2015年4月アーカイブ

高浜原発の再稼働を認めない仮処分決定に対する声明

原水爆禁止日本国民会議
議 長 川野 浩一

 本日、福井地方裁判所の樋口英明裁判長は、「関西電力高浜原子力発電所3、4号機(福井県高浜市)の再稼働差し止めを求めた仮処分の申し立て」に対して、申し立てを認める決定を下しました。原子力規制委員会は、今年2月に安全審査の「合格証」にあたる「審査書」を決定していますが、今回の仮処分の決定は、審査に「合格」した原発の再稼働を認めないとする画期的な司法判断といえます。これにより原発の運転は禁じられ、高浜原発は関西電力の異議申し立てなどによって、決定の取り消しや変更、仮処分の執行停止定が行われない限り再稼働はできないことになりました。
 今回の仮処分の決定は、昨年12月、福井、大阪、京都、兵庫4府県の住民9人が「運転を差し止めないと、生命を守り、生活を維持する人格権が侵害される危険が顕在化する」として再稼働の差し止めを求めた申し立てに基づいたものです。原告は、「地震の想定が低すぎるうえ、設備の安全性に問題があり、深刻な事故が起きるおそれがある」とし、関西電力の「地震の対策を充実させ、設備の安全性も確保している」などとする「安全論」をことごとく論破しました。
 司法が住民の声に真摯に向き合い、客観的な判断の下での画期的な決定は、司法本来の良心の表出であり、今後日本社会が進むべき方向性を示し、脱原発の運動に対して大きな励ましとなるものです。この決定を、政府や原子力規制委員会、関西電力などは真摯に受け止め、原発によらない社会の構築に向けてスタートを切るべきです。
 昨年5月には、関電大飯原発3、4号機(福井県大飯町)をめぐる訴訟でも、運転の差し止めが命じられており、「安全性」に対する司法の判断はゆるぎないものになっています。関西電力はもとより、電力各社は原発の再稼働を断念し、直ちに再生エネルギーを中心とした脱原発による新しい電力供給の方向性を示すべきです。
 原水禁は、この決定を心から歓迎し、脱原発社会をゆるぎないものにするため、今後も全力でとりくんでいくものとします。

以  上
 

長崎市長 田上 富久 様

原水爆禁止日本国民会議  
 事務局長 藤本 泰成

長崎市の「被爆指定地域の見解」削除問題に抗議する

   3月31日に開催された「第4回長崎市原子爆弾放射線影響研究会」の中で、静間清広島大大学院特任教授(放射線物理学)が作成した配布資料を事前にチェックし、専門家の科学的な見解を市の意向で一方的に削除させた問題に対して強く抗議する。
   被爆地域を検討するために開かれている研究会で、その地域の拡大に関する最も重要な部分を削除することは、「資料をわかりやすくするためにやった」と説明しているが、意図的なものを感じざるを得ない。「従って、拡大是正要望地域は16kmまでとすることが適切である」という結論ともいえる部分を、行政担当者の一存で削除させることは「何かを隠そうとかいう意図はない」といっても、隠してしまえば、だれもそのことに気づかないまま議論される可能性がある。報道によれば、削除部分は口頭で説明したとするが、それでは何のために資料から抜いたのか、それこそ「わかりやすく」ではなく、かえって「わかりにくい」ものとしかならない。
   「被爆体験者」が長年要望している、被爆地域の拡大・是正の重要なポイント部分であるがゆえに、長崎市の対応は厳に批判されるものである。長崎市は、昨年8月の平和宣言の中で、「実態に応じた(被爆者)援護の充実を望みます」と国内外にアピールしたにもかかわらず、今回の対応は、被爆者に寄り添おうとする姿勢が全く見えない。高齢化する被爆者への援護は急がれている。今回のように小手先の手法によって原爆被害を矮小化し、被爆体験者を切り捨てていくことに強い怒りを覚える。
   「被爆体験者」などに対し十分な説明と、被爆行政に真摯に取り組み、被爆地域拡大に向けた行動を取ることを強く望む。

以上

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