2013年1月アーカイブ

「鹿児島県護憲平和フォーラム情報2013.01.31号」記事から

川内原発運転差し止めを求める
九州川内訴訟、第2回期日が開廷された

≪1月22日(火)鹿児島地裁≫
 
 今回の公判では、第2陣で加わった566人と合わせ1,680人からなる原告団を組み、審理が進められることとになりました。前回同様、裁判傍聴者が多く、14時30分から抽選による当選者のみが裁判を傍聴できるということで、傍聴者は裁判所で番号を付したリストバンドを付けてもらい、待つこと30分。抽選で傍聴席を確保することになりました。

今回も「模擬法定」を黎明館に設置
 2回期日も、多くの人が傍聴できず、法廷で傍聴できなかった参加者は「黎明館講堂」へ移動し「模擬法廷」を設置し裁判の同時進行で見聞することとなりました。
 「模擬裁判」ではあったが、黎明館講堂の舞台に鹿児島地裁206号法廷を模して、裁判官席に今回の弁護団の弁護士3人が「模擬裁判官」として着席、左側に原告側代理人、右側に被告側模擬代理人(九電・国)が設けられ、公判が開始されました。実際の法廷とは、「人が違うのみ」ということで、内容については全く法廷と同様の形式・内容で進められました。
 裁判所側が、原告側の口頭での「意見陳述」を認めず今回の期日で裁判所側は、原告側の「意見陳述」は認めないと主張。更に80ページからなる「準備書面を40分でやってほしい」など審理の進行に強気な対応があったと報告がありました。

準備書面の要旨
 今回提出した「川内原発差止訴訟」準備書面による陳述内容の要旨につき、下記のとおり報告します。
 
1.放射線の人体への危険性を、私たちは「広島・長崎、そしてJCO事故」で知った。
  JCO事故では、多量の放射線を浴びたことによる急性障害で皮膚等が自己回復せず、血液・体液が体中から流れ出す状態になり2人が死亡している。

2.大気の汚染
3.11福島原発事故での……大気中に放出された放射性物質は77万テラベクレル(チェルノブイリ事故の7分の1)。セシウム137は、15,000テラベクレル(広島原爆の168,5倍)である。そして汚染は現在も続いている。

3.大気中に拡散した放射性物質は日本の広範囲に拡散し、自然環境、生活、農業、漁業などに重大な影響を与えている。放射性物質の除去はほぼ不可能と報告された。

4.除染した廃棄物の保管も困難。……福島、宮城、山形、茨城、栃木の各県で年間被ばく量5ミリシーベルト以上の区域を除染する場合環境省試算でも2,879立方m(東京ドーム23杯分)。環境省の方針として「中間貯蔵施設」で30年保存、それから最終処分する。しかし、最初の段階の中間貯蔵施設の確保すら容易でない。「除染」は放射性物質を移動させるだけでしかない。

5.福島第一原発事故で避難者の問題、「立入禁止」による農林・畜産・水産業の被害、そして商工業・観光などの経済的損害等については、数10兆円ともいわれる費用がこれから重くのしかかってくる。これらの莫大な事故処理費用は「すべて国民に転嫁」されようとしている。
等など、パワーポイント映像とともに説明しました。

次回、第3回期日は5月21日に決定
 報告集会は、傍聴者も合流するなかで森弁護団・団長は、「総選挙の結果を受けて、『3.11』を風化させ、早くも再稼働を言い出している」これは何としても食い止めなければならない、そして第3次提訴者をさらに増やし闘争団の強化も図るとの決意が述べられました。事務局からは玄海原発差止訴訟の6,000名余を目指したい、4月には「風船を飛ばし」放射能の拡散状況調査もとりくみたい。闘争団ニュースをペーパー・メールで皆さんのところへ届くよう工夫していくことなど報告されました。
 尚、次回、第3回期日は5月21日(火)15時から鹿児島地方裁判所で開廷されることとなりました。

再処理をやめろ! ツケを国民に回すな!

多額の投入資金を回収する見込みもないのに
 日本原燃の川井吉彦社長の年頭挨拶で、「今年10月に六ヶ所再処理工場を竣工させる」との決意を述べていましたが、日本原燃を取り巻く経営環境そのものが「非常に厳しい」としています。
政権がこれまで原発推進一直線だった自民党・公明党に代わり、民主党が打ち出した「『2030年代に原発稼働をゼロとする』前政権の方針は再検討が必要」、「今、核燃料サイクルについて完全に放棄する選択肢はない」(茂木敏充経済産業大臣)とする発言に推進側は勢いをつけている一方で、厳しい現実を意識せざるを得ない状況にあります。
 たとえ六ヶ所再処理工場の操業を開始することはできても、動かし続けることは不可能です。そのことは、当事者はもとより経済産業省もわかっていることです。これまで考えられていたプルトニウム需給の面からも、事故の予測からも、低稼働ないし操業中断は確実です。そうなれば、これまで多額の資金を投入してきていますが、その資金すら回収できる見込みはまったくありません。仮に大きな事故に見舞われなくても、再処理施設の高稼働率は、福島原発事故以降の原発稼働基数すら読めない中で、まったく期待することすらできません。民間が進める事業で、大赤字を出してまで進める理由はないはずです。電力会社をめぐる経営環境がますます厳しくなる中で、再処理事業は大きなお荷物になるだけで、ましてや第二再処理工場の建設など、夢のまた夢でしかありません。六ヶ所再処理工場の次はありません。
 そんな未来のない再処理工場に「核燃料サイクルについては、中長期的にぶれずに着実に推進する」、そして、「引き続き従来の方針に従い再処理事業に取り組む」とは、墓穴を掘るだけです。そのツケは、結局電力料金や税金となって私たちに回されることは許せません。このまま強引に進めることの整合性を事業者や政府は説明するべきですが、それすらなされないまま、事業を進めようとしています。誰が本当に責任を取るのでしょうか。

最後は私たちがツケを払わされることになる
 いずれにせよ、六ヶ所再処理工場が経済的に成り立つことは絶対ありません。これまでも電力会社としても六ヶ所再処理工場を投げ出したいとする意向が度々洩れてきています。「核燃料サイクル事業は、将来国営になっているかもしれない」(2001年・太田宏次電事連会長)、「そんなに再処理をしたければ、国が直営でやればいいのではないか」(2004年11月14日・読売新聞 ※電力会社幹部発言)など。
 福島第一原発事故以降の、原発をめぐる環境変化はその流れを一層強くしていると思いますが、すでに2兆円以上もの巨費を投入した六ヶ所再処理工場の建設は、完成を見る前に撤退することは、だれもその決断ができないまま進められています。さらに地元との約束や雇用の問題など、決断を困難にする要因が山積し、政治判断もできないままに事業が進められています。まるで第2次世界大戦の日本軍と同じです。とめどなく国民を巻き込み、最後にその大きなツケを国民が払わされるのです。
 いまこそ声を上げるときです。これ以上のムダ金の投入と、核のゴミを大量に生み出すことを拒否しましょう。

 原発はいらない! 再処理はやめろ!


イギリスから高レベル放射性廃棄物が戻ってくる
 イギリスから高レベル放射性廃棄物ガラス固化体、28本が日本に戻ってきています。1月9日イギリスのバロー港を出港し、パナマ運河を経由して2月下旬に六ヶ所村に運び込まれる予定になっています。今回の28本分の内訳は、関西電力14本、中部電力7本、中国電力7本となっています。
 すでに六ヶ所村には、高レベル放射性廃棄物ガラス固化体が管理施設に1338本(再処理施設には197本)も溜まっています(2010年)。しかし、その行く当てがないのも現実です。最終処分場すら見通せないまま、高レベル放射性廃棄物が溜まっていきます。六ヶ所再処理行動が稼働すれば、さらに増えていきます。最後は六ヶ所村がそのまま最終処分場になってしまうのでしょうか。


再処理工場の稼動を延期させて、
計画の白紙撤回を!


核燃サイクル阻止一万人訴訟原告団
山田 清彦


知事が青森を「最終処分地」にしないよう国に要請
 1月17日、青森県の三村申吾知事は経済産業省を訪問し、茂木敏充経済産業大臣に青森を「高レベル放射性廃棄物」の最終処分地にしないことを要請した。
歴代の青森県知事は代々、その確約を政府から取り付けてきた。今回は政権が変わったので、その確約を確認に行ったという程度でしかない。
 昨年12月の衆議院選挙を経てスタートした自民党と公明党の連立政権は、核燃料サイクル政策の維持を打ち出した。民主党政権下で、2030年までの脱原発を掲げたにもかかわらず、枝野幸男前経済産業大臣による核燃料サイクル政策の推進を維持するとの発言に、地元が不信感を抱いたことを忘れたかのように。
 どの県からも高レベル放射性廃棄物の受け入れは拒否されている。それを「いずれ認める自治体が出るはず」だから、海外から返還された高レベル放射性廃棄物を、一時的に貯蔵してくれということからこの問題は発生している。
 これを容認したのが自民党であり、そこから何も話が進んでいない中で、浅学な「政治屋」が確約をすることに期待をしていることが、知事の間違いである。
 使用済み核燃料で置くよりも、高レベル放射性廃棄物にしたほうが、全体の管理料が減るということも、根底から間違っている。六ヶ所再処理工場で再処理すれば、核のゴミは膨大に増える。その中の高レベル放射性廃棄物だけを、数十万年管理する必要があるのではない。他のものも長く管理すべきものが発生する。しかも、再処理したプルトニウムを燃焼することに、多くの自治体が不信感を持っている。
 いずれにしろ、ウラン資源の枯渇を考えれば、原子力発電の利用は数十年間で終わりに近づくのに、その後の核のゴミの管理はそれから先の世代に大きなしわ寄せとなる。私たちの時代の原発政策の過ちによって発生した莫大な安全管理費を負担することを、後の世代が容認しないように求めるしかないだろう。

稼動すれば日常的に放出される放射能
 青森県紙の東奥日報で始まった連載では、日本原燃が地元に与えた経済的な恩恵を大々的に取り上げて、経済波及効果が高いという刷り込みをしていく内容になっている。しかし、日本原燃という会社が独立採算で成り立っているのではないことは伝えられていない。ウラン濃縮、低レベル放射性廃棄物の埋設、高レベルの一時貯蔵の事業からの収入はごくわずかで、多くは再処理前受金に頼っている。その中のほんの一部を地元に発注したことが、青森県にどれほど経済波及効果となったのか疑問である。
 もともと県紙として、青森県庁の広報担当のような役割を担っている側面はあるとはいえ、あまりに日本原燃に都合よく記事がまとめられている。前受金のほとんどが、各電力会社の負担金によって支えられている事実を、正しく伝えることが必要ではないだろうか。
 2月下旬には、英国からの「第二次返還輸送」も強行されそうだ。本来、「最終処分地が見つからないのに、押し付けるのはおかしい」と文句を言うべき知事が、すっかり自民党に丸め込まれている。
 再処理工場が稼働したら、日常的に放出される放射能による環境汚染につながり、「事故が起きたら大変」ということが現実のものになってしまうことを考えると、暗澹たる気持ちにさせられる。しかし、この苦境を押し返して、再処理工場の竣工を延期させ、計画の白紙撤回がもたらされるように私も臨んでいきたい。

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