2013年7月アーカイブ

原水禁福島大会で震災・原発被災地を視察

 

飯舘村通行止め.JPG飯舘村廃棄物.JPG

 被曝68周年原水禁世界大会・福島大会は、7月28日の大会・デモ行進に続いて、29日には東日本大震災、東京電力福島第1原発事故の被災地を視察するフィールドワークが行われ、70人が参加しました。放射線量の高い飯舘村や川俣町、さらに福島原発に近く津波被害も大きい南相馬市を回りました。
 飯舘村は、多くのところが居住制限地域に指定されており、中でも放射線量が高い長泥地区は帰還困難地域とされ、居住者の一時的な立ち入り以外は通行止めとなって、2人のガードマンが立っていました。線量計で測ると、福島市内に比べて100倍もの線量を示していました。
 飯舘村は、事故が起こる前までは、全国でも珍しく人口が増え、若い人達が多い村として注目されていました。しかし、今は全村が避難し、時折、見守りパトロールの人以外は誰もいない村の田畑は草が荒れ放題となっています。その田畑では除染の実験作業が行われていましたが、大量に出る廃棄物の置き場をどうするかなど問題が山積しています。
 一方、南相馬市は少しずつ元の生活にもどりつつあるようでした。自治労南相馬市職労の鈴木隆一委員長の説明では、一時は1万人まで減った人口が4万5千人まで回復。商店や事業所の多くが再開し、名物の「相馬馬追い」も昨年から復活しました。しかし、3年連続で水稲作付けは行われず、漁港も復旧工事が終わっていません。子どもたちの数もかつての半数しか戻っていないとのことです。病院も看護師不足、市役所でも退職者が激増し、「こんな状況で、大型の公共工事が行われても対応できない」と、鈴木委員長は訴えました。
 視察参加者は、海岸部などで原発事故のために復旧が遅れている地域などを視察しました。(写真は道路の通行止めと大量の廃棄物。ともに飯舘村で)

原水禁世界大会福島大会 基調提起


 


原水爆禁止日本国民会議
事務局長 藤本泰成

  私は、福島県いわき市で生まれ育ちました。
  多くの時間をすごした母の実家は、小さな港の前でした。
  原発事故がなければ、いまごろ、これまでのように海風に魚を干し、
 こつこつと水産 加工で復興をめざしていけていたはずです。
  毎年、おいしくできた干魚(ひもの)を送ってくれていました。
  その豊かな海、豊かな野山、豊かな心をはぐくむ暮らし…………。
  これ以上、何を奪えば原発が止まるのでしょうか。

 この匿名の手紙は、「さようなら原発1000万人署名」とともに送られてきたものです。この手紙の中には、原発の事故の、いや原発そのものが持つ「非人間性」が語られています。原発がなければ、豊かな海の幸をもって、こつこつと復興に向けた努力が行われていたと、この方は語っています。
 自然災害から、復興していく道筋は、私たちの長い営みの中で、いつも、そうしたものだったのではないでしょうか。そのことを許さない原発事故・放射性物質による汚染、人間の努力ではどうすることも出来ない事故を、人間の力で引き起こした絶望、その慟哭が静かな語り口から聞こえてきます。
 実家から毎年おいしくできた干物を、送ってもらっていたと書いています。その干物には、故郷の香りがしたのではないでしょうか。もし、子どもが食べていたら、おじいちゃんやおばあちゃんの、においがしたのではないでしょうか。原発は、人々のつながりを奪い、生活を奪い、故郷を奪い、地域社会を崩壊に導いたのです。

 「これ以上何を奪えば原発は止まるのでしょうか」この手紙を読むと、胸が詰まります。この手紙を、読まなければならないのは、原発政策を推進してきた政治家であり、官僚であり、電力会社ではないでしょうか。

 しかし、政府は、将来のエネルギー政策を、原発をどうするのかを語らずに、再稼働に走ろうとしています。昨年の「国民的議論」を全く無視をする態度は、私たちを愚弄しているとしか思えないものです。政治は、いったい誰の立場に立っているのでしょうか。

 福島県田村市の除染作業では、少ないところでも毎時0.32マイクロシーベルトにとどまり、目標とされた毎時0.23マイクロシーベルトには届きませんでした。 政府は、住民説明会において、「目標値は、1日8時間戸外にいた場合を想定し、年間1ミリシーベルトを超えない数値であり、0.23マイクロシーベルトを実際に個人が浴びる線量に結びつけるべきではない」としながら、「新型の線量計を希望者に渡すので自分で確認して欲しい」と述べたとされています。
 除染作業への財政負担を減らすために、「除染作業が目標値に届かなくても被曝線量を自己管理して生活しろ」と強要しているものです。
 一方で、国直轄の除染事業は、先行して行われた除染モデル事業を受注した大手ゼネコンが、他の入札者がなく競争がないまま受注する契約が続いています。予定価格に対する落札額の割合も95%と極めて高額なものになっていると報告され、談合と言われてもしかたのない状況がおこっています。
 除染作業という一時をとってみても、およそ被災者の側に立っているとは言えない政府の姿が浮かびます。

 「東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律」いわゆる「原発事故子ども被災者支援法」は、参議院から議員立法として提出され、2012年6月21日、衆議院本会議において全会一致で可決・成立しました。
 その第3条は、「国は、原子力災害から国民の生命、身体及び財産を保護すべき責任 並びに これまで原子力政策を推進してきたことに伴う社会的な責任を負っていることに鑑み、前条の基本理念にのっとり、被災者生活支援等施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する」とされています。しかし、全くその具体的施策が進んでいないことは、みなさん承知の通りです。法の適用範囲さえ決定されないで放置されています。
 そして、そのような中で、原発の「新規制基準」だけが極めて短期間で決定され、再稼働へ向けての申請が、電力会社4社10原発から提出されるという状況を向かえています。水野靖久復興庁法制班の参事官は、支援法に関わる市民との協議の後「左翼のクソどもから、ひたすら罵声を浴びせられる集会に出席」などとツイッターで暴言を吐き、処分されました。「白黒つけずに曖昧なままにしておく」などという彼の発言は、復興庁自体に共通した姿勢ではないかと考えざるを得ません。フクシマをそのままに、事故の責任を曖昧にし、事故の原因を曖昧にし、将来のエネルギー政策を曖昧にしたままの、「再稼働」を、私たちは絶対に許すことは出来ません。

 「さようなら原発1000万人署名」に寄せられた、水村次子さんの手紙を紹介します。

  日本のトップにいる人たちは、どんな日本にしたいのでしょうか。
  どこを見て“国”と言うのでしょうか。
  “国”とは、多くの人が、心ゆたかに暮らせるところではないでなけれ 
 ばいけません。  
  心がゆたかだったら、少しの不自由(便利でない)は大したことではな 
 いと思います。   
  3月11日後、何が一番大切か、確認しました。
  苦しみを無にしないように、がんばります。

 この中には、追いつき追い越せと暮らしてきた、経済成長を求める日本社会への批判と新しい社会への哲学があります。日本の政府が、自民党政府が持ち得ない哲学があります。便利ではない、けれどもゆたかな社会、原水禁は、原発震災の直前に、「持続可能で平和な社会をめざして」という脱原発社会へ向けての提言を行いました。まえがきの一部を少し長いのですが引用します。

 「エネルギーと資源の大量消費を基本にした社会のあり方が、そのことをリードしてきた先進資本主義国において限界を迎えている。その後を猛追している新興工業国が、次代に新しい豊かさを得ていくのかというと、必ずしもそうはならない。地球全体のキャパシティーが、多くの場面でフローしつつあるからである。地球の資源を再生産・有効利用できる循環型社会を形成していくこと、そして人類が飽食と飢餓に、貧困と富裕に分類されず、命を削って闘うことのない世界にしていくことが地球規模で求められている。人に『やさしい』営み、豊かさを広く再分配いく世界のあり方が、平和をつくることにおいても求められている。」

 私たちは、この考えに立って、新しい社会をつくりあげることに、全身全霊を傾けたいと思います。

 今日の、福島大会に始まり、原水禁世界大会はヒロシマ・ナガサキへと、議論を紡いでいきます。被曝68周年を迎えた今年の「大会基調」は、8ページにわたります。事務局案を提示させていただいてから、多くの方の意見をいただきました。全体の考え方を調和のとれたものにしていくために、かなりの努力を傾けましたが、まだまだ不十分ではないかと思います。どうか、8月9日の長崎での最終日まで、みなさんの真摯な議論を通じて、補完していただきたいと思います。

 今年の、原水禁広島大会・長崎大会は、意見の相違から「連合・核禁会議」のみなさんとは共同開催が出来ませんでした。労働運動と市民運動を結んでの社会変革をめざす私たちは、極めて残念に思います。しかし、私たちは意見の相違を非難することなく、私たちがめざす目的のために「脱原発」「核兵器廃絶」「ヒバクシャ支援」の運動の拡大を図らなくてはなりません。三団体は「意見が異なることを理解し合いながら、しかし、被爆国日本の国民的願いである核兵器廃絶とヒバクシャ支援に三団体で積極的にとりくんでいくこと」を確認しています。
 2015年のNPT再検討会議に向けては、意見の相違を乗り越えて全国的な運動の展開を図らなくてはなりません。連合は、自らのエネルギー政策を見直し「原発に依存しない社会をめざす」としました。その意思を具体的運動につなげていくことを期待し、原水禁大会福島大会での基調提起にかえさせていただきます。
 

 福島大会.JPG福島デモ行進 (1).JPG 

 今年の「被爆68周年原水爆禁止世界大会」は7月28日に福島市で開かれた福島大会からスタートしました。福島大会は東京電力福島第1原発事故があった2011年から開かれているもので、福島県内や東北各県をはじめ、全国から約1200人が参加しました。
 最初に東日本大震災や原発事故を原因とする犠牲者への黙とうを行い、主催者を代表して、川野浩一大会実行委員長(原水禁議長)は、「福島原発事故で、長崎を核被害の最後にとの願いが叶わなかった。しかし、安倍政権は原発再稼働の方針を示し、原発を世界に売り込んでいる。核に良いも悪いも無い。断固として脱原発運動を進めよう」と訴えました。
 また、地元あいさつに立った福島県平和フォーラムの五十嵐史郎代表は、「原発事故の収束にはほど遠い状況だ。先日、原発構内を視察したが、線量計は鳴りっぱなしだった。脱原発社会への道を福島から作っていこう」と決意を述べました。
 大会の基調を藤本泰成大会事務局長(原水禁事務局長)が提案し、脱原発運動を中心に、核兵器廃絶にむけた運動、ヒバクシャの権利確立も含めて、福島から広島、長崎へと続く大会の意義を強調しました。
 福島の現地報告を、福島県平和フォーラムの五十嵐敬事務局次長が行い「最近、汚染水が垂れ流されていることがわかったように、事故の収束作業は進んでいない。また、子ども達の健康問題も深刻になっている。安倍政権のもとで福島の問題を風化させてはならない」と呼びかけました。
 続いて講演が行われ、福島県内で生まれ育った、東京大学教授の高橋哲哉さんは、福島の地を何度も訪れていることを紹介し、「今、福島を脱原発社会、核廃絶の希望を発信する場にしなければならない」とした上で、ウラン採掘現場から被曝が始まり、原発の廃棄物の問題も含め、「こうした犠牲のシステムの上に原発がある。これ以上、国策による犠牲は許されない」と訴えました。
 次に、「核廃絶をめざすヒロシマの会」共同代表の森瀧春子さんが、原水禁の初代議長である父親の森瀧市郎さんの言葉を引用し、「核と人類は共存できないと訴えてきたが、福島原発事故を防げなかった。そして、核開発利用サイクルのあらゆる段階で人間と地球を否定する惨禍をもたらしている。『人類は生きねばならぬ』の核絶対否定に向け、さらに前進しよう」と呼びかけました。
 大会は最後に「事故の風化に抗し、原発の再稼動を阻止し、政府に脱原発・エネルギー政策転換に向けて舵を切らせることを決意する」との大会アピールを採択しました。
 大会後、参加者は福島駅前まで、「原発はいらない!「再稼動反対!」「子ども達に核のない未来を!」などとシュプレヒコールを繰り返し、プラカード・横断幕でアピールしながらデモ行進を行いました。
 原水禁世界大会は、8月4日~6日に広島大会、7日~9日に長崎大会が行われます。

 

被爆68周年原水爆禁止世界大会・福島大会アピール

 2011年3月11日の東日本大震災は、多くの人命と生活基盤を根こそぎ奪い取る未曾有の大災害となりました。その上に、東京電力福島第一原発の重大事故による被害が加わりました。2年半近く経ったいまでも事故は収束していません。原子炉内で融け落ちた核燃料の塊は、冷やし損なえば、再び大量の放射能放出につながる危険性を持ち続けています。原子炉建屋内の大量の放射性物質による地下水の汚染も広がっています。加えて放射能で汚染された地下水の海洋流出も明らかにされました。現在も懸命に進められている収束作業は、何十年もの長期に渡ることが予想され、人類が経験したことのない被害、汚染との長期に渡る闘いが続きます。私たちは東京電力や政府関係者の事故収束に向けたさらなる努力を強く要請します。
 福島原発事故は、政府や東電による「人災」です。国会の事故調査委員会も、このことを厳しく批判しています。原子力推進派が、原発の「安全神話」を宣伝し、原発震災を問題とせず、経済効率を優先し、安全性をないがしろにしてきた結果、福島第一原発の重大事故につながったのです。政府、電力会社、原子力を推進してきた全ての者の責任をきびしく問わねばなりません。
 約400万人もの人々が「放射線管理区域」レベルの汚染地での生活を強いられています。福島県だけでも、未だに15万人におよぶ人々が、故郷を奪われ、避難生活を余儀なくされ、「避難区域」外の汚染地からの避難は自己責任による「自主避難」と決めつけられています。国や県が、放射能汚染の現実を直視せず、適切な支援策を行わない中で、被災地のコミュニティや家族までもが分断され、人権が侵害されています。「もとの生活を返せ!」は全ての被災者の心底からの叫びです。
 国や東電は、重大事故を起こした責任を認め、被災者に心から謝罪すべきです。東電は、被災者に対する正当な賠償を、国は、被災者の生活再建のための援護施策を早急に行う責任があります。超党派で成立した「福島原発事故子ども被災者支援法」は、成立から一年以上経っても、いまだ基本方針も示されず、具体化もされていません。そればかりか、支援対象者を限定し、多くの被災者を切り捨てようとする動きすら見えています。放置され時間だけが過ぎていく中で、被災者の生活は困難は極め、心労や病気、加えて言われなき差別などさらにきびしい状況に追い込まれています。
 被災地での汚染と被曝は、今後も長期にわたります。さらなる被曝を避けるための除染も適切に行われていません。浪江町をはじめとする双葉町村会は、政府に対して原爆被爆者と同等の法律に基づいた「放射線健康管理手帳」の交付と医療費の無料化などを求めています。また、事故原発では、炉心が溶融し建屋が破壊された中で労働が続けられ、多くの労働者が通常運転時とは桁違いの被曝を強いられています。そのほとんどが下請け労働者です。私たちは、被災者と被曝労働者の健康と命と生活を守るよう、政府に強く求めます。
 ヒロシマ・ナガサキから68年、被爆の実相の風化が懸念されています。フクシマでも風化がささやかれはじめています。福島原発事故がなかったかのように、全国各地で原発の再稼働がなされようとするいま、私たちは、事故原発の深刻な現状、被災地のきびしい現実を改めて直視し、被災地の人々の思いを共有し、広く全国に訴えましょう。事故の現実を無視した「福島の復興」はありえず、フクシマを抜きにした脱原発もありません。「県内の全ての原発廃炉」は、被災県民の強い要望です。事故の風化に抗し、原発の再稼働を阻止し、政府に脱原発・エネルギー政策転換に向けて舵を切らせることを、私たちはここ福島で決意します。そして、脱原発と結んで、フクシマ支援・連帯に全国でとりくみます。

 2013年7月28日
被爆68周年原水爆禁止世界大会・福島大会

7月28日に福島市の福島県教育会館で開かれた「被爆68周年原水爆禁止世界大会・福島大会」とその後のデモ行進の様子をビデオにまとめました(9分55秒)

原発問題は争点にならず
自民党の圧勝に終わった参議院選挙

 先の参議院選挙で、原発・核燃料サイクル推進の安倍・自民党が圧勝しました。これで原発の再稼働への動きが一段と加速されることが予想されます。原発問題では自民党以外は、時期の問題はありますが脱原発が大きな流れでした。選挙では、脱原発を前面に掲げ訴えた政党はありましたが、肝心の自民党は原発問題を争点とせず避けました。憲法の問題や沖縄の基地問題、TPP問題など、重要政策課題が争点になることを避けてきたのが今回の自民党の選挙でした。重要な課題を正面から掲げず、争点をずらしたことに「世論と議席のズレ」と言われる状況が起きました。福島で当選した自民党の森雅子議員は、福島県内の全原発廃炉を主張しましたが、原発の再稼働や脱原発になると言葉を濁すなど、被災地福島でもその姿勢がハッキリしていません。

再稼働とプルサーマル
 原発の新規制基準が7月8日に施行され、それに合わせて北海道電力・泊原発1・2・3号機、関西電力高浜原発3・4号機、大飯原発3・4号機、四国電力伊方原発4号機、九州電力玄海原発3・4号機、川内原発1・2号機の再稼働申請がなされ、審査に入っています。審査は半年ほどとも言われていますが、早ければ今年末にも結論が出るとも言われ、審査の行方が注目されます。原発立地自治体の再稼働に対する同意が焦点となります。立地地域できでいいのか、隣接自治体や防災関係で拡大した30キロ圏内の自治体の対応も焦点となっていきます。福島原発事故を見れば、事故の被害は広範囲に及び、立地自治体だけが問題ではないことは明らかです。そのことを踏まえた対応がなされるのかどうかは現在見えていません。原発推進側のごり押しが懸念されます。
 今回申請された原発のうちプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を燃やすプルサーマルを前提とするのは、伊方原発3号機、高浜3・4号機、玄海原発3号機の4基があげられていますが、地元理解が必要となっており、反発が強ければ通常のウラン燃料での発電となる可能性があると言われています。泊原発3号機は、当初プルサーマルの計画を実施する予定でしたが、福島原発事故後に発覚した住民説明会の「やらせ問題」でプルサーマル計画は凍結され、今回の再稼働申請にはプルサーマルは含まれていません。しかし、「凍結」はいずれ溶ける可能性もあり。再稼働すればプルサーマルに切り替わっていくことが懸念されます。今回のMOX燃料は、海外製のもので、六ヶ所再処理工場でつくられたものにいずれは切り替えされるとされていますが、プルトニウムがすでに44トンもある中では、いつそれが使われるのか明確になっていません。むしろ永久に使われないかもしれません。

フルMOX燃料の大間原発は難しい
 MOX燃料を大量に使うことが期待されている電源開発(Jパワー)の大間原発に対して、6月26日、原子力規制委員会の田中俊一委員長は、個人的な見解としながらも、「世界的に経験がない。もう少しデータが必要。そもそもいまの日本で、世界がやったことがないものを初めてやるのは難しい」と、フルMOXに対して否定的な見解を示しました。ますます大間原発の存在意義も問われてきます。大間原発は、六ヶ所再処理工場で作られるプルトニウムの最大の消費先となると言われています。その大間原発が頓挫することは、六ヶ所再処理工場のあり方にも直結するものです。今回の発言は、大間原発や六ヶ所再処理工場の先行きを暗示しています。

MOX燃料は問題だらけ
 そもそもMOX燃料を使用することは、これまでの原発の安全余裕度を低くし、事故による被害も大きくなると指摘されています。さらに電力会社にとってもMOX燃料の加工費、輸送費、貯蔵費、使用後の処理・処分費(未定)などこれまでのウラン燃料の費用を何倍も上回るもので、近年特に厳しい経済状況にある中で、さらに経済的負担を増すものです。電力料金の値上げが言われる昨今、そのあり方も問われるものです。
 使用済みMOX燃料の処理・処分についてもいまだ何も決まっていません。そのような中で見切り発車のようにMOX燃料を使うプルサーマル計画を実施することは、「トイレなきマンション」と言われているこれまでの原子力政策の「愚」をまたも繰り返すものです。六ヶ所再処理工場の後につづく第二再処理工場で使用済みMOX燃料は処理されるように描かれていますが、第二再処理工場の計画はいまだ何も進まず、実現可能性はまったくないのが現実です。使い終わった後のMOX燃料は、これまでのウランの使用済み燃料に比べ、発熱量量が約二倍に増え、長半減期核分裂生成物も増加するなど厄介な核のゴミと化すだけです。

再処理は安全保障のため?
 さらにMOX利用計画も含め日本の核燃料サイクル政策は、六ヶ所再処理工場建設や「もんじゅ」をはじめとする高速増殖炉計画そして高レベル放射性廃棄物処分問題で、技術的、経済的さらに社会的にもすでに破綻していることは明らかです。そのような現実を見れば、MOX燃料の利用や再稼働そのものもできる訳はありません。それでも安倍政権は「核燃料サイクル」に固執しています。その裏には、国防の強化を旗印に、核燃料サイクルの維持はエネルギー政策というより安全保障政策の一環とあるのではないでしょうか。核兵器の材料になるプルトニウムを大量に保持し、非核兵器国で唯一再処理できる権利を確保している日本が、中国や韓国などと対立し。東アジアで軍事的。政治的な力を持つ上で核燃料サイクルの維持や強化は手放さないものとなっているのではないでしょうか。新防衛大綱の中で敵基地攻撃能力の確保など軍事が外に向かう中で、核燃料サイクル政策の維持は別の側面がかいま見られます。
 東アジアの平和と安定は、軍事ではなく非軍事でつくり出すべきです。特に東北アジアの非核地帯化をめざす動きもあり、日本の再処理、プルトニウム利用政策は大きな障害となっています。六ヶ所再処理工場も、プルトニウム利用政策も放棄すべきです。

講師の紹介/被爆68周年原水禁世界大会

※五十音順・敬称略

・海渡 雄一(国際会議)
 弁護士。原発の建設・運転を止めるため国や電力会社を相手に多くの原発訴訟を手がける。

・高實 康稔(長崎第6分科会)

 長崎大学名誉教授。在外被爆者支援連絡会共同代表。「岡正治記念長崎平和資料館」理事長。

・田窪 雅文(広島第3、長崎第3分科会)

 WEBサイト「核情報」主宰。世界の核戦略・核軍縮関連の情報を集め、訳出や翻訳を多数手がける。

・塚田 晋一郎(長崎第4分科会)
 ピースデポ事務局長代行。核兵器廃絶をめざし世界の核戦略と非核化の調査・情報発信。

・豊崎 博光(広島第5、長崎第5分科会)
 フォトジャーナリスト。ウラン採掘、核実験、原発事故など世界の核被害者と非核運動を取材。

・西岡 由香(漫画家・長崎第8分科会)
 長崎原爆をテーマにしたマンガなど。「週刊金曜日」に4コママンガを連載。

・西尾 漠(国際会議、広島第2、長崎第2分科会)
 原子力資料情報室共同代表。原発・核問題の調査・研究、情報発信。「はんげんぱつ新聞」編集長。

・伴 英幸(広島第1分科会)
 原子力資料情報室共同代表。原発・核問題の調査・研究、情報発信。経産省の放射性廃棄物問題WGに参加。

・平野 伸人(広島第6分科会)
 韓国の原爆被害者を支援する市民の会。長崎の被爆二世。全被爆体験者協議会相談役として被爆者問題に関わる。

・藤井 石根(広島第2、長崎第1分科会)
 明治大学名誉教授。原発と自然エネルギーの研究。原水禁エコロジープロジェクト座長

・藤本 泰成(広島第3、長崎第3分科会)
 平和フォーラム・原水禁事務局長。

・振津 かつみ(広島第1、長崎第5分科会)
 医師。原爆被爆者の健康管理、放射線の健康被害について研究、被災者支援活動 

・山川 剛(長崎第8分科会)
 長崎県原爆被爆教職員の会副会長。小学校教員を36年間務める。

・山口 幸夫(長崎第1分科会)
 原子力資料情報室共同代表。原発・核問題の調査・研究、情報発信。物性物理学専攻。工学博士。

・湯浅 一郎(広島第4分科会)
 ピースデポ代表。核兵器廃絶をめざし世界の核戦略と非核化の調査・情報発信。

加工して印刷物等にお使いください。
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被爆68周年原水禁世界大会へ個人で参加するには

 広島大会、長崎大会へ個人でご参加される方は、ご面倒でも「代表登録」の手続きをお願いいたします。

 ◆広島大会の代表登録◆

日 時:8月3日(土) 13:00~17:00
     8月4日(日) 9:30~17:00
会 場:自治労会館3F(大会事務局) 
           広島市西区横川新町7-22
          TEL 082-294-4588
          FAX 082-294-4555
 


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◆長崎大会の代表登録◆
日 時:8月7日(水) 9:30~16:30
場 所:長崎地区労会館2F会議室(大会事務局)
             長崎市桜町9-6
             TEL 095-895-9888(長崎原水禁)
             FAX 095-825-8837(長崎原水禁)
 


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団体・個人  3,500円(参加費+資料代)
高校生    500円
中学生以下  無料
【ワッペン(参加章)、プログラム、資料、分科会整理券をお渡しします。】
※資料は共通です。広島から継続参加者の参加費・資料代は長崎では不要ですが、長崎のみで配布される資料もございますので、継続参加者の方も、長崎の代表登録会場へお立ち寄りいただくことをお勧めします。

 お申し込みはFAX(03-5289-8223)、またはメール(list▲gensuikin.org)でお名前、お届け先、品名(Tシャツはサイズも)、個数を明記の上、ご注文ください。
※メールアドレスの▲を@に変えてください。

■Tシャツ(M、L、LL) 各1,000円(送料別)※大量の場合はご相談に応じます。
  プリントはフロントとバックがあります。

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■マグネット 各100円(送料別)※大量の場合はご相談に応じます。

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