2016年4月アーカイブ

集会の様子

   原水禁国民会議は4月27日、東京・日本教育会館で第91回全国委員会を開催し、2016年度の運動方針などを協議・確認しました。総会には参加団体、各都道府県組織から約100名が参加しました。
   川野浩一原水禁議長のあいさつ、2015年度の活動経過と決算が確認された後、藤本泰成事務局長が「2016年度運動方針」「被爆71原水爆禁止世界大会」について提案。今年度の重点的とりくみとして、「脱原発で社会変革」「福島の原発事故被災者の補償確立」「日本を核兵器廃絶の先頭へ」などをあげました。
   質疑・討論では、宮城から県内の福島原発事故により発生した放射能で汚染された指定廃棄物の現状報告と課題、被災者への支援についての補強意見が出され、藤本事務局長から答弁の上、議案は承認されました。
   新役員が承認された後、小西清一副議長(日教組)が退任役員あいさつしました。当日、引き続き開かれた平和フォーラム第18回総会では、新規加盟組織として、日本消費者連盟の纐纈美千世事務局長からあいさつを受けたほか、「頻発する地震に、改めて原子力政策の見直しを求める特別決議」を確認しました。

平和フォーラム総会「頻発する地震に、改めて原子力政策の見直しを求める特別決議」
「2016年度運動方針」1.運動の展開にあたって
同 情勢-脱原発・核兵器廃絶関連
同 重点とりくみ-脱原発・核兵器廃絶関連
「2016年度運動方針」7.核兵器廃絶に向けたとりくみ
「2016年度運動方針」8.原子力政策の根本的転換と脱原子力に向けたとりくみ
「2016年度運動方針」9.ヒバクシャの権利確立のとりくみ
新役員

高浜原発12号機の新規制基準適合決定に関する事務局長見解

 

原水爆禁止日本国民会議(原水禁)

事務局長 藤本泰成

 

 420日、原子力規制委員会は、運転開始から40年を経た関西電力高浜原子力発電所12号機が新規制基準に適合するとの審査書を正式決定した。東京電力福島第1原発事故後に、原子炉等規制法が改正され原発の運転期間を40年に制限されたが、原子力規制委員会が認める場合は、最長20年の延長が認められるとされた。老朽原発の事故を防ぐという安全対策の空洞化が懸念されたが、正にその通りになった。

 

 今回の審査では、原子炉や原子炉建屋などの耐震性チェックは改修工事後に後回しとされ、新基準への対応も方針や計画が認められたに過ぎない。今年77日には運転満了を迎えるため、運転延長には、さらに老朽化のチェックや耐震工事の計画の認可が必要になる。関西電力は、審査終了後に設備の大規模工事を行うとし、地元合意も含めて運転の開始は2019年以降としている。今回の規制委員会の対応は、運転延長ありきで審査を急いでいるとしか考えられない。老朽原発では、放射線による原子炉の脆弱化や建屋強度の低下など検証困難な課題も多い。可燃性ケーブルの安全対策も全長1300kmのうち交換は6割、残りは防火シートで覆うとされている。基準値振動も比較的新しい高浜34号機と同等の700ガルにとどまっている。今回の熊本地震が1580ガルを記録したことを考えると極めて低い基準だ。これまでの対応から、相当の費用を投入した改修工事後に、耐震性が問題にされ運転延長が反故になるとは考えられない。審査書の決定によって安全性の審査が終了したとは言えず、40年が迫る中での見切り発車的審査は許すことはできない。

 

 201572日、福井県越前市の市議会は、運転開始から40年を超える原発の運転延長を行わないことを求める意見書を可決している。大津地裁は39日に、稼働中の高浜原発34号機の運転差し止めを命じた。新規制基準に照らしても過酷事故の起こる可能性があるとの指摘だ。熊本地震後、4日間で稼働中の九州電力川内原発の運転停止を求める意見が、原子力規制庁に約340件寄せられた。これまでの経験と想像を超える地震に、原発事故の恐怖を感じるのはあたりまえだ。しかし、現在の科学では「原発は安全」と言いきることはできない。

 四国電力伊方原発1号機は、安全対策上のコストと電力供給の状況を勘案して廃炉を決定した。経済効率からの廃炉決定は、逆に経済効率を考えての運転延長につながる。関西電力美浜12号機、日本原電敦賀1号機、中国電力島根1号機の計5基の廃炉が決まっている。経済の側面からではなく、市民社会の総意である「原発に依存しない社会」の実現のために、市民社会の安全のために、原発の廃炉を進めていかなくてはならない。原発ゼロでも市民の生活に支障がないのは、これまでに確認済みではないか。

 

 福島第1原発事故から5年、市民社会の声を無視して、政府は、原発再稼働そして原発運転延長、原子力発電推進の大きく傾倒している。そのことが、再生可能エネルギーの拡大を拒み、ひいては日本の将来の社会のあり方に大きな影響を与えるに違いない。

 原水禁は、今回の高浜原発12号機の運転延長に強く反対する。

 

反核燃集会.JPG反核燃デモ.JPG

  原水爆禁止日本国民会議や原子力資料情報室、青森県反核実行委員会による「止めよう再処理!全国実行委員会」主催で、毎年青森で開催している「4.9反核燃の日全国集会」が、4月9日に青森市「青い森公園」で開かれ、青森県内や全国各地から1100人が参加しました。これは、1985年4月9日に北村正哉知事(当時)が県議会全員協議会で核燃料サイクル施設の受け入れを表明したことに抗議して31年間開催されてきたものです。
 集会では、六ケ所村の再処理工場の稼働に反対するとともに、各地の原発再稼働に反対し、さらに、今国会で審議される「原発使用済燃料の再処理のための拠出金法案」の廃案を求めていくことが確認されました。
 主催者あいさつに立った原水禁の勝島一博副事務局長は「核燃料サイクルはすでに破たんし、六ケ所再処理工場の運転を行う理由はない。しかし、安倍政権は原発再稼働や輸出など原子力推進政策をとっている。こうした安倍の暴走を止めよう」と訴えました。また、青森県反核実行委員会の三上武志委員長も「核兵器に転用できるプルトニウムを保有することは周辺諸国から危険視されている。そうした中で政府が『「憲法で核兵器の使用を禁止しているわけではない』としたことは重大な問題だ。安倍政権を打倒しなければならない」と呼びかけました。
 基調報告では、再処理工場などの核燃料サイクル施設や県内の原発等の状況や問題点が明らかにされ、さらに、「再処理拠出金法案」については、再処理の着実な実施をもくろむもので、その費用は国民の電気料金に上乗せされ、原発が稼働する限り払い続けなければならなくなるとし、法案の撤回・廃案を求める決議も採択されました。
 全国からの報告では、福島県平和フォーラムの根本和俊事務局長は「原発事故から5年が経過しても10万人が避難生活を余儀なくされている。国や自治体は住民の帰還を強引に進めようとしている。これを許さず、国に事故の責任と損害賠償を認めさせる」と決意を表明。高速増殖炉もんじゅを抱える福井県平和環境人権センターの宮下正一事務局長も「大津地裁の判決で高浜原発を止める成果を上げたが、もんじゅに事故があれば日本は滅びる。再処理ともんじゅは連動している」と連帯を呼びかけました。また、茨城県東海村の原発施設や北海道の泊原発再稼働をめぐる問題も現地からの報告がありました。
 集会は最後に「県内の原子力施設の撤去を求め、全国の原発を運転停止に追い込み、未来の子どもたちへの負担軽減のために全力を挙げて取り組む」とのアピールを採択し、参加者が「ストップ!原発再稼働」などとプラカードを一斉に掲げて決意を固めました(写真上)。
 集会後、参加者は市内をデモ行進し、「再処理工場稼働反対!」「大間原発建設再開反対!」「東通原発再稼働反対!」などとシュプレヒコールをあげました(写真下)。

反核燃交流集会.JPG

 デモ行進を終えてから再び集結し、「4・9反核燃の日全国交流集会」が「リンクステーションホール青森」で開かれました。「破綻した核燃サイクルー弥縫策はやめよ」と題して講演を行った原子力資料情報室共同代表の伴英幸さんは、六ケ所再処理工場の重大事故への対応の不十分さや活断層と耐震性、火山灰や火砕流に対応できない問題、緊急時の避難の課題などをあげ、事故の危険性を指摘しました。
 さらに余剰プルトニウムを持つことで国際的な問題を引き起こしていること、実用化の見通しがないもんじゅの問題もとりあげ、「核燃料サイクルは破たんした。ビジネスとしても成立しない。続ければ巨額の金がかかり、事故が起きれば大変なことになる。電力会社や官僚は保身のために止めることができない。私たちが力を合わせて止めさせるしかない」と訴えました。
 なお、集会の前日の8日に、実行委員会の代表者などが、青森県庁をはじめ、六ケ所村や大間町、むつ市、東北電力、原子力規制庁や経済産業省の青森事務所などを訪ね、原子力施設の廃棄や建設中止などを求めました。これには北海道平和運動フォーラムも参加し、大間原発の建設中止を要請しました。また、4月10日には六ケ所村の日本原燃正門前で抗議集会が開かれました。

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