2013年9月アーカイブ

130930_01.jpg 原水禁は9月30日、「被災者生活支援等施策の推進に関する基本的な方針(案)」について、関連省庁である経済産業省、文部科学省、環境省、復興庁に対して、「基本方針(案)」を撤回し被災者の立場に立った基本方針を定めること求める要請を行いました。
 2012年6月に成立した「原発事故子ども・被災者支援法」により、その具体的な施策を早急に立案することが求められていましたが、1年以上も塩漬け状態にされていました。8月30日ようやく「基本方針(案)」が示され意見公募の公示が出されましたが、期間はわずか15日間(後に10日間延長されました)。復興庁の説明会も福島と東京で開催された2回のみであり、とても被災者に寄り添って意見聴取したものとはいえません。
 「基本方針(案)」は、支援地域について放射線量による基準を定めず、福島県の浜通りと中通りに限定するとともに、被災者の関心が高い健康管理対策についても、新たに「有識者会議」を開催して医療に関する施策のあり方を検討するなど、今更ながらの不十分な対応でしかないものです。
 原水禁は、今回の要請内容に対する各省庁の見解を、さらに追求する取り組みを行っていく予定です。

要請内容 【 】内は要請省庁

1.「被災者生活支援法施策の推進に関する基本方針(案)」を撤回し、被災者の立場に立った「原発事故子ども・被災者支援法」の基本方針を早急に定め、支援対象地域の範囲、支援施策の内容、自治体との連携、予算措置など早急に取り組むこと。
【復興庁】

2.「基本方針」の策定にあたっては、「影響のあるなし」を正しく把握するためにも支援法の対象地域を福島県、及び除染対策以前に年間追加被ばく線量1ミリシーベルトが想定された地域とし、対象地域に居住する者、対象地域から避難をしている者、及び、対象地域で働く者を対象者とすること。
【復興庁】

3.対象者全員の健康維持管理のため、生涯に渡る無料の定期健康診断を保障すること。仮に、健康影響が生じた場合にあっては、生涯に渡る無料の医療保障や生活保障を行うこと。
【環境省】【経産省】【文科省】

4.原発事故により被った被害に対し、東電が誠実に対応するように強く指導すること。原発事故の影響で遅れている地震・津波被災地の復旧・復興に対し、改善策を講ずること。全被災者に対する自立支援施策を講ずること。
【復興庁】【経産省】

5.東京電力への損害賠償請求の権利が失われないよう、特別立法措置を行うこと。
【経産省】【文科省】
 

130929_01.jpg 1999年9月30日に茨城県東海村で起きたJCO臨界事故から14年目にあたる9月29日、駿優教育会館(水戸市)で「フクシマを忘れない!再稼働を許さない!JCO臨界事故14周年集会」が開催され、県内外から550人が参加しました。
 集会では、「JCO事故から14年、脱原発を! 福島原発事故とJCO臨界事故をつなぐ、被ばく被害との闘いから脱原発へ」と題して、弁護士の海渡雄一さんが基調講演を行い、また、双葉地方原発反対同盟の遠藤陽子さん、原水爆禁止新潟県協議会の中村進さん、東海第2原発運転差止訴訟団共同代表の大石光伸さんらが、各地の状況報告や訴えを行いました。集会後参加者は、市内をデモ行進しました。

集会アピール

130929_02.jpg

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

「JCO臨界事故14周年集会」に寄せて
前東海村長 村上達也

 本日は挨拶を求められたところですが、村長退任後間もなく、また妻を亡くして日数も少なく身辺整理、雑用に追われているところで、申し訳ありませんが出席かないません。代わりに参加者の皆さんにメッセージを送ることでご勘弁下さい。JCO臨界事故後14年間にわたり本集会が続けられていることに、主催者、参加者の皆さんに先ずは敬意を表します。
 福島原発事故はJCO臨界事故を闇の中に封じ込めた、だから起こった、「JCOからフクシマへ一直線だった」と私は言っております。政府や原子力事業者は地震や津波のせいにしていますが、人災以外の何物でもありません。自然の摂理を軽んじ過信と自惚れに凝り固まった日本人が起した史上最悪の事故、人災との認識があって然るべきであります。JCO事故の原因を彼らはマスコミ受けする「バケツとヒシャク」に目を向けさせ事故を矮小化し、封印してしまいました。本当の原因は政府や業界、所謂「原子力ムラ」の能力と精神構造にあったのでした。
 どうです、「終息宣言」しながら福島では地下水、汚染水問題の解決の見通しは全くないではありませんか。雨の多いモンスーン地帯の山岳国家であるこの国に原発をつくるにあたって原子力科学者、技術者は地下水を考慮に入れてなかった、その非科学的精神に驚きます。改めて思うに、地下水、これも自然の力です。地震も津波も地下水も自然の力、所詮は科学技術も人間の力に過ぎず、自然には敵わない。このことを謙虚に知るべきでした。
 安倍政権、電力業界は新規制基準クリアを隠れ蓑に原発の再稼動を急いでいますが、原発の本質は何もフクシマ以前と変わっていません。何メーターの防潮堤を築いた、だから原発は安全だ、とよくも言えたものです。水に弱い原発の本質は何も解決されていないのです。人間の造った技術の問題性、自然の力の巨大さ、予測困難性を考えたら日本では勿論のこと、全世界の原発を消さねばならないのが道理ではありませんか。
 先ずは「隗より始めよ」。35年の老朽原発かつ被災原発、30km圏内100万人が住む原子力事故発祥の地の原発、この東海第二原発の再稼動を阻止し廃炉を実現しましょう。福島原発事故の後では、東海第二の再稼動の可否は東海村の住民だけで決められる問題では最早ありません。周辺自治体住民の考え次第で決定される次元にあることを、しっかり胸に収めて下さいますよう。
 右、お願いして私の挨拶とします。集会のご成功を祈っております。

JCO臨界事故 14周年集会アピール

 1999年9月30日に起きたJCO臨界事故では、わずか1ミリグラム程のウランの核分裂で、発生場所から350メートル圏内の住民避難、10キロ圏内の31万人の住民に屋内退避が発せられ、周辺住民を含む667人が被曝し、大量の放射線を浴びた2人の労働者が死亡しました。その後、事故の真の原因はあいまいにされたまま、「原子力事故は必ず起こる」という教訓さえ生かされず、残念ながら2011年3月11日の東日本大震災によって福島第1原発事故が発生してしまいました。
 福島第1原発事故は、経済効率を優先し、安全性をないがしろにしてきた結果、生じた人災であり、政府、電力会社など、原子力を推進してきた全ての者の責任をきびしく問わねばなりません。事故から2年半経ったいまでも事故は収束せず、原子炉内で融け落ちた核燃料も把握できないばかりか、放射能汚染水の海洋流出も明らかにされ、「(汚染水の)状況はコントロールされている。完全にブロックされている」と述べた安倍首相発言とは程遠い状況が続いています
 さらに、福島県だけでも、未だに15万人におよぶ人々が故郷を奪われ、避難生活を余儀なくされ、約400万人が「放射線管理区域」レベルの汚染地で生活を強いられています。
 一方、原発メーカーの利益を優先させる原発輸出推進の動きや、7月8日には原発の新規制基準が施行され、「はじめに再稼働ありき」の過酷事故対策の先送りや例外扱いが目立つ中で5原発10基が再稼働を申請しました。日本原電は7月12日に、東海第2及び敦賀1号・2号の再稼働申請を目指す意向を表明し、「安全対策」と称したフィルター付きベントと防潮堤工事を地元自治体への事前連絡もなく開始したことは、原電の経営重視・住民無視の姿勢を示すものであり、許されることではありません。
 昨年に続き、記録的猛暑となった今夏も原発がなくても電気は十分足りていることが明らかであり、電力会社の利益誘導のための再稼働は反対していかなくてはなりません。
 9月15日の大飯原発4号機の定期検査で再び、国内の全原発50基が運転を停止しました。今こそ「全停止から全廃炉へ」と日本の原発政策をやめさせる絶好のチャンスです。

 私たちはJCO臨界事故14周年にあたり、あらためて次のことをアピールします。

○「核と人類は共存できない」現実を踏まえ、全廃炉、脱原発を進めましょう。
○すでに破綻している「プルトニウム利用政策」からの脱却を図り、エネルギー政策を転換させましょう。
○臨界事故を語り継ぎ、JCO健康診断事業を継続させましょう。
○首都圏の「命」を守るために、危険な日本原電・東海第2原発の再稼働を一刻も早く断念させ、長期に渡る廃炉作業をスタートさせましょう。

2013年9月29日  JCO臨界事故14周年集会参加者一同

 9月27日、原水禁をはじめ原子力資料情報室や原子力発電に反対する福井県民会議など8団体で、高速増殖炉もんじゅ関連の概算要求に対して、財務省に予算削減を求める陳情と文部科学省に研究開発の中止と予算の見直しを求める要請を行いました。
 もんじゅの運転再開(運転再開に向けた予算は、今回の概算要求の中には組み込まれていない)も見通せず、さらに原型炉もんじゅの後継の実証炉は、まったく別の概念設計となっておりもんじゅでの知見はほとんど生かされものはないとも言われています。もんじゅの意義そのものがあやふやな中で、もんじゅ継続にむけた予算要求は、大切な国民の血税をムダに浪費するものでしかありません。将来性のまったくないもんじゅをこれ以上延命させることは意味がありません。大切な血税や人材そして研究開発は、福島原発事故の収束にむけるべきです。

もんじゅ及び関連の研究開発予算の削減を求める陳情(財務省)
もんじゅ及び関連の研究開発の中止と予算の見直しを求める要請(文科省)

2013年9月27日

文部科学大臣 下村博文 様

もんじゅ及び関連の研究開発の中止と予算の見直しを求める要請

 日頃の文部科学行政への真摯な対応に敬意を表します。
 さて、貴省が管轄する日本原子力研究開発機構(以下「原子力機構」と略)の高速増殖炉もんじゅ(福井県敦賀市)で、1万数千点もの機器の点検漏れが発覚しました。原子力規制委員会は、原子力機構の度重なる安全軽視の姿勢に対して、6月29日に再発防止にむけた安全管理体制が確立されるまで運転再開の準備作業を行わないこととする使用停止命令を出すことをだしました。原子力機構は、このような状況を放置したまま、「年度内再開」を求めていたことは問題で、安全に対する認識の甘さが厳しく問われるものです。さらにその後、9月16日にもんじゅにつながる唯一の県道(避難路として唯一)と敷地内の道路で相次いで土砂崩れが発生し、9時間も孤立しました。さらに同日、今年6月に続き、原子炉の状況などを監視する国の緊急時対策支援システム(ERSS)へのデータ送信が止まりました。18日にはナトリウム漏れ検出器が人為ミスで監視不能になるなど、停止しているいまでも安全面で様々な問題が多発しています。
 動燃時代に、もんじゅや東海再処理工場アスファルト固化施設等の事故・情報隠しで、安全文化の欠如が問われながら、それから20年近く経ったいまでも事業者の安全意識が希薄なことは大きな問題です。福島原発事故で原子力の「安全神話」が崩れ、さらなる安全・安心を追求しなければならないのが原子力事業者の立場であるにもかかわらず、様々なトラブルを起こし続けていることは、原子力を扱う資質そのものが問われるものです。
 もんじゅは停止中にもかかわらず1日約5500万円の維持費がかかるといわれ、今回の停止命令で運転再開そのものがますます不透明になり、ムダな経費がさらにつぎ込まれようとしています。そのもんじゅに2014年度概算要求として、本年度当初予算174億円からさらに21億円上乗せした195億円を計上し、概算要求としています(今回の概算要求には運転再開費は盛られておらず2015年以降となります)。さらに原子力機構がもつ研究施設に対する新規制基準に対する対策費として74億円を計上しています。
 もんじゅは、これまで2兆円もの巨費を投じながら実用化への目途もたっていないのが現実です。原型炉・もんじゅの後継となる実証炉は、もんじゅとはまったく違った設計概念で描かれており、もんじゅの存在意義すら否定されています。更に運転は2015年以降となっており、その実現性すらあやういものです。そのようなもんじゅにこれ以上研究開発に経費を投入することの意義は見出せません。
 もんじゅに関連して茨城県東海村にあるリサイクル機器試験施設(RETF)は、約830億円もかけて建設が進められましたが、2000年に建設を中断したままとなっています。この施設も維持費に毎年数千万円が使われています。会計検査院でさえムダな施設として指摘し新たな活用法を検討すべきだとしていますが、いまだその答えすらないまま貴重な血税がいまも投入され続けています。
 私たちは、これ以上先の見通しのない高速増殖炉開発に貴重な税金を投入することは許されないと強く訴えます。福島原発事故の収束に全力をあげ、英知と資金そして人材を投入すべき時に、このようなムダに貴重な資源を投入することは国際的にも許されるものではありません。さらに安全文化の欠如した原子力機構に、これ以上高速増殖炉開発を担う資格はないと考えます。国民的信頼を何度も裏切ってきたこれまでの姿勢を見れば、これがそう簡単に変わるものではないことは明らかです。
ついては、以下に要望します

1. 高速増殖炉開発への研究開発を中止を求めます。
2. もんじゅの廃炉とともに関連するリサイクル機器試験施設の閉鎖を求めます。
3. もんじゅ関連の概算要求を根本から見直しを求めます。


原水爆禁止日本国民会議 印略
原子力資料情報室 印略
原子力発電に反対する福井県民会議 印略
ストップ・ザ・もんじゅ 印略
反原発運動全国連絡会 印略
脱原発とうかい塾 印略
茨城平和擁護県民会議 印略
反原子力茨城共同行動 印略

連絡先
原水爆禁止日本国民会議
東京度千代田区神田駿河台3-2-11連合会館1F
電話 03-5289-8224
FAX  03-5289-8223

2013年9月27日

財務大臣 麻生太郎 様

もんじゅ及び関連の研究開発予算の削減を求める陳情

 日頃の財務行政への真摯な対応に敬意を表します。
 さて、日本原子力研究開発機構(以下「原子力機構」と略)の高速増殖炉もんじゅ(福井県敦賀市)で、1万数千点もの機器の点検漏れが発覚しました。原子力規制委員会は、原子力機構の度重なる安全軽視の姿勢に対して、6月29日に再発防止にむけた安全管理体制が確立されるまで運転再開の準備作業を行わないこととする使用停止命令を出すことを正式に決定しました。原子力機構は、このような状況を放置したまま、「年度内再開」を求めていたことは問題で、安全に対する認識の甘さが厳しく問われるものです。さらにもんじゅでは、9月16日にもんじゅにつながる唯一の県道(避難路として唯一)と敷地内の道路で相次いで土砂崩れが発生し、9時間も孤立しました。さらに同日、今年6月に続き、原子炉の状況などを監視する国の緊急時対策支援システム(ERSS)へのデータ送信が止まりました。18日にはナトリウム漏れ検出器が人為ミスで監視不能になるなど、停止しているいまでも問題が多発しています。
 動燃時代に、もんじゅや東海再処理工場アスファルト固化施設等の事故・情報隠しで、安全文化の欠如が問われながら、それから20年近く経ったいまでも事業者の安全意識が希薄なことは大きな問題です。福島原発事故で原子力の「安全神話」が崩れ、さらに安全・安心を追求しなければならないのが原子力事業者の立場であるにもかかわらず、様々なトラブルを起こし続けていることは、原子力を扱う資質そのものが問われるものです。
 もんじゅは停止中にもかかわらず1日約5500万円の維持費がかかるといわれ、今回の停止命令で運転再開そのものが、ますます不透明になり、ムダな経費がさらにつぎ込まれようとしています。そのもんじゅに2014年度概算要求として、本年度当初予算174億円からさらに21億円上乗せした195億円を計上し、概算要求としています。さらに原子力機構がもつ研究施設に対する新規制基準に対する対策費として74億円を計上しています。
 もんじゅは、これまで2兆円もの巨費を投じながら実用化への目途もたっていないのが現実です。原型炉・もんじゅの後継となる実証炉は、もんじゅとはまったく違った設計概念で描かれており、もんじゅの存在意義すら否定されています。そのようなもんじゅにこれ以上研究開発に経費を投入することの意義は見出せません。
もんじゅに関連して茨城県東海村にあるリサイクル機器試験施設(RETF)は、約830億円もかけて建設が進められましたが、2000年に建設を中断したままとなっています。この施設も維持費に毎年数千万円が使われています。会計検査院でさえムダな施設として指摘し新たな活用法を検討すべきだとしていますが、いまだその答えすらないまま貴重な血税がいまも投入され続けています。
 私たちは、これ以上先の見通しのない高速増殖炉開発に貴重な税金を投入することは許されないと強く訴えます。福島原発事故の収束に全力をあげ、英知と資金そして人材を投入すべき時に、このようなムダに貴重な資源を投入することは国際的にも許されません。さらに安全文化の欠如した原子力機構に、これ以上高速増殖炉開発を担う資格はないと考えます。国民的信頼を何度も裏切ってきたこれまでの姿勢を見れば、これがそう簡単に変わるものではないことは明らかです。
ついては、以下に要望します

1. 高速増殖炉開発への「研究予算」を認めないでください。
2. もんじゅの廃炉とともに関連するリサイクル機器試験施設への予算をつけずその閉鎖を求めてください。


原水爆禁止日本国民会議 印略
原子力資料情報室 印略
原子力発電に反対する福井県民会議 印略
ストップ・ザ・もんじゅ 印略
反原発運動全国連絡会 印略
脱原発とうかい塾 印略
茨城平和擁護県民会議 印略
反原子力茨城共同行動 印略

連絡先
東京度千代田区神田駿河台3-2-11連合会館1F
原水爆禁止日本国民会議
電話 03-5289-8224
FAX03-5289-8223

11P9250122.jpg  米海軍の原子力空母ジョージ・ワシントンが、横須賀基地へ配備されて5年目の9月25日、横須賀市内のヴェルニー公園を会場に、「空母母港化40周年・原子力空母ジョージ・ワシントン横須賀基地母港化5周年抗議・原子力空母配備撤回を求める全国集会」が開催され、約1600人が参加しました。
 全国基地問題ネットワーク事務局長の山城博治さん、横須賀からは原子力空母母港問題市民の会 共同代表の呉東正彦さんらの発言の後、京急横須賀中央駅方面へ向かって、デモを行いました。


 
 米海軍が横須賀基地に原子力空母ジョージ・ワシントンを配備して5年が経過しました。私たちは、基地機能の強化と首都圏一帯に及ぶ原子力事故の危険性の両面から、その配備に強く反対し、全国の仲間の支援のもと全力で運動を進めてきました。不発に終わったものの2度の住民投票条例直接請求など多様なとり組みは、多くの市民・県民の積極的な意思表示につながりました。しかし、日米両政府はその声を無視して配備を強行したのです。
 2011年3月11日に起きた東日本大震災による東京電力福島第一原発の過酷事故は、空母原子炉の危険性を再認識させる事態となりましたが、政府も米軍も依然として情報を隠蔽し、原子炉事故への対策は放棄しています。それどころか国内の原発全てが停止している今日でも、米艦船の原子炉は何の規制も受けず特別扱いとなっています。『米軍が安全と言っている』との無責任かつ非科学的な根拠は断じて許せません。
 米国外で唯一の「空母の母港」は1973年のミッドウェー以来、40年間も続いています。
 日本政府は米空母の母港化に際して、「母港の年限」は3~4年程度と偽り、「核兵器の持込み」が指摘されると、米国との間での「核密約」で地元自治体や住民を騙してきました。空母配備以来、横須賀港は「日米安保の最前線」であり、米軍の前方展開戦略の最大の拠点となったのです。空母戦闘団は湾岸戦争やイラク、アフガンへの攻撃の主力でした。私たちの意思とは関係なく米国の世界支配を実現するための40年であったとも言えます。
 
 自民党安倍政権の誕生で『米国追従からの脱却・日米関係の見直し』の議論は全てが反故にされました。あからさまな米軍優遇の一方で、集団的自衛権行使や自衛隊の増強を企図し、 改憲・「戦争をできる国」への転換を強引に進めています。このままでは横須賀の街は「日米一体の軍都」に逆戻りし、旧軍港市転換法の趣旨とは相容れないものとなるでしょう。
 憲法理念を無視し安保体制を優先する政策は、嘘と情報隠しで基地の機能を維持し、住民の生活と命を軽視する人権侵害そのもので、民主主義の否定です。
 欠陥輸送機オスプレイが配備された沖縄では、配備の前提とされた「日米合意」の飛行方法が全く守られていない現実があります。米国内では中止に追い込まれたオスプレイの低空飛行訓練が普天間を拠点に全国で展開されようとしています。
 空母艦載機の厚木基地での訓練は、突如として米軍の都合だけで実施され、現地住民や自治体の声は届きません。この訓練は最高裁で三度・違法と認定されているのです。
 
 本集会に結集した私たちは、以下の点を確認しアピールとします。
原子力空母ジョージ・ワシントンの母港撤回と脱原発社会の実現を一体的にすすめよう。
オスプレイの配備撤回を求め、沖縄への基地負担の押し付けをやめさせよう。
米国の世界戦略・戦争政策への加担を拒否し、集団的自衛権の行使反対、「特定秘密保護法」 など民主主義破壊を許さず、憲法改悪を阻止しよう。
 

 

 

2013年9月25日 集会参加者一同

 

 

アピール

六ヶ所核燃料サイクル施設を核のゴミ捨て場にするな!
 
再処理工場19回目の竣工予定を延期
 日本原燃(株)は7月31日の定例社長記者懇談会で、六ヶ所再処理工場は竣工予定を19回延期し、本年10月の竣工をめざしてきたが、12月に施行される核燃料サイクル関連施設の新規制基準に基づいた審査が求められることから、20回目の竣工予定を10月までに明らかにするとした。
 8月26日、六ヶ所核燃サイクル施設の廃止を求める六ヶ所ピースサイクルの面々が六ヶ所村役場と日本原燃と交渉した際、次のようなやり取りが交わされた。六ヶ所村役場の担当課長からは、核燃料サイクル施設の新規制基準作りの過程で、例えば基準地震動がこれまでの450ガルより大きく違ったとしたら、「それによって竣工が延びてもやむなしで、安全にやってもらう」と答えていた。
 日本原燃は、原子力規制委員会の下北半島での活断層調査が来年の3月までかかることから、「その結果を受けてからでないと申請を出せない」との考えを示した。つまり、12月18日に核燃料サイクルの新規制基準の施行に合わせて申請を出すのではなく、来年3月までの調査報告が出て、活断層にどういう基準が課せられるかを見た上でないと対応し得ないと見ているということであった。
 これまでは比較的単純に、10月竣工延期は決定的だから、じゃあ1年後に延期とか、2年後に延期とか決めてきた。でもそれを打ち出すことが、安全審査の期間を限定してしまうことになり、審査する側が期間限定を不満に思うのを、どこかで気にかけている感じさえ受ける答弁であった。

 しかし8月30日、東奥日報は「原子力規制委員会の田中俊一委員長が29日、12月の核燃料サイクル関連施設の新規制基準施行後に始まる六ヶ所再処理工場の安全審査について、現状の審査チームで原発と並行審査せず、新たに編成する専門チームで対応する方針を明らかにした。審査期間は断層問題などを理由に『予測できない』とした」と伝えた。そして、「原子力規制委員会は29日、原子力施設が集中立地する下北半島の地質構造を3次元化して解析する調査研究費を2014年度の概算要求に盛り込んだと発表した」、「事業費の要求額は22億5千万円で、本年度実績の5億3千万円から大幅に増加した。規制委は各調査を比較検証し、断層活動性評価の手法確立をめざす」とも伝えた。
 この調査が行われると、2014年内には再処理工場の事業申請を出せる状況にはないことが予想される。まずは、原子力規制委員会が断層活動性評価の手法確立をめざし、その後に下北半島にある原子力施設ごとに断層活動性を評価する。その結果を受けてから、日本原燃が安全審査書を取りまとめて提出するというのである。
 これが額面通りなら、少なくても申請と審査に2、3年はかかるだろうし、場合によっては4、5年を要するかもしれない。

基準地震動の底上げと日米原子力協定の改定
 六ヶ所再処理工場は、耐震補強問題が焦点である。六ヶ所再処理工場は、基準地震動が450ガルとなっている。この450ガルは他県の原発よりも低いが、東通原発と大間原発も、この低い方に合わせているのが実状である。
 巨大地震や津波に襲われた場合を考慮して、新規制基準に反映させようとしているのであるから、原子力規制委員会が基準地震動の底上げを安全対策に求める可能性は高い。
そして、仮にその決定がなされれば、東通と大間の原発は耐震補強工事を容易に行えるが、再処理工場はそうはならない。なぜならば、再処理工場は既にアクティブ試験を行っており、配管の中にかなりの放射性物質をため込んでいる。アクティブ試験中に425トンの再処理を行ったが、全量が抽出されてはいない。実は、まだ抽出されない溶液が配管の中に詰まっている状況である。
 つまり、現在も地下に張り巡らせた約1300kmの配管の中に、核燃料物質や放射性廃液をため込んでいるということである。そういう状況の中で、耐震補強工事を行うとなれば、建物の周りを掘り下げ、配管のサポートを強くする必要がある。これには、作業者への放射線被ばくが伴うので、被ばく線量管理の上で多くの作業員を必要とするし、工事は難航を極める。このような工事のやり直しは、工事期間が長期化するだろうし、工事費の大幅な上昇につながる。
 原子力発電所の運転が止まっている中で、電力各社の多くは火力発電所に支払う燃料費の増額を理由に、電力料金の値上げに踏み切った。そのような中で、六ヶ所再処理工場の耐震補強工事費の追加を求められたら、電力会社自身の経営がさらに厳しい状況に追い込まれるのではないか。
 いずれにしろ、耐震補強工事が長期化する間に、日米原子力協定の改定時期、2018年7月17日を迎える可能性が高い。核兵器保有国でない国で、再処理を認められているのは日本だけだ。しかも、高速増殖炉の利用は到達点が見えないほど先送り状態で、プルトニウムを余分に持って、いまだに明確な使い道が示せない。その上で、再処理ができずにまごつく日本に、世界の目は厳しくなるのではないか。
 今年10月の竣工計画が19回目の延期であったが、その後の計画は様々な状況の変化を考慮すべきであり、20回目の竣工計画を10月までに示せるか否かは、微妙と言わざるを得ない。その場合、電気事業連合会が再処理工場の操業前に示すとしたプルトニウム需給計画の提示も相当に遅れることになるが、それを国際社会が容認するだろうか。
 今回再稼働を申請した12基の原子力発電所のうち、プルサーマルを申請したのが四国電力・伊方原発3号機、関西電力・高浜3、4号機の3つだった。すでに余剰として指摘されている約44トンのプルトニウムを、細々と利用する計画では、さらに年間4トン強のプルトニウムを抽出する六ヶ所再処理工場の操業を、世界が認めることは難しいのではないか。
 いずれにしろ再処理工場の操業延期が確実視されたので、この際、再処理工場を操業する前に、再処理工場の核のゴミがどうなるかを、改めて考えておく必要がある。そして、核のゴミの処理・処分方法が定まらないのであれば、再処理そのものを中止する選択をすることも、未来世代への責任ある行動の一つである。
(山田 清彦/核燃サイクル阻止1万人訴訟原告団 事務局長)

1DSC09452.jpg 関西電力大飯原子力発電所(福井県)4号機が停止し、再び原発ゼロとなる前日の9月14日、原発の再稼働反対を訴えて、9000人が亀戸中央公園(東京・江東区)に集まりました。


 集会冒頭に登壇した、福島から東京に自主避難している二瓶和子さんは、国から棄民扱いをされている現状の中で、自主避難している母親同士が集まって生活を支えあっている現状を報告。横須賀の小原慎一さんは、横須賀基地を母港として5年になる米海軍原子力空母ジョージワシントンについて、「動く原発」に対しても反対の声を上げていこうと訴えました。
 原発立地の各地からの報告では、活断層の問題のほか、火山灰が滞積した土壌での土石流の危険性。内海に位置する原発では、汚染水漏れで漁業等に深刻なダメージを与えるなどと、それぞれに原発稼働の危険性を訴えました。
 主催者あいさつで大江健三郎さんは、東京オリンピック招致での安倍首相の発言について、「首相は現実を見ていない。我々はそうした首相を選んでいる。それが選挙の結果」と私たち自身の問題に触れた上で、今日の集会に参加している人々は、将来の子どもたちに残すべき未来をつくる志をもった人々であり、「私もそれを行動で示したい」とアピールしました。
 集会後参加者は、浅草・押上コース、錦糸町コースの二手に分かれてデモ行進をしました。

(写真:今井明)

ビデオ報告

2013年9月14日に東京・亀戸中央公園で開かれた「再稼働反対!さようなら原発大集会」とパレードの様子をダイジェストにビデオにまとめました。(9分44秒)

●再稼働反対!9.14さようなら原発大集会in亀戸

 日時:9月14日(土)11:00~
 場所:亀戸中央公園
   (東武亀戸線「亀戸水神駅」2分、JR「亀戸駅」「平井駅」15分)
詳細 チラシ(PDF)

130914kameido01.png

9.1さようなら原発講演会に約2000人

130901_11.jpg 9月1日、東京・日比谷公会堂を会場に「9.1さようなら原発講演会」が開催され、ほぼ会場の定員に達する、約2000人が参加しました。
 「3.9つながろうフクシマ!さようなら原発大集会」でも司会を務めた女優の木内みどりさんが司会を担当。呼びかけ人の鎌田慧さんのあいさつに続いて、バンド「ジンタらムータ」によるオープニングライブで、講演会はスタートしました。
 初めに、福島からかけつけたいわき市議会議員の佐藤和良さんが、この日が関東大震災から90年にあたることにふれて、「今日の集会は、必ずしも福島や浜岡、柏崎刈羽の問題ではない。関東大震災が起これば、この首都圏こそが『原発現地』になりうるという想像力を働かせてほしい」と発言しました。
 呼びかけ人の大江健三郎さんは講演の中で、「脱原発を実現すること、私たちの大切なモラルは次の世代が生きていける社会を残していくことだ」と訴えました。コントグループ「ニュースペーパー」によるコントの後、京都大学原子炉実験所助教の小出裕章さんによる講演があり、「私が原子力に反対するのは他人の犠牲の上にしか成り立たないものだからだ」と、データなどを交えながら力強く解説しました。
 呼びかけ人からは澤地久枝さんが「原子力政策に責任のある人の責任を問うていきたい」と発言。内橋克人さんが「『技術の進歩により安全になる原発。私たちの国だけ持たなくていいのか』というような、新しい原発安全神話が猛々しく、メディアを通じて流されている」と、現政権の姿勢を批判しました。閉会のあいさつで、落合恵子さんが「『まるで原発事故などなかったかのように』社会の流れを変えようとしている、そんな政治の中に私たちは生きている。その恐ろしさを心に刻みましょう」と呼びかけました。
 終了後は首都圏反原発連合が主催する「官邸前抗議 日曜版」への参加が呼びかけられ、呼びかけ人や講演を行った小出さんをはじめ、多くの参加者が移動しました。なお、集会には辻本清美衆議院議員からのメッセージも寄せられました。→公式サイトでの報告 →ダイジェスト動画

※写真:今井明さん
 

2013年9月1日、東京・日比谷公会堂で開かれた「さようなら原発講演会 つながろうフクシマ!くりかえすな原発震災」の内容ダイジェストビデオ(9分41秒)

月別 アーカイブ

Powered by Movable Type 4.23-ja

このアーカイブについて

このページには、2013年9月に書かれたブログ記事が新しい順に公開されています。

前のアーカイブは2013年8月です。

次のアーカイブは2013年10月です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。