2014年7月アーカイブ

 川内原発の再稼働に向けた原子力規制委員会の審査書に対して原水禁は7月30日に次のパブリックコメントを出しました。

<適合性審査結果に対する問題点>
全体について
 審査書では「○○を設置する」や「○○を整備する」という方針を申請者が示したことで、「規定に適合していること」「ガイドを踏まえていること」を「確認した」としている。これらは、工事計画認可や保安規定変更認可を得て実際に設置・整備され、使用前検査を経て初めて適合するものであり、そのことを明記すべきである。
 災害の防止の担保では、「審査過程における主な論点」が記述されるなど、審査書のあり方について一定の改革がなされたと言えるが、更田委員は『週刊エネルギーと環境』2013年8月15日号で、次のように述べていた。「特に重要だと考えているポイントというのは、発電所をもっている事業者自身による自らの発電所に対する理解の深さですね」「万一事故が起きた時にそれがどう進んでいき、どう食い止めるかに関して、電力会社がどれだけ自分のものとして考え努力をしているか、そこをきちんとみたいと思っています」。
 きちんと見ることはできたのか。残念ながら、そうは見受けられない。
 
1.原子炉安全専門審査会の不関与について
 旧原子力安全委員会の原子炉安全専門審査会は、原子炉設置変更許可に際し、行政庁審査のダブルチェックを行ってきた。しかし、今回の審査においては何らの関与もしていないように見受けられる。ダブルチェックは合理的でないとしても、原子炉安全専門審査会委員を審査会合に参加させるべきではなかったか。
 
2.平和利用の担保について
 平和利用については、従来通り、商業発電用であること、使用済み燃料の貯蔵方針、再処理方針に変更がないことをもって担保されるとする形式的な審査にとどまっている。しかし、原子力規制委員会として初めて審査をするのであるから、より実のある審査に向けて改革の方向を示すべきではなかったか。
 
3.高経年化問題について
 本審査書において高経年化の問題は対象外であるが、1号炉が1984年7月、2号炉が1985年11月に運転開始し、1号炉は2014年、2号炉は2015年に運転期間が30年を超える。1号炉については、「高経年化技術評価書」が審査中だが、各種設備が経年劣化を起こしている1・2号炉ともに、本審査書と同期して高経年化にかんする慎重な審査が必要である。そうでなければ、審査すべき設計方針が実現可能か判断ができない。
 およそ30年に及ぶ運転経歴をもつ川内原発には、必ず、配管系に経年劣化が生じていると見なさなければならない。とくに、放射線レベルが高く十分な時間をかけて検査できない箇所があるので、計算で疲労レベルを推定することになるが、計算条件に30年間に経験した地震動と熱履歴による影響を最も厳しく算定したうえで、判断をしなければならない。その詳細な審査結果を求める。
 
4.技術的能力の担保について
4-1 技術的能力の担保については、申請者の言い分をそのまま受け入れているが、より実質的な審査が必要である。言い分を受け入れるだけで担保できるのなら、福島第一原発事故は防げたはずではないか。
4-2 緊急時の手順書にかんして、膨大な内容が見られるが、実際の事故時に有効なのか。手順書にもとづいて作業する人に即して審査すべきではなかったか。とりわけ核セキュリティのために見ることができないスタッフも出てくるだろうが、対応可能なのか。
4-3 複数の手順書において、作業要員が1名とされている箇所がある。また数分の余裕をもって問題は生じないとしている箇所が多数見られるが、訓練と現実の緊急時では状況が異なる。緊急時において、作業ミス等の回避はどのように担保するのか。
4-4 複数の手順書において、常時確保されている人員最大数52名全員での対処が予定されている箇所があるが、他の箇所で事故が同時に発生した場合、どのように対処するのか。
4-5 計測系の健全性の保証について、申請者は、原子炉の圧力、温度、水位など事故対応に必要な主要パラメータが使用不能となった場合に対応可能な代替パラメータを示し、審査書ではそれを妥当としている。しかし、主要パラメータの計測系を修復し、値を保証する方針と手順を示すべきである。
 
5.確率論的リスク評価(PRA)について
5-1 総合資源エネルギー調査会原子力の自主的安全性向上に関する WG 第 7 回会合の資料 1(2013年12月10日)において「我が国の原子力事業者はこれまで確率論的リスク評価(PRA)を一部で使ってきたが、リスクがゼロでなく、重大事故が起こり得ることを認めることを恐れ、積極的な活用に至らなかった」、また、同WGが取りまとめた「原子力の自主的・継続的な安全性向上に向けた提言」(2014年5月30日)においては「我が国においては、PRA は、とりわけ外的事象に関してこれまで必ずしも積極的に活用されてこなかった」と記載されるように、過去、PRAは積極的には活用されてこなかった。
今回、事業者は、日本原子力学会の PRA に関する実施基準に基づき、これを実施しているが、過去の実態をかんがみて事業者にPRAを策定するだけの能力があるのか。また原子力規制委員会に実施内容を確認出来るだけのノウハウの蓄積は存在するのか。
5-2 確率をどのように計算するか。もともと大きな幅があり曖昧な概念であるが、福島第一原発事故が起こってしまった結果をどのように算定したのか。当然ながら、従来の値を適用することは出来ない。詳細な計算プロセスを示すべきである。
5-3 PRAのシナリオに、他の事故が同時発生することも想定される。そのような事象発生時、現状の体制では対策ができないため、適切な方針とは言えない。
5-4 同WGの「提言」では『PRA が各原子力事業者のリスクマネジメントの一環として位置づけられることを前提に、その質を高めていくため、a)PRA 実施状況のピアレビューによるPRA の質の向上(PRA 実施の慫慂)、b)PRA データから読み取れるリスクに関する第三者的警告、c)PRA を通じて抽出される脆弱点の事業者間、多国間での情報共有、d)国内研究開発や海外との連携を通じたPRA 手法の高度化や機器の耐久力(原子力機器にとどまらない外因事象による機器損傷データ)や故障確率等のPRA 基盤データの構築とそのデータの活用、e) レベル2、レベル3PRA、外的事象PRA 等の基盤研究・高度化の実施やPRA 活用ロードマップの策定等を進めることが必要である。』と記載されているが、このような検討は行ったのか。
 
6.解析コードについて
6-1 様々な解析が行われているが、過去、JNESは審査の一環として独自に計算してきた。JNESが原子力規制庁に組み込まれたことから、今回の審査においても、審査の一環として、クロスチェックを行なうべきだった。
6-2 たとえば、シビアアクシデントの解析にはMAAPが用いられているが、MELCOR,SAMPSON,THALES等の他の解析コードでの検証も可能である。そのような他の解析コードを用いた検証が実施されるべきであった。
 
7.避難について
原子力災害対策指針を作成したにもかかわらず、指針に適合しているか否かを審査しないのは無責任ではないか。現に米原子力規制委員会では、避難計画を審査対象としている。この審査を行なってこそ「災害の防止」が担保されるのではないか。
原子力規制委員会設置法の前文には「政策に係る縦割り行政の弊害を除去し、並びに一の行政組織が原子力利用の推進及び規制の両方の機能を担うことにより生ずる問題を解消するため、原子力利用における事故の発生を常に想定し、その防止に最善かつ最大の努力をしなければならないという認識に立って、確立された国際的な基準を踏まえて原子力利用における安全の確保を図るため必要な施策を策定し、又は実施する事務(原子力に係る製錬、加工、貯蔵、再処理及び廃棄の事業並びに原子炉に関する規制に関すること並びに国際約束に基づく保障措置の実施のための規制その他の原子力の平和的利用の確保のための規制に関することを含む。)を一元的につかさどるとともに、その委員長及び委員が専門的知見に基づき中立公正な立場で独立して職権を行使する原子力規制委員会を設置し、もって国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資することを目的とする」とある。当然、主体的に計画の策定に関与し、本審査書においても、策定状況およびその実効性を、確認する責務を有しているはずである。
 
8.消火設備について
モントリオール議定書により、オゾン層破壊物質であるハロンは原則、使用が抑制されることとなった。原子力施設においては、「ハロゲン化物消火設備・機器の使用抑制等について(平成3年消防予第161号)」及び「ハロン消火剤を用いるハロゲン化物消火設備・機器の使用抑制等について(平成13年消防予第155号)」に基づき、ハロンの使用が認められてはいる。今回、川内原子力発電所においても、ハロン1301の消火設備が導入されてるが、この必要性について本当にクリティカルユース(必要不可欠な分野における使用)のみの導入であるのかについて、実質的な審査は行われたのか。
 
9.燃焼について
9-1 水素発生についてイグナイタを設置することで対処するとあるが、審査書に記載のある通り、水素が均一に分布するわけではなく、濃度が異なる場所が想定される。よって、イグナイタについても、より慎重な設置が必要であるし、また水素濃度についての把握もより細かく必要である。
9-2 審査書案の「Ⅳ 重大事故等対処施設及び重大事故等対処に係る技術的能力 Ⅳ-1 重大事故等の拡大の防止等(第37条関係) Ⅳ-1.2 有効性評価の結果 Ⅳ-1.2.2 格納容器破損防止対策 Ⅳ-1.2.2.4 原子炉圧力容器外の溶融燃料-冷却材相互作用」によれば、申請者(九州電力)は「水蒸気爆発の発生の可能性は極めて低い」としている。それに対して規制委員会は「その根拠を整理して提示するよう求めた」。申請者は、「実機において想定される溶融物(二酸化ウランとジルコニウムの混合溶融物)を用いた大規模実験として、COTELS、FARO 及びKROTOS を挙げ、これらのうち、KROTOS の一部実験においてのみ水蒸気爆発が発生していることを示すとともに、水蒸気爆発が発生した実験では、外乱を与えて液-液直接接触を生じやすくしていることを示した」。さらに委員会は、解析コードの見解を求めたりしているが、最終的には「規制委員会は、格納容器破損モード「原子炉圧力容器外の溶融燃料-冷却材相互作用」において、申請者が水蒸気爆発の発生の可能性は極めて低いとしていることは妥当と判断した」が、この判断は問題である。
問題点1:申請者は実験データとして、COTELS 、FARO 及びKROTOSをあげているが、なぜかTROI 装置による実験結果には言及がない。なお、TROI とはTest for Real cOrium Interaction with water の略である。
問題点2:水蒸気爆発が高い割合で発生したTROIの実験結果を無視したのは、意図的かつ恣意的で悪質である。
問題点3:KROTOS の一部実験においてのみ水蒸気爆発が発生しているとしているが、これは正確ではない。あるいは意図的である。好意的に見て調査不足である。
説明:TROI装置による実験では(文献1、2など)、6回のうち4回は激しい自発的な水蒸気爆発が発生した。溶融物としては、ジルコニア(二酸化ジルコニウム)のみと二酸化ウランにジルコニアを加えた場合について実験してどちらでも自発的な水蒸気爆発の発生を確認している。
 例えばTROI-13では二酸化ウラン:ジルコニア:ジルコニウム=UO2:ZrO2:Zr=69:30:1という溶融物を使用して、7MPa、TROI-5では1MPaの爆発が生じている。TROI-13は15kg程度溶解して実際に爆発したのは約8kgだが。それでも激しい爆発が起こっている。しかも自発的にである。
 申請者があげた大規模実験として、COTELS の実験装置では約60 kgの試料を用いるが、KROTOSでは約3kgであり、KROTOSより規模の大きい実験であるTROIを評価しない理由は理解できない。しかもTROIはKROTOSなどよりも最近に行われている。
 爆発の発生の有無には混合物の割合など、さまざまな因子が関与しており、爆発の条件を満たした場合は、容易に爆発が発生する可能性がある。ことほど左様に判断がむずかしい現象である。
文献
1.Jinho Song, Ikkyu Park, Y. Sin J. Kim, S. Hong, B. Min and H. Kim, Spontaneous Steam Explosions Observed In The Fuel Coolant Interaction Experiments Using Reactor Materials, Journal of the Korean Nuclear Society, Vol.33,No.4, pp.344-357(2002).
2. JH Song, IK Park, YS Shin, JH Kim, SW Hong, B.T. Min and H.D. Kim,Fuel coolant interaction experiments in TROI using a UO 2/ZrO2 mixture,Nuclear Engineering and Design,Vol. 222, No.1, May 2003, Pages 1-15.
 
10.地震について
10-1 基準地震動を 申請者は2014年3月5日の審査会において、540 cm/s2から620 cm/s2に変更し、この変更について、「規制委の担当者は『九電の意識が高かった』と評価」(2014年7月16日付毎日新聞)されているが、2014年3月14日付読売新聞は「九電は、『すべてに反論していたら再稼働が遅くなる』(幹部)と、規制委の意向に沿って想定される地震の揺れ(加速度)を、申請時の540ガルから最終的に620ガルに修正。カギとなる最大の地震の揺れ(基準地震動)の審査をクリアできた。九電幹部は引き上げの根拠について『ある意味、エイヤっと大きくした部分もある』と話した」と報じている。
今回の申請において変更された数値は、申請者の意識が高かったわけではなく、申請者の「損得勘定」(7月18日付朝日新聞)の結果として出されたものと見受けられる。科学的でもなく、安全文化の構築も行っていない。2013年7月の「大飯3、4号機の現状評価書」において否定された「新規制基準を満たす最低値を探ろうとするかのような姿勢」そのものではないか。
10-2 申請者は2008年岩手・宮城内陸地震と2000年鳥取県西部地震について震源を特定せずに策定する地震動の対象から排除し、原子力規制委員会はこれを確認している。しかし、過去10年で5回にわたって想定した基準地震動を超過する地震が発生している以上、過去の基準地震動策定方針は根本から見直すべきである。よって、日本における既知の最大地震動を排除するべきではない。
 
11.火山について
11-1 火山について、申請者は発生間隔を9万年と想定しているが、これは鹿児島地溝全体としての噴火の発生間隔を平均したものである。噴火の発生間隔は平均で出せるものではなく、極めて非科学的な導き方だ。そのような想定を前提にしていては、現実性にかける対策しか提示されないのはもちろん、審査が行われていないも同然である。
11-2 現在、活動の可能性が確認された場合、モニタリングを強化することが対策とされている。しかし、原子炉の停止、燃料の取り出しを行う条件、輸送等に要する時間や燃料の輸送方法、輸送先等は、現在でも検討可能なことであり、本審査書において検討すべき内容である。具体的で明確な方針があるべきである。
 
12.いわゆる「テロ対策」について
人為的な事故については検討不足な箇所が多数見られるが、本審査書において審査されるべき内容である。人為的な飛来物(航空機・ミサイル等)、送電線の切断等にはどのように対処するのか。再稼働を前提とする場合、検討は必須項目である。
 
13.品質保証について
申請者は品質保証についてマネジメントレビューをおいているが、安全性よりも経済性を優先した安全対策ではいけないということが、福島第一原発事故の教訓の1つであったはずである。安全対策と経営問題の競合をどのように解決するかのプロセスが検討されていない。
 
14.被曝労働について
シビアアクシデント時、作業員には高線量の被曝が想定されるが、業務命令でどこまで対応するのか。緊急作業100 mSvを超過した場合の対応はどのように考えているのか。
 
15.流入地下水について
福島第一原発では、1日あたり400トンの汚染水が新たに増えており、事故処理の困難さの最大の原因になっている。これは流入地下水に起因している。川内原発も、現状で1日あたり300トンの地下水を汲みあげており、事故が起こると福島第一原発と同じような難題が生ずるおそれがある。
審査書ではこの点、「耐震性を有することから外部の支援を期待することなく排水可能である」としているが、津波による破壊、ガレキの井戸への混入等によって使用できなくなることも想定、検討するべきである。
 
以 上
 

 

7月27日に福島市で開かれた「被爆69周年原水禁世界大会・福島大会」とデモ行進、フィールドワークの様子をビデオにまとめました(約10分)・

 

 

福島大会.JPG福島デモ行進.JPG

  被爆69周年原水爆禁止世界大会は、7月27日、福島大会から始まりました。福島では、東京電力福島第1原発事故が起きた2011年から毎年開催され、特に原発事故の責任を問い、再稼働を阻止し、脱原発への政策転換を求めています。

 福島県教育会館で開かれた大会には、東北各県を中心に全国各地から1300人が参加しました。主催者あいさつで川野浩一・大会実行委員長(原水禁議長)は、「安倍政権は、鹿児島の川内原発をはじめ各地の原発再稼働を狙っている。原発事故があれば全てを失ってしまう。福島原発事故の国の責任を明確にさせ、断固として脱原発、核兵器廃絶、平和憲法を守る運動を貫こう」と訴えました。

 また、福島県平和フォーラムの角田政志代表は「福島ではいまだ13万人が避難生活を余儀なくされている。震災時の直接死よりも、その後の関連死で亡くなった方が多くなった。原発災害を風化させてはならない」と強調しました。

 大会の基調を藤本泰成・大会事務局長が行い、特に原子力政策の根本的転換と脱原子力に向けて、①安倍政権の原子力推進政策に反対し、福島原発事故の対応に全力をあげる、②川内原発などの再稼働の阻止、③核燃料サイクルからの撤退、④自然エネルギーなど政策の転換を求めていくとしました。
 大会では福島現地報告が行われ、福島県教職員組合の澤井和宏さんは、原発があった双葉郡8町村の小中学生は、事故前に約6400人いたのが、今は660人に減ったことや、子どもの甲状腺検査で通常より多くの悪性の疑いが出ているとして、「教育現場はまだまだ事故から立ち直ることが出来ていない」と指摘しました。
 また、原発事故で避難した女性達が弁当を提供するなどの活動を続けている「かーちゃんの力・プロジェクト」の渡邊とみ子会長は、「福島で作った食品は放射性物質の検査を受けなければならず、毎回複雑な気持ちだ。もうこんな辛い思いはさせたくない」と、脱原発を強く訴えました。
 さらに、地域医療活動をする「きらり健康生活協同組合」の福地庸之さんは、放射線測定や、無料健康相談、子ども達の保養の取り組みなどを紹介するとともに、避難者の現状、低線量被ばく、除染、米の全量検査、甲状腺機能検査の問題などを取り上げ、「被災者の健康と命を守る取り組みと脱原発を結んで運動を続けて行く」と決意を表明しました。
 最後に「福島原発事故の深刻な状況、被災地の厳しい現実を直視し、フクシマを核時代の終わりにしよう」との大会アピールを採択しました。大会後、参加者は福島駅前などをデモ行進し、「原発はいらない!」「再稼働を許すな!」「政府は責任を取れ!」などとシュプレヒコールを行いました。(下写真)
  大会アピールはこちら
 
 
福島浄化センター.JPG
伊達市仮置き場.JPG
 
 28日はフィールドワークが行われ、国見町にある「福島県下水道公社・県北浄化センター」では、下水汚泥から放射性物質が検出され、敷地内に保管されている状況を視察しました。(上写真) 
 また、伊達市では、住宅等の除染廃棄物の「仮置き場」を視察、市の担当者は「まず生活の場の除染を徹底し、住民の理解を得ながら、各地区ごとに110箇所の仮置き場を設置、ほぼ住宅地の除染は終わった。しかし、その費用は年間250億円と、市の予算と匹敵した」と、原発事故の被害の深刻さが改めて強調されました。(下写真)
 原水禁世界大会は、8月4日から6日まで広島、7日から9日まで長崎で開催されます。

 被爆69周年原水爆禁止世界大会・福島大会アピール

 2011年3月11日の東日本大震災は、多くの人命と生活基盤を根こそぎ奪い取る未曾有の大災害となりました。この地福島では、さらに東京電力福島第一原発の重大事故による被害が加わりました。3年半近く経ったいまでも事故の収束の見通しはたっていません。東日本大震災の余震もいまだ続き、福島第一原発は、再び大量の放射能放出につながる危険性も残されています。原子炉建屋・トレンチ内の大量の放射性物質による地下水の汚染も広がり、その海洋への流出も明らかにされました。期待された多核種除去装置(ALPS)や凍土壁、地下水バイパスなどは十分に機能していない現実があります。現在も懸命に進められている事故収束作業は、今後何十年もの長期に亘ることが予想され、人類が経験したことのない被害、汚染との闘いが続きます。私たちは、東電・政府に対し、事故収束に向けた一層の努力を強く要請します。加えて、福島第二原発に固執することなく「廃炉」を決定し、無駄な資金や人材を投入することなく、収束に全力をあげることを要請します。
 福島原発事故は、政府や東電による「人災」そのものです。根拠ない原発の「安全神話」を宣伝し、経済効率を優先し、地震や津波などへの専門家の指摘に耳を貸さず、安全対策をないがしろにしてきた結果が、福島第一原発の重大事故につながりました。政府や電力会社など原子力政策を推進してきた全ての者の責任をきびしく問わねばなりません。
 福島県だけでも、未だに13万人におよぶ人々が、故郷を奪われ先の見えない避難生活を余儀なくされています。被災地のコミュニティや家族生活は分断され、多くの人々が放射能と向き合う生活を強いられ、人権が侵害される状況が続いています。地元、福島県町村議会議長会や町村会は6月総会で福島第二原発の全基廃炉を特別決議し、「一刻も早い事故収束と事故前の平穏な日常を取り戻すのが最大の願い」だと訴えています。「もとの生活を返せ!」は、被災者全ての心底からの叫びです。政府や東電は真摯に応えるべきです。
 政府や東電は、重大事故を起こした責任を認め、心から謝罪し、被災者に対する正当な賠償や援護施策を果たすべきです。被災者の生活は困難を極め、心労や病気、言われなき差別など精神的・肉体的に追い込まれ、「震災関連死」は1700人を超え直接死を上回ることとなっています。被災者の生活再建、健康維持のための賠償や援護施策の充実を、真摯に行うことが求められます。
 浪江町をはじめとする双葉町村会は、政府に対して原爆被爆者と同様の法律に基づいた「放射線健康管理手帳」(「健康手帳」)の交付と医療費の無料化、生活保障などを求めています。政府の責任による公的・制度的な医療支援と生活保障制度の確立は被災者の切なる願いです。また、事故原発では、多くの労働者が通常運転時とは桁違いの被曝を強いられています。そのほとんどが下請け労働者です。私たちは、被災者と被曝労働者の健康と生活を守るよう、政府や東電に強く求めます。
 ヒロシマ・ナガサキから69年。ヒロシマ、ナガサキ、ビキニ、JCOと続いた核被害の歴史にフクシマが加わりました。しかし今、福島原発事故がなかったかのように、安倍政権は、川内原発を皮切りに全国各地で原発の再稼働を強行しようとしています。私たちは、福島原発事故の深刻な状況、被災地のきびしい現実を改めて直視しなければなりません。事故の現実を無視した「福島の復興」はありえません。フクシマ支援を抜きにした脱原発もありません。県内の全ての原発の廃炉は、福島県民の強い願いです。事故の風化に抗し、原発の再稼働を阻止し、政府に脱原発への政策転換に向けて舵を切らせることを、私たちはここ福島で決意します。「第二、第三のフクシマ」を許さず、フクシマを核時代の終わりにしましょう。
 2014年7月27日
 
被爆69周年原水爆禁止世界大会・福島大会
 

原水爆禁止世界大会 福島大会 基調提起

 福島県は、2011年の東日本大震災・福島第一原発事故から、4度目の夏を迎えています。事故の収束作業、そして、放射性物質での汚染地された故郷への帰還、被災者の補償と新しい生活へのスタート、全く進展のない中で、被災者の生活はきびしさを増しています。
福島の現実が変わらない中で、国は原発の再稼働を急いでいます。
 6月16日、石原伸晃環境大臣は、福島第1原発事故の除染で出た汚染土などを保管する中間貯蔵施設を巡り、「最後は金目でしょう」という発言で、福島県民を始め多くの市民の批判を浴びました。
 石原大臣は、「最後はお金の話になるが、今は示すことができないという話だ」「金で解決できるなんて一言も言ったことはない」と釈明しましたが、発言を撤回することも、自ら発言の責任を取ることもありませんでした。「金権政治」と言われ続けた、自民党政権の本質があらわになる発言です。どう弁明しようが、「金を積めば解決する」という考えに立った発言であることは否定できません。

 政府は、原子力規制委員会で稼働に慎重であった島崎邦彦委員長代理を退け、東京電力の関連財団から報酬を受け取っていたとされる田中知(さとる)東大大学院教授に交代させるという人事を強行しました。原発再稼働に向けたなりふり構わぬ姿勢は、市民社会を愚弄するものです。
 原子力規制庁が、「九州電力川内原発の新規制基準適合性に係る審査報告書案」を発表した翌々日、7月18日に、安倍首相は、九州の財界メンバーと会食し「川内原発はなんとかしますよ」と発言した報道されました。これら、私たち市民の思いを逆なでする発言や政治姿勢は、政権の「おごり」としかとれない、決して許されないものです。
 原子力規制庁の田中俊介委員長は「規制基準を満たしているが、私は安全とは言わない」と発言しています。安倍首相は、過酷事故の検証を踏まえ「世界最高水準の安全性」を主張していますが、そのことを検証するはずの規制委員会の委員長が「安全とは言わない」としているのです。
 米国の原発はその立地条件に「避難計画の策定」があります。そしてそれは、原発を運転する電力会社に義務づけられたものです。しかし、日本においては「避難計画」は、自治体の責任で策定されるもので、その策定自体、再稼働の条件とはなっていません。

 今回の新規制基準では、過酷事故対策としてベントの設置が義務づけられました。原子炉の冷却が停止し炉内の圧力が上昇した場合、原子炉爆発を防ぐために蒸気を外に逃がし、圧力を下げるものです。つまり、これまでは炉内にとどまるとされた放射性物質を環境中に放出することになります。それなのに、なぜ、避難計画がセットにならないのでしょうか。そこには、実効性のある避難計画の策定が極めて困難であると言う事実、そして、地域住民の生命を軽視するこれまでの国の姿勢が見てとれます。

 これまで、電力会社が原発の安全対策としてつぎ込んだ費用は、2兆円を超えています。また、稼働していない原発の維持費用も1兆円を超えるものです。これらが自然エネルギーの開発や推進の資金に注がれていたらと、忸怩たる思いに駆られます。電力料金の高騰は単に燃料費の問題だけでないことは明らかです。原発事故のあと、国が「脱原発」の方向性を決定できないことが、招来に与える影響は計り知れません。
 中部電力は、原発推進のために、発注額を水増しし建設会社などから受け取った裏金を、政治資金として政治家に貫流させる政策をとっていたことが明らかになりました。その資金は「総括原価方式」という方法で、私たちから奪い取った、そう表現することが適切であろう、電気料金によるものです。これは犯罪以外の何ものでもありません。このような政官民の癒着構造が、新しい時代の構想力をそいでいることは間違いありません。

 福島原発事故以降、福島県民の生活は、放射能の脅威と向き合うものとなっています。汚染された地域への帰還は、見通しが立ちません。福島県では、震災関連死が、直接震災で亡くなった方の数を上回っています。
 困窮する生活を見透かす補償の切り捨てや、帰還の許容、放射線の影響の過小評価など政府の姿勢には、原発事故への責任を取ろうとする姿勢が見えません。
 「原発の安全性は規制委員会の判断に委ねている。個々の再稼働は事業者の判断で決めること」という菅官房長官の発言を、「あくまでも新しい規制基準への適合審査」であり安全性の審査ではないとする規制委員会の主張と並べて考えると、原発再稼働に対する責任の所在を、あいまいにしようする政府の姿勢がはっきりとしています。
 原水禁は、原発事故に対する国の責任は明確だと考えます。そのことを基本に据えて、福島の復興が、被災者への補償が図られなくてはなりません。

 ノーベル賞作家で、「さようなら原発」の呼びかけ人である大江健三郎さんは、インタビューに答えて「戦後は明るかった」と述べ、それは日本国憲法の「民主主義」と「平和主義」による希望だったとしています。私たちは、この80歳にならんとする作家の言葉の、重さを受け止めねばなりません。
 侵略戦争と植民地支配に明け暮れ、一人ひとりの命を省みなかった時代の、多くの犠牲の上にになり立った「戦後」そして「日本国憲法」が、何を私たちに与え、そして、何を私たちに求めているのか。フクシマは、今、そのことを私たちに訴えているのだと思います。
 憲法13条は、「すべての国民は個人として尊重される」と規定しています。「人」ではない「人間」ではない、「個人」と言う言葉の重たい意味を、しっかりと受け止めなくてはなりません。
 今朝の朝日新聞で、姜尚中聖学院大学学長が、100年前の夏目漱石の私の「個人主義」という講演での「国のモラルより個人のモラルの方が数段高い」と言う言葉をを紹介しています。これは、日中韓の現在の関係を強く意識しての引用ですが、私たちの生きる時代に、きわめて大切な示唆を与える言葉だと思います。

 「国を守る」と言われ、310万余の命が失われた、いや、アジア全体では2000万人もの命が失われた、アジア・太平洋戦争。1931年の満州事変は、「満蒙は日本の生命線」とする権力の策謀によって始まり、最後は、東京大空襲、沖縄戦、そしてヒロシマ・ナガサキでの原子爆弾の悲劇で終わりました。
 安倍首相は、「ホルムズ海峡は日本経済の死活的問題」として、集団的自衛権を行使し、機雷除去という国際法上の戦闘行為に手を染めようとしています。
 「国を守る、日本の経済を守る」とする目的によって、いったい誰が命を失うのでしょうか。私は、「個人を守る、個人の命を守る」という考え方に立ちたいと考えます。
 憲法13条は、国家主義による戦争の悲劇の反省にたって、そのことを「個人を守る」ことを、国家の基盤に置かなくてはならないと規定しているのだと思います。その「個人主義」は徹底されなくてはならないのです。

 フクシマは、日本経済の基盤であるエネルギーの供給地として、「安全である」との要請の下で、心ならずも原子力発電所立地を引き受けました。しかし、日本のエネルギーを守ることで、多くの被災者を生み、故郷に戻ることのできない状況を生み出しました。「個人」が、国の犠牲になる意味で、戦争も原発も変わることはなかったのです。いま、私たちは「個人」とは何か、「個人主義」とは何かを徹底して議論しなくてはなりません。
 個人の犠牲の上に、国家が成立することがあってはなりません。原水禁運動は、多くの犠牲の下に、私たちが学んだ歴史の教訓を、そのことを基本に据えた社会の実現をめざします。「一人ひとりの命に寄り添う社会と政治」この基本を忘れてはなりません。

7.9再稼働反対集会.JPG

  原子力規制委員会が近く、鹿児島の川内原発1、2号機の適合性審査について、新たな規制基準を満たしているとの審査報告書を出す見通しとなったことから、「さようなら原発1000万人アクション」は、川内原発の再稼働を許さない緊急行動を7月9日に行いました。

 昼には、国会前に約100人が集まり、「脱原発」への政策転換を求めて参加者がリレートークを行いました。中には、たまたま仕事が休日になったと千葉から駆けつけた参加者もあり、口々に「津波対策や避難計画もズサンな規準でいいのか」「安倍政権の原発推進の暴走を止めさせよう」などと訴え、シュプレヒコールをあげました。(写真)

 夜は代々木公園に350人が集まり、「川内原発再稼働を許さない!さようなら原発7・9緊急集会」が開かれ、鎌田慧さん(ルポライター)などがスピーチを行いました。作家の落合恵子さんは「私たちがあきらめたらおしまい。怒り直そう」と呼びかけ、元国立市長の上原公子さんも「生きさせろ、の一揆を起こそう」と訴えました。
 集会後、参加者は渋谷駅周辺をデモ行進し、横断幕やプラカードを手に「再稼働反対!」「福島原発事故の責任を取れ!」などと訴えました。なお、川内原発の審査判断は来週以降に持ち越されましたが、同1000万人アクションでは、7月16日(水)も12時から国会前で抗議行動を行う事にしています。
 ■「さようなら原発1000万人アクション」のホームページは http://sayonara-nukes.org/

  福島原発事故は、いまだ 事故の収束は見えないまま今日に至っています。福島原発事故の抱える課題は様々なものがあり、一つひとつ大きな困難を抱えています。私たちにとっても長期に渡る困難な闘いがさらに続いていきます。現地との連携を強化しながら、二度と再びフクシマ原発事故を起こさせないためにも、原水禁世界大会を通じて確認し、脱原発の運動の強化をはかっていきます。原水禁世界大会・福島大会では福島原発事故の現状と現地の実態、今後の取り組みの方向性など現地の方々のを中心に提起します。また、関連する取り組みとして、現地フィールドワーク(事前予約が必要)を実施します。

Ⅰ 被爆69周年原水爆禁止世界大会・福島大会
 
1.時  間 : 7月27日(日) 13:30~17:00頃
 
2.場  所 : 福島市内・福島県教育会館 (規模700人)
          福島市上浜町10-36  電話024-523-0206
          JR福島駅から徒歩約20分
          地図 
 
3.内  容 : <集会>13:00(開場)/13:30~15:45
         (1)黙祷   
         (2)主催者あいさつ   川野浩一(大会実行委員長)       
         (3)地元あいさつ    福島県平和フォーラムから
         (4)大会基調提起    藤本泰成(大会事務局長)       
         (5)福島現地報告    *県内の様々な分野から報告と提起をいただきます。
         (6)福島大会アピール                     
         (7)閉会あいさつ    大会副実行委員長
 
         <デモ行進>
          15:45福島県教育会館~16:45JR福島駅前(流れ解散)
 
4.参加案内 : 特に事前の申込はいりません。当日、会場においで下さい。
 
5.宿  泊 : 必要な方は各自でお取り下さい。参考までに付近のホテルを紹介します。   
 
 宿泊可能ホテル一覧
 
    杉妻会館                          024-523-5161  県庁隣接
    ホテル 福島グリーンパレス       024-533-1171  JR福島駅西口近
  ホテルサンルート福島              024-521-1811  県庁近
  ホテルサンルートプラザ福島    024-525-2211  県庁近
  ホテルホテルメッツ福島            024-523-1515  JR福島駅東口隣
  ホテル辰巳屋             024-522-1711  JR福島駅前
 
Ⅱ フィールドワーク/被災地訪問(フィールドワークは事前予約が必要です)
  除染廃棄物「仮置き場」の状況と公共下水道汚泥処理の現状
 
 7月28日(月)の午前中に行います。(参加費2,500円)
 参加ご希望の方は、原水爆禁止世界大会実行委員会までお問合せ下さい(募集定員は40名)  
  
 問い合わせ先(大会事務局)/電話 03-5289-8224
               FAX 03-5289-8223

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