東京電力福島第1原発事故から4年、安倍政権が進める原発再稼働を許さず、脱原発社会を作ろうと、「『さようなら原発』一千万署名市民の会」の呼びかけで、3月28日、東京・新宿区の新宿文化センターで、「フクシマを忘れない!さようなら原発大講演会」が開かれ、市民など1300人が参加しました。
開会あいさつで呼び掛け人の鎌田慧さん(ルポライター)は、「福島原発事故はまったく収束していない。しかし、政府は原発再稼働を進めようとしている」として、再稼働に反対し、原発をなくすまで闘う決意を呼び掛けました。
福島現地からの報告をいわき市議で、東京電力幹部らを業務上過失致死傷容疑で告訴した福島原発告訴団副団長の佐藤和良さんが行い「今も12万人もが避難をし、子どもたちの甲状腺ガンが多発、汚染水問題や、作業現場では労災事故が相次いでいる」と現状を報告。「そうした中でも放射線量が下がったとして強制的に帰還をさせようとしている。人の命よりも人口流出を恐れている」と、政府や自治体を批判。原発事故が誰の責任で起きたか明らかにするための告訴・告発の闘いに協力を呼び掛け、「あきれはてても、あきらめない!」と訴えました。(顔写真中)
作家で呼びかけ人の大江健三郎さんは、鎌田慧さんの脱原発の著書や「それでも日本人は原発を選んだ」(朝日新聞出版)、「安倍改憲の野望」(かもがわ出版)などの本をあげ、それらの著書の憲法学者の奥平康弘さん等の考えや、ドイツのメルケル首相の言葉を引用しながら、「原発のある状態では人間の未来はなく、やめる以外に希望は見出せない。それを私たちは引き継いでいかなければならない」と述べました。(顔写真左)
「福島の放射能汚染の現実から」と題し、京都大学原子炉実験所の今中哲二さんは、原発事故がどのように起こったかを改めて検証し、事故直後からの飯舘村での実態調査などを通じて、「日本も放射能汚染と向き合う時代になった」として、「日本が民主主義の国であるなら、原発の安全性に責任のあった人々をすべて審問し、裁判にかけてしかるべき罰をうけてもらうことが必要」と強調しました。(顔写真右)
最後に呼びかけ人の落合恵子さん(作家)が、「安倍政権がやっていることは民主主義に対するテロリズムだ。いつまでも続くことはできない。これにノーと言い続けよう」と呼び掛けました。
最後に参加者全員が、原発に対し「NO」と書かれた紙を掲げて、「再稼働反対」と一斉に声をあげました。(上写真左)
2015年3月アーカイブ
3月28日に東京「新宿文化センター」で開かれた「フクシマを忘れない!さようなら原発大講演会」の様子をダイジェストにビデオでまとめました(9分40秒)
「原発のない福島をめざそう!」。東日本大震災による福島第一原発事故から4年目を迎えた3月14日、福島市「あづま総合体育館」において「2015原発のない福島を!県民大集会」が開かれ、県内外から6500人が参加しました。県平和フォーラムや生協連、女性団体連絡会などさまざまな団体の代表が呼びかけ人となった実行委員会が主催し、事故の翌年から毎年3月に開催されています。
計画的避難地域に指定されている川俣町山木屋地区の皆さんの勇壮な「山木屋太鼓」の演奏や、震災をきっかけに結成されたグループ「ハッピーアイランド」の創作ダンスのアトラクションで幕開け。実行委員会を代表し、角田政志実行委員長(福島県平和フォーラム代表)が「事故から4年がたったが、収束にはほど遠い。12万人も人たちが避難生活を余儀なくされ、故郷に戻れるかどうか、先が見えない。このオール福島の集会を原点に、すべての原発の廃炉と被害の補償、生活支援を国と東京電力に求めていこう」と訴えました。
連帯あいさつに立った「さようなら原発1000万署名市民の会」呼びかけ人の落合恵子さん(作家)は「原発事故を機に、私たちは誰かを犠牲にしない社会を約束した。しかし、いま、原発が再び稼動しようとし、沖縄に新たな基地を作ろうとしている。大事なことを忘れさせようとする装置がある。しかし、それに流されずに、福島とずっと寄り添っていきたい」と呼びかけました。
トークリレーでは、県内のさまざまな方々が思いを語りました。ハイロアクション福島の武藤類子さんは「復興とは元に戻ることではなく、新しい道をたどることだ。世界中から原発をなくし、一人ひとりが尊重される社会を作ろう」と述べました。JA新ふくしま農協の菅野孝志さんは「農業王国福島の信頼は地に落ちたが、農産物検査や土壌調査を徹底して行い、次の世代のために豊かな土と自然を守る」と決意を表明。
汚染水問題に直面するJF相馬双葉漁協の遠藤和則さんは「試験操業を繰り返し、検体調査をやって少しずつ再開に向けて動き出したところに、再び汚染水問題が起きている。まだ本格操業まで壁があるが、安全な魚を出荷したい」と厳しい現状をにじませました。 旅館業などの状況について、喜多方市で旅館を営む檜澤京太さんが「福島は全国屈指の観光地でおもてなしの努力を重ねてきた。その文化をなくさずにオール福島で新たな行動を」と訴えました。
若い世代の訴えでは、昨年、福島から高校生平和大使に選ばれた石井凛さんは「ジュネーブの欧州国連本部で福島のことを訴えた。これからも発信を続けたい」と決意を述べ、同じく平和大使の本田歩さんは「原発は正義に反するものだ。故郷をお金で売ってはいけない。命を守るために原発に反対する」と力強く訴えました。
曹洞宗円通寺住職の吉岡棟憲さんが「仏教者として国に懺悔することを求めたい。しかし、国は謝罪せず嘘をついている」とし、「浜通り、中通りを元通りに」と声を上げました。最後に「事故を記憶し、事故から学び、これからの人たちに明るい未来を約束するために、『原発のない福島を』めざし、力を合わせていきましょう」と集会アピールを採択。呼びかけ人の清水修二・福島大学副学長が「これまで想定される損害賠償だけでも11兆円にのぼる。このツケは結局国民に回る。しかし、政府は原発推進を変えていない。これをただしていこう」と閉会あいさつを行い、終了しました。
翌15日には、原発事故による放射能汚染に襲われ、いまだ全住民の避難が続く飯館村などを視察。放射線量が高いために立ち入り禁止になっている地域や、除染作業で出た膨大な土などを詰めたフレコンバッグの山などを視察しました。
被災61周年3・1ビキニデー全国集会アピール
ビキニ被災61周年を迎えた今年は、戦後70年、被爆70年そして原水禁結成50年の節目の年にあたります。あらためて私たちに、平和や戦後責任、核兵器の問題が厳しく問われています。
折しも今年4月には核拡散防止条約(NPT)再検討会議がニューヨークの国連本部で開かれます。核兵器廃絶の国際的機運を高め、廃絶への行動を強く求める絶好の機会です。私たちは、核兵器保有国をはじめ国際社会に核兵器廃絶に向けた具体的行動を今すぐ起こすよう強く訴えます。
しかし核廃絶をめぐり極めて厳しい状況にあるのも事実です。世界には16000発超える核兵器が存在し、いつでも発射できる「警戒(アラート)態勢」の中にあります。核兵器国も米ロ英仏中の5カ国からNPT体制から外れたインド、パキスタン、イスラエル、朝鮮民主主義人民共和国へと広がっています。一方でウクライナ問題による米ロの対立による核軍縮の停滞。パレスチナ問題、シリア内戦、「イスラム国」(IS)の台頭など中東をめぐる情勢の流動化が中東の非核化を困難なものにしています。NPT未加盟国への原子力技術やウラン資源の輸出など、NPT体制そのものの基盤さえ掘り崩されようとしています。また日本の原子力政策の要のプルトニウム利用政策が、国際社会から核拡散につながると強く懸念されています。
核の「平和利用(商業利用)」の問題は、NPTが成立した60年代当時の状況と大きく変化し、チェルノブイリやフクシマの原発事故を経験し、インドやパキスタンなどの「平和利用」から核兵器開発へ移行した経緯を見れば、核の「平和」利用などあり得ないことが明らかになっています。NPTそのものの見直しが求められるべきです。あらためて「核と人類は共存できない」ことを強く世界に訴えます。ここ静岡では、浜岡原発が建っていますが、いま「東海地震」による原発震災が強く懸念されています。第2、第3の「フクシマ」を静岡の地で繰り返してはなりません。核兵器廃絶とともに脱原発に向けた運動を強化していきましょう。
安倍政権は、集団的自衛権行使を可能にする戦争関連法制定、沖縄辺野古への新基地建設の強行、歴史認識の修正を狙う「安倍談話」の公表、エネルギー基本計画による原発再稼働や核燃料サイクルの推進など、民意や歴史を無視した横暴な強権政治を進めています。いま戦後の平和と民主主義の最大の危機です。このような流れに立ち向かっていくことが必要です。平和と民主主義を守り、核兵器廃絶、脱原発に向けてより一層私たちの運動を強化していきましょう。
2015年3月1日
被災61周年3・1ビキニデー全国集会
1954年3月1日に南太平洋のビキニ環礁で、アメリカ軍が行った水爆実験によって、日本のマグロ漁船・第5福竜丸など多くの漁民や周辺のマーシャル諸島・ミクロネシアの住民が放射能被害を受けました。その後、日本では原水爆実験反対署名が始まり、原水爆禁止運動がスタートしました。
それから61周年の3月1日に「被災61周年3.1ビキニ・デー全国集会」が静岡市で開催され、全国から210名が参加しました。主催者の川野浩一・原水禁日本国民会議議長は「今年は日本の敗戦から70周年を迎える。しかし、多くの国民が戦争や原水爆被災のことを知らなくなっている。福島原発事故を起こした日本政府の責任を問い続け、原水禁運動を広げよう」と、運動の継続を訴えました。また、開催地を代表し、静岡県平和・国民運動センターの渡邊敏明会長も「安倍政権は再び戦争をする国づくりを進めている。危険な道を阻止しよう」と呼び掛けました。
講演は、長崎大学核兵器廃絶研究センターの中村桂子准教授が「NPT再検討会議と核軍縮の課題」と題して行い、「いまだ多くの核兵器をアメリカやロシアなどが所有し、核兵器の近代化も進めている。今後10年間で約100兆円が核兵器予算に使われる見通しだ」と厳しい現状を指摘。「こうした中で今年の4月からニューヨークの国連本部で核不拡散条約(NPT)の再検討会議が開かれる・前回のNPT再検討会議で核兵器の非人道性に初めて言及した。また、それに関する国際会議も何回か行われている」と紹介。その上で日本がアメリカの「核の傘」に依存している姿勢を批判し、「日本の本気度が問われている。道は険しいが、核兵器禁止の新しい枠組みをめざすべきだ」と述べました。(下中写真)
次に講談「第5福竜丸」を創作して演じている田辺一乃さんが、ビキニ事件遭遇からの乗組員や事件の経過などを講釈しました。臨場感あふれる話ぶりに、参加者は改めてビキニ・デー事件の重要性を認識しました。(下右写真)
「福島からの報告」では、福島原発事故によって浪江町から静岡県内に避難している堀川文夫さんが、「突然に住むところを追われてしまった。いまでも6ミリシーベルトを超える線量がある。帰りたいが帰ってはいけない所だ。しかし、国や県は帰還政策を進めている。非人道的政策だ」と、批判しました。
さらに、第17代高校生平和大使として静岡から選ばれ、昨年、ジュネーブの国連欧州本部を訪ねた杉山慶亘さんや「1万年高校生署名運動」を進める高校生などが、「これからも月1回の署名運動などを進めたい」と、力強く決意を語りました。(下左写真)
集会へのメッセージが静岡県知事、静岡市長、焼津市長、牧之原市長から寄せられたことが紹介された後、「平和と民主主義を守り、核兵器廃絶、脱原発に向けて運動を強化しよう」と集会アピールが確認され、終了しました。
集会アピールはこちら
2015年3月1日に静岡市内で開かれた「被災61周年3.1ビキニ・デー全国集会」の様子をビデオにまとめました(約8分30秒)。