北海道平和運動フォーラムの代表団が2月3日、4日上京し、北海道・幌延町で研究している「高レベル放射性廃棄物の地層処分」について、経済産業省及び文部科学省と交渉するとともに、事業主体である日本原子力研究開発機構(旧核燃料サイクル開発機構)に対して申し入れを行いました。また、青森県の大間原発建設中止を求める要請も電源開発に申し入れしました。
安倍政権は最終処分地について「国が前面に立って最終処分にとりくむ」としており、従前の公募方式から転換する姿勢を示しています。また、幌延では2014年度から、実際の処分に近い模擬実験の開始が予定され、現地ではなし崩し的に最終処分地となるのではないかと危機感を募らせています。こうしたことから今回、北海道平和運動フォーラムをはじめ、札幌市の生活クラブ生協、核廃棄物施設誘致に反対する道北連絡協議会が、政府交渉、関連する団体への申し入れを行い、3日夜には東京・日比谷で「NO!核のゴミ 高レベル放射性廃棄物の最終処分を考える東京集会」を開催しました。
→集会資料(一部)はこちら 資料1 資料2(PDF)
久世香嗣さん(上)、長田秀樹さん(下)
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2014年 2月 4日
経済産業省・文部科学省
日本原子力研究開発機構・原子力発電環境整備機構(NUMO) 様
北海道平和運動フォーラム
代 表 中 村 誠 吾
代 表 江 本 秀 春
北海道幌延町の「深地層研究センター」にかかわる要請について
<要請趣旨>
貴職におかれましては、日頃より、国民生活の維持向上にご尽力されていることに対し敬意と感謝を申し上げます。
さて、北海道幌延町の「深地層研究センター」をめぐっては、北海道は「放射性廃棄物の持ち込みは受け入れ難い」との条例を制定し、北海道および幌延町、日本原子力研究開発機構(旧核燃料サイクル開発機構)は「研究のみ」として、「放射性廃棄物を持ち込まない」「研究終了後は埋戻し、最終処分場としない」などとする「幌延町における深地層の研究に関する協定書(「三者協定」)」を締結し、「深地層研究」がすすめられています。
しかし、政府は、高レベル放射性廃棄物の最終処分について「国が前面に立つ」として、候補地選定に向けた「文献調査」を自治体に対する「申し入れ方式」によって進めようとしています。また、文部科学省が幌延深地層研究センターと瑞浪超深地層研究所のどちらか一方の施設を廃止する方針を示しましたが、幌延深地層研究センターでは、2014年度から実際の処分に近い研究が始まることから、幌延深地層研究センターが存続することは明らかです。
こうした深地層研存廃の動きに対し、幌延町は昨年11月、文科省に対して、事業の継続を求め「地下500㍍以深の試験坑道の建設」などを申し入れています。北海道も昨年9月に、文科省や原子力機構に対して、「地層処分に関する研究開発の着実な推進」を要請しています。また、地元幌延町においても商工業者を中心に、最終処分場誘致の動きが明らかになっています。
こうした一連の動きに対して、私たちは、当初計画で定められた「20年程度」の研究期間が延長され、さらに、「研究終了後は地下施設を埋戻し、地上施設も閉鎖する」とした「三者協定」が反故にされ、なし崩し的に幌延町が最終処分場とされかねないことを危惧しています。
青森県六ヶ所村再処理工場における高レベル放射性廃棄物ガラス固化施設でのトラブルによる相次ぐ完工延期や、高速増殖炉「もんじゅ」の事故や点検漏れにより実用化が困難なことなど、「核燃料サイクル路線」は事実上破綻しており、直ちに断念すべきです。
また、日本学術会議が提言したように、地震列島における「地層処分」を見直すとともに、北海道幌延町における「深地層研究計画」について、下記のとおり要請いたしますので、誠意ある対応をお願いいたします。
<要請事項>
1.日本学術会議が「日本列島に安定した地層はなく、現在の最終処分を見直す」と提言したように、地震国日本において、10万年間も監視が必要な、核廃棄物の存在を後の世代に知らせることができない「地層処分」は直ちに断念し、幌延町における「深地層研究計画」を中止すること。
2.北海道および幌延町、核燃料サイクル機構(当時)において締結された「幌延町における深地層の研究に関する協定書(「三者協定」)」を遵守すること。また、「三者協定」に関して、以下の事項を再度、明らかにすること。
(1) 研究期間中や研究終了後においても、放射性核廃棄物を持ち込むことや使用することはしないこと。
(2) 研究終了後は、地上の研究施設を閉鎖し、地下施設は埋め戻すこと。
(3) 幌延の深地層研究センターを将来とも、放射性廃棄物の最終処分場としないこと。
3.当初計画である「20年の研究期間」を遵守すること。また、終了年度を明らかにすること。
4.「特定放射性廃棄物の持ち込みは受け入れ難い」とする「北海道における特定放射性廃棄物に関する条例」にもとづき、北海道内のすべての自治体に対して、最終処分地の候補地選定に向けた「文献調査」の申し入れは行わないこと。
以 上
原子力環境整備機構(上)、原子力研究開発機構(下)での要請
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2014年 2月 3日
電源開発(J-POWER)
取締役社長 北 村 雅 良 様
北海道平和運動フォーラム
代 表 中 村 誠 吾
代 表 江 本 秀 春
青森県大間町「大間原発」の建設中止にかかわる要請について
<要請趣旨>
貴職におかれましては、日頃より、電力の安定供給など国民生活の維持向上にご尽力されていることに対し敬意と感謝を申し上げます。
さて、東京電力福島第一原発事故後の2012年10月に建設工事を再開した大間原発は、危険性の高いプルトニウムを含むMOX燃料を世界ではじめて全炉心に装荷する、プルサーマル発電を行おうとしています。このプルサーマル発電は、原子炉の制御がきわめて難しいとされ、炉心内の放射性物質が漏れると、その被害はフクシマの比でないことは明らかです。原子力規制委員会の田中俊一委員長も「世界に類のないことをやるのは非常に難しい」と慎重姿勢を見せています。また、プルサーマル計画をめぐっては、北海道電力・泊原発や九州電力・玄海原発で、組織ぐるみの「やらせ」問題が明らかになりました。
大間原発は、対岸の北海道函館市からわずか30キロに位置し、福島原発事故では30キロ圏内は屋内退避区域に指定されました。函館市議会は、「建設凍結」を求める意見書を可決するとともに、3月にも、国と貴社を相手取り、「建設差し止め」を求める訴訟を東京地裁に提訴するとしています。また、すでに、函館市民らが「建設差し止め訴訟」を行っています。
産業技術総合研究所と東海大学は、津軽半島東岸の平舘海峡で南北14㌔の海底活断層を発見しました。また、専門家はこの他にも、原発の敷地内や周辺海域の津軽海峡巨大活断層の存在を指摘しています。
青森県六ヶ所村再処理工場における高レベル放射性廃棄物ガラス固化施設でのトラブルによる相次ぐ完工延期や、高速増殖炉「もんじゅ」の事故や点検漏れにより実用化が困難なことなど、「核燃料サイクル路線」は事実上破綻しています。また、使用済み核燃料を再処理した際に出る高レベル核廃棄物の最終処分場の選定も困難な状況にあります。
つきましては、現在建設中の大間原発について、下記のとおり要請いたしますので、誠意ある対応をお願いいたします。
<要請事項>
1.プルサーマル発電の安全性への懸念があることや、「核燃料サイクル」がすでに破綻していることなどを鑑み、大間原発の建設を直ちに中止すること。
2.専門家らが指摘している、原発の敷地内や周辺海域の津軽海峡巨大活断層、平舘海峡撓曲などの活断層の存在について、電源開発の見解を明らかにすること。
3.函館市議会などによる「大間原発建設の無期限凍結を求める決議」や、函館市による「建設差し止め訴訟」の動きに対する、電源開発の見解と今後の対応について明らかにすること。さらには、北海道に対する対応についても明らかにすること。
以 上
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