 国のエネルギー基本計画は、2030年代の原発による電力比率を20~22%としている。原発を30基以上稼働しなくてはならない数字だ。市民社会の意思、世界のエネルギー動向から考えても、荒唐無稽としか言いようのない数字を掲げて、福島原発事故を起こした日本は、既存原発の再稼働や新規原発の建設に進んでいる。このような姿勢が、再生可能なエネルギーの進捗を阻んであることは明らかである。原水禁は、今回の広島高裁の決定を歓迎し、脱原発の政策実現に向けて、再生可能エネルギーの進捗に向けて全力でとりくんでいく。

 

  2020年1月21日

原水爆禁止日本国民会議

議 長  川野浩一

 

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