2014年2月アーカイブ

エネルギー基本計画政府案の撤回を求める(声明)

 安倍政権は、現在「エネルギー基本計画」の政府案をまとめ、3月中には閣議決定しようとしています。今月24日に明らかになった政府案では、原発を「基盤となる重要なベース電源」と位置づける当初案に対して、原発推進の色合いが強いとする与党内での批判を受けて、原発推進のトーンを柔らげるとして「重要なベースロード電源」との専門用語に変更しました。しかし、その本質はこれまでの自民党政策同様、原発の利用を積極的に進めることに他なりません。また、原子力規制委員会の新規制基準で安全が確認された原発は、「再稼働を進める」と明記しています。福島第一原発事故がなかったかのような姿勢であり、事故の反省にたったものとは全く言えない計画になっています。
 国会での多数の力を背景に、先の民主党政権下で国民的意見を広く求める中でまとめた「2030年代原発稼働ゼロ」の政策を、いとも簡単に放棄するものとなっています。しかし、圧倒的世論が「脱原発」を求めているのは明らかであり、その声を無視する安倍政権の暴挙は許すことができません。このような意味で、我が国がめざすべきエネルギー政策は、「国民一人ひとりの意見や不安に謙虚に向き合い、国民の負託に応えるエネルギー政策である」とする計画の「はじめに」に書かれる文言は、市民社会を愚弄しているとしか受け止められません。
 さらに「はじめに」では、「原発依存を可能な限り低減する」「被災された方々の心の痛みにしっかりと向き合い、寄り添い、福島の復興・再生を全力で成し遂げる」と記載されていますが、誰が見ても具体的政策に欠けるもので、「現在も約14万人の人々が困難な生活を強いられている」とする文言が、他人事にしか聞こえません。そして、そのことに対する具体的政策の展開は全く記載されていません。
 核燃料サイクル計画については、「再処理やプルサーマルを推進」するとしています。しかし現実の核燃料サイクルは、六ヶ所再処理工場や高速増殖炉もんじゅ、プルサーマル計画、高レベル放射性廃棄物処理処分などのそれぞれの計画や建設など全く見通しが立っていません。このことは、政権与党の議員からも「核燃料サイクル計画は破綻しているのは明白」と明確に指摘されています。
 特に高速増殖炉もんじゅは、「研究計画に示された成果のとりまとめを目指す」としていますが、後継炉の計画すら示されておらず、無理に研究を進めてもムダな研究に終悪可能性が強いと考えられます。文部科学省が進める高速増殖炉開発計画は、科学技術庁(現文部科学省の前身)時代に、大した成果も残せず終わった国家プロジェクト・原子力船「むつ」の二の舞になるのは明らかです。
 高速増殖開発計画が成果を上げることができなければ、連動して再処理計画も頓挫してしまいます。再処理計画は、あくまで高速増殖炉が将来の原子力の主流になることを前提に進められてきました。また、再処理で作り出されたプルトニウムは、高速増殖炉で利用することを前提とし、NPTの合意を取り付けています。日本は、余剰プルトニウムを持たないことを公約としてプルトニウム利用を進めてきましたが、原発が停止した中ではその利用は極めて限定されます。国際社会から「公約違反」と「核武装」への懸念が広がっていくことにもつながっています。
 核燃料サイクル計画の破綻は明確であり、世論は「脱現発」を確実に望んでいます。日本社会は、再生可能エネルギーの推進によって新しい産業の促進とエネルギーの安定供給をめざすべきです。そのことへの覚悟を示すことこそが「エネルギー基本計画」に示されなければならず、そのためにはきちんとした数値目標がなくてはなりません。原子力政策の延命を図る「エネルギー基本計画」の撤回と原子力政策の根本的転換を強く求めるものです。

2014年2月28日
原水爆禁止日本国民会議
議長 川野 浩一

破綻は明らか―エネルギー基本計画政府案の撤回を求める
 
原発推進より事故の収束と福島の復興が優先
 2011年3月11日の福島原発事故から、早くも3年が過ぎようとしています。福島県内には14万人ともいわれる避難者が、故郷を奪われいまも苦しい生活を余儀なくされています。一方で安倍政権は、原発推進の「エネルギー基本計画」の政府案をまとめ、3月中に閣議決定しようとしています。
 今月24日に明らかになった政府案では、これまでの原発を「基盤となる重要なベース電源」とするこれまでの「当初案」に対する与党内での批判を受けて、原発推進のトーンをやわらげようと、「重要なベースロード電源」と専門用語を交えて一般の人々に理解しにくくしながらも、その本質は原発利用を積極的に進めることに他なりません。
 また、原子力規制委員会で安全が確認された原発は、「再稼働を進める」と明記しています。まさに再稼働をするための基本計画です。
 さらに国会での多数を背景に、国民的議論もなされることなく、先の民主党政権下で意見を広く求めてまとめた「2030年代原発稼働ゼロ」の脱原発政策をいとも簡単に放棄しました。国民世論の過半数は脱原発を求めています。その声を無視する安倍政権の姿勢は許すことはできません。
 一方で「福島を再生可能エネルギーの産業拠点化」にするなど、飴玉をちらつかせながら、原発推進を福島県民に「納得」させて、「押し付け」ようとしています。破綻している原子力政策にこれ以上貴重な血税を投入し続けることではなく、福島には事故の収束と復興へ向けて、あらゆる資源を投入していくことが求められています。

もんじゅも再処理も破綻―原子力政策からの撤退を
 核燃料サイクルについては、「再処理やプルサーマルを推進」すると宣言しています。しかし現実の核燃料サイクルは、六ヶ所再処理工場や高速増殖炉もんじゅ、プルサーマル計画、高レベル放射性廃棄物処理処分などのそれぞれの計画や建設などで行き詰まりを見せています。
 特に高速増殖炉もんじゅは、「研究計画に示された成果のとりまとめをめざす」としていますが、後継の計画すら示されず、その後の研究開発が続かなければ意味のない研究になってしまいます。
 高速増殖開発がとん挫すれば、それを前提とする再処理政策も遂行できません。再処理政策の前提は、あくまで高速増殖炉が主流の原子力社会の到来。それに向けたもんじゅ開発が、今回の政府案ではかろうじて「維持」されることになりましたが、それでうまくいくわけではありません。むしろ今後の研究では、本来の高速増殖炉開発の名目さえなくなって、長寿命で放射能毒性の強い「マイナーアクチニド(ネプツニュウム、キュリウムなど)」をプルトニウムと一緒に燃やして放射性廃棄物の毒性を減らす、「ごみ焼却炉」としての意味合いが大きくなり、高速増殖炉開発など進みそうにありません。再処理工場も高速増殖炉開発も破綻は明らかで、これ以上の延命はムダなだけです。
 

子ども被災者支援法で請願署名提出 

140217_01.jpg 原水禁・平和フォーラムが昨年9月に呼びかけた「原発事故子ども・被災者支援法」施策の早期具体化などを求める請願署名は、963,167筆(2月14日現在)集め、2月17日政府に提出するとともに、請願内容について交渉を行いました。
 昨年10月に閣議決定された「被災者生活支援等施策の推進に関する基本方針」を撤回し、被災者の立場に立った「基本方針」の策定を求めましたが、復興庁は「撤回は考えていない、施策毎に支援を行っていく」という従来通りの回答にとどまりました。
 また薪の灰の処理や製材所から出る枝葉や樹皮の処分について、安全対策等をとるよう林野庁・環境庁に追加要請を行いました。

【動画】子ども・被災者支援法具体策求め署名100万筆を提出(Ourplanet-TV)

「伊方原発をとめる会」の省庁交渉

 原発稼働ゼロ状態が続くなか、現在7電力9原発16基が、新規制基準に基づく適合性審査を出しています。このうち四国電力の伊方原発3号機が、早ければ4月にも審査が終了し、夏前には再稼働になるのではないかと目されています。しかし原発の直下には活断層があり、浜岡原発と並んで「最も危険な原発」の一つと言われています。この伊方原発の適合審査に対して、伊方原発をとめる会は2月6日、原子力規制委員会に対して要請書を提出し、適合審査中の伊方原発3号機について最新の知見に基づく調査などを求めて、交渉を行いました。
 交渉のなかで規制庁は、「四国電力が提出した申請書の評価の妥当性の検証が優先される」という回答に終始し、会が求める具体的要望に対する回答とはかけ離れた不誠実な対応でした。四国電力が示した活断層の評価とは異なる最新の知見が明らかになっていますが、規制庁は確認のための現地調査を、「審査中であるからやるともやらないともいえない」と明言を避け、再稼働について「するかどうかは政府が判断するもの」と無責任な発言まで行いました。

要請書はこちら(PDF)
 

          140203_04_3.jpg 北海道平和運動フォーラムの代表団が2月3日、4日上京し、北海道・幌延町で研究している「高レベル放射性廃棄物の地層処分」について、経済産業省及び文部科学省と交渉するとともに、事業主体である日本原子力研究開発機構(旧核燃料サイクル開発機構)に対して申し入れを行いました。また、青森県の大間原発建設中止を求める要請も電源開発に申し入れしました。
 安倍政権は最終処分地について「国が前面に立って最終処分にとりくむ」としており、従前の公募方式から転換する姿勢を示しています。また、幌延では2014年度から、実際の処分に近い模擬実験の開始が予定され、現地ではなし崩し的に最終処分地となるのではないかと危機感を募らせています。こうしたことから今回、北海道平和運動フォーラムをはじめ、札幌市の生活クラブ生協、核廃棄物施設誘致に反対する道北連絡協議会が、政府交渉、関連する団体への申し入れを行い、3日夜には東京・日比谷で「NO!核のゴミ 高レベル放射性廃棄物の最終処分を考える東京集会」を開催しました。

→集会資料(一部)はこちら 資料1 資料2(PDF)

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140203_04_2.jpg久世香嗣さん(上)、長田秀樹さん(下)

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2014年 2月 4日

経済産業省・文部科学省
日本原子力研究開発機構・原子力発電環境整備機構(NUMO) 様

北海道平和運動フォーラム
代 表  中 村 誠 吾
代 表  江 本 秀 春

           北海道幌延町の「深地層研究センター」にかかわる要請について


<要請趣旨>
 貴職におかれましては、日頃より、国民生活の維持向上にご尽力されていることに対し敬意と感謝を申し上げます。
さて、北海道幌延町の「深地層研究センター」をめぐっては、北海道は「放射性廃棄物の持ち込みは受け入れ難い」との条例を制定し、北海道および幌延町、日本原子力研究開発機構(旧核燃料サイクル開発機構)は「研究のみ」として、「放射性廃棄物を持ち込まない」「研究終了後は埋戻し、最終処分場としない」などとする「幌延町における深地層の研究に関する協定書(「三者協定」)」を締結し、「深地層研究」がすすめられています。
 しかし、政府は、高レベル放射性廃棄物の最終処分について「国が前面に立つ」として、候補地選定に向けた「文献調査」を自治体に対する「申し入れ方式」によって進めようとしています。また、文部科学省が幌延深地層研究センターと瑞浪超深地層研究所のどちらか一方の施設を廃止する方針を示しましたが、幌延深地層研究センターでは、2014年度から実際の処分に近い研究が始まることから、幌延深地層研究センターが存続することは明らかです。
 こうした深地層研存廃の動きに対し、幌延町は昨年11月、文科省に対して、事業の継続を求め「地下500㍍以深の試験坑道の建設」などを申し入れています。北海道も昨年9月に、文科省や原子力機構に対して、「地層処分に関する研究開発の着実な推進」を要請しています。また、地元幌延町においても商工業者を中心に、最終処分場誘致の動きが明らかになっています。
 こうした一連の動きに対して、私たちは、当初計画で定められた「20年程度」の研究期間が延長され、さらに、「研究終了後は地下施設を埋戻し、地上施設も閉鎖する」とした「三者協定」が反故にされ、なし崩し的に幌延町が最終処分場とされかねないことを危惧しています。
 青森県六ヶ所村再処理工場における高レベル放射性廃棄物ガラス固化施設でのトラブルによる相次ぐ完工延期や、高速増殖炉「もんじゅ」の事故や点検漏れにより実用化が困難なことなど、「核燃料サイクル路線」は事実上破綻しており、直ちに断念すべきです。
 また、日本学術会議が提言したように、地震列島における「地層処分」を見直すとともに、北海道幌延町における「深地層研究計画」について、下記のとおり要請いたしますので、誠意ある対応をお願いいたします。


<要請事項>
1.日本学術会議が「日本列島に安定した地層はなく、現在の最終処分を見直す」と提言したように、地震国日本において、10万年間も監視が必要な、核廃棄物の存在を後の世代に知らせることができない「地層処分」は直ちに断念し、幌延町における「深地層研究計画」を中止すること。

2.北海道および幌延町、核燃料サイクル機構(当時)において締結された「幌延町における深地層の研究に関する協定書(「三者協定」)」を遵守すること。また、「三者協定」に関して、以下の事項を再度、明らかにすること。
(1) 研究期間中や研究終了後においても、放射性核廃棄物を持ち込むことや使用することはしないこと。
(2) 研究終了後は、地上の研究施設を閉鎖し、地下施設は埋め戻すこと。
(3) 幌延の深地層研究センターを将来とも、放射性廃棄物の最終処分場としないこと。

3.当初計画である「20年の研究期間」を遵守すること。また、終了年度を明らかにすること。

4.「特定放射性廃棄物の持ち込みは受け入れ難い」とする「北海道における特定放射性廃棄物に関する条例」にもとづき、北海道内のすべての自治体に対して、最終処分地の候補地選定に向けた「文献調査」の申し入れは行わないこと。

以  上
140203_04_4.jpg140203_04_5.jpg原子力環境整備機構(上)、原子力研究開発機構(下)での要請

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2014年 2月 3日

電源開発(J-POWER)
取締役社長 北 村 雅 良 様

北海道平和運動フォーラム
代 表  中 村 誠 吾
代 表  江 本 秀 春

青森県大間町「大間原発」の建設中止にかかわる要請について

<要請趣旨>
 貴職におかれましては、日頃より、電力の安定供給など国民生活の維持向上にご尽力されていることに対し敬意と感謝を申し上げます。
さて、東京電力福島第一原発事故後の2012年10月に建設工事を再開した大間原発は、危険性の高いプルトニウムを含むMOX燃料を世界ではじめて全炉心に装荷する、プルサーマル発電を行おうとしています。このプルサーマル発電は、原子炉の制御がきわめて難しいとされ、炉心内の放射性物質が漏れると、その被害はフクシマの比でないことは明らかです。原子力規制委員会の田中俊一委員長も「世界に類のないことをやるのは非常に難しい」と慎重姿勢を見せています。また、プルサーマル計画をめぐっては、北海道電力・泊原発や九州電力・玄海原発で、組織ぐるみの「やらせ」問題が明らかになりました。
大間原発は、対岸の北海道函館市からわずか30キロに位置し、福島原発事故では30キロ圏内は屋内退避区域に指定されました。函館市議会は、「建設凍結」を求める意見書を可決するとともに、3月にも、国と貴社を相手取り、「建設差し止め」を求める訴訟を東京地裁に提訴するとしています。また、すでに、函館市民らが「建設差し止め訴訟」を行っています。
産業技術総合研究所と東海大学は、津軽半島東岸の平舘海峡で南北14㌔の海底活断層を発見しました。また、専門家はこの他にも、原発の敷地内や周辺海域の津軽海峡巨大活断層の存在を指摘しています。
 青森県六ヶ所村再処理工場における高レベル放射性廃棄物ガラス固化施設でのトラブルによる相次ぐ完工延期や、高速増殖炉「もんじゅ」の事故や点検漏れにより実用化が困難なことなど、「核燃料サイクル路線」は事実上破綻しています。また、使用済み核燃料を再処理した際に出る高レベル核廃棄物の最終処分場の選定も困難な状況にあります。
 つきましては、現在建設中の大間原発について、下記のとおり要請いたしますので、誠意ある対応をお願いいたします。

<要請事項>
1.プルサーマル発電の安全性への懸念があることや、「核燃料サイクル」がすでに破綻していることなどを鑑み、大間原発の建設を直ちに中止すること。

2.専門家らが指摘している、原発の敷地内や周辺海域の津軽海峡巨大活断層、平舘海峡撓曲などの活断層の存在について、電源開発の見解を明らかにすること。

3.函館市議会などによる「大間原発建設の無期限凍結を求める決議」や、函館市による「建設差し止め訴訟」の動きに対する、電源開発の見解と今後の対応について明らかにすること。さらには、北海道に対する対応についても明らかにすること。

以  上

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