2015年2月アーカイブ

原子力規制委員会の高浜原発3,4号機に対する審査「合格」に対する抗議声明

フォーラム平和・人権・環境
原水爆禁止日本国民会議
議長 川野 浩一

 2月12日、原子力規制委員会は、関西電力高浜原発3.4号機(福井県)に対する「審査書」を決定し、九州電力川内1.2号機(鹿児島県)に引き続き、新規制基準に適合するとしました。
 しかし、福島原発事故を契機に設定された新規制基準は、福島原発事故の検証も不十分なままに決定されたものであり、当初からその限界が指摘されるものです。原子力規制委員会・田中俊一委員長の「これで安全を担保したわけではない」との発言にみられるように、原発事故が決して繰り返されないことを担保するものでは無く、福島原発事故の収束もままならない中で、審査書の決定と再稼働を許すことはできません。
 新規制基準は、過酷事故の可能性を認めそれに対する対処を謳っていますが、肝心の原子炉本体の地震対策や多重事故への対応といった基本的な安全性が強化されたわけではありません。強化された規制基準によって施される対策は、代替電源、代替注水設備、ベントフィルターなどの周辺設備を増強する対処療法でしかなく、原子炉本体あるいは原子力プラントそのものに手を加えるわけではありません。そのような意味で、本質的な安全性が高めているわけではない安全審査は、原発再稼働のためのものであり、あらたな「安全神話」を生み出すものと言えます。
 原子力規制委員会は、原発30キロ圏内に課せられた過酷事故などに対応する地域防災計画や住民避難計画については審査の対象外としています。高浜原発は、避難計画を策定を義務づけられる原発30キロ圏内に、福井県のみならず京都府や滋賀県の10の自治体が含まれ、京都府舞鶴市に至っては、事故時に即時避難が必要な5キロ圏内の地域も存在します。また、福井県からの風の通り道には、関西の水瓶琵琶湖の存在もあります。しかし、再稼働への「地元合意」は立地県・立地自治体に限定され、京都府や滋賀県などの自治体は、原発事故のリスクは負うが意見反映からは除外されるという状況に押し込められています。国は、地元合意の範囲を拡大すること無く、防災計画・避難計画の策定を自治体に丸投げして責任を回避しています。さらに策定された避難計画や防災計画の実効性を国として検証することもありません。住民の安全をないがしろにしながら、原発の再稼働だけを求める姿勢は絶対に許すことはできません。
 高浜原発3,4号機については、プルトニウムを混合したMOX燃料を使うことも想定されています。MOX燃料は制御が難しく安全性の余裕度を減らすもので、事故の可能性と被害の拡大が懸念されます。
 原子力規制委員会の対応は、国民の安全を守る立場になく、「審査書」は再稼働を前提として作成され、国民を欺くものでしかありません。原水禁は、再び規制と推進が結びあい、原発再稼働が推し進められていることに、強く抗議します。再び福島のような環境破壊・生活破壊が起こりうる可能性を否定できない中で、脱原発方針を確定し再生可能エネルギーを基本にした市民が熱望している社会の実現に政府が全力を挙げることを強く要求します。

 

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