原水禁は9月30日、「被災者生活支援等施策の推進に関する基本的な方針(案)」について、関連省庁である経済産業省、文部科学省、環境省、復興庁に対して、「基本方針(案)」を撤回し被災者の立場に立った基本方針を定めること求める要請を行いました。
2012年6月に成立した「原発事故子ども・被災者支援法」により、その具体的な施策を早急に立案することが求められていましたが、1年以上も塩漬け状態にされていました。8月30日ようやく「基本方針(案)」が示され意見公募の公示が出されましたが、期間はわずか15日間(後に10日間延長されました)。復興庁の説明会も福島と東京で開催された2回のみであり、とても被災者に寄り添って意見聴取したものとはいえません。
「基本方針(案)」は、支援地域について放射線量による基準を定めず、福島県の浜通りと中通りに限定するとともに、被災者の関心が高い健康管理対策についても、新たに「有識者会議」を開催して医療に関する施策のあり方を検討するなど、今更ながらの不十分な対応でしかないものです。
原水禁は、今回の要請内容に対する各省庁の見解を、さらに追求する取り組みを行っていく予定です。
要請内容 【 】内は要請省庁
1.「被災者生活支援法施策の推進に関する基本方針(案)」を撤回し、被災者の立場に立った「原発事故子ども・被災者支援法」の基本方針を早急に定め、支援対象地域の範囲、支援施策の内容、自治体との連携、予算措置など早急に取り組むこと。
【復興庁】
2.「基本方針」の策定にあたっては、「影響のあるなし」を正しく把握するためにも支援法の対象地域を福島県、及び除染対策以前に年間追加被ばく線量1ミリシーベルトが想定された地域とし、対象地域に居住する者、対象地域から避難をしている者、及び、対象地域で働く者を対象者とすること。
【復興庁】
3.対象者全員の健康維持管理のため、生涯に渡る無料の定期健康診断を保障すること。仮に、健康影響が生じた場合にあっては、生涯に渡る無料の医療保障や生活保障を行うこと。
【環境省】【経産省】【文科省】
4.原発事故により被った被害に対し、東電が誠実に対応するように強く指導すること。原発事故の影響で遅れている地震・津波被災地の復旧・復興に対し、改善策を講ずること。全被災者に対する自立支援施策を講ずること。
【復興庁】【経産省】
5.東京電力への損害賠償請求の権利が失われないよう、特別立法措置を行うこと。
【経産省】【文科省】