2010年9月アーカイブ

 新たに国境と海洋についての章が設けられ、国境と海洋政策は「国家主権、安全保障、発展に関係し、中国外交の重要な部分」と明記。
 

 戦略的協調関係の全面的深化」に関する共同声明に調印、第2次対戦終結65周年を記念する共同声明発表を確認。

東京電力福島第1原発5号機で緊急時に原子炉へ冷却水をECCSに回すタービンが試験中に緊急停止したトラブルは、作業員が誤って信号ケーブルを外していたことが原因と発表。8月6日以降ミスに気付かず運転を続けていた。

「JCO臨界事故11周年集会」開かれる

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 1999年9月30日に発生した東海村の核燃料加工工場「ジェー・シー・オー(JCO)」での臨界事故から11年。その事故により2人の労働者の被曝死と600人を超える被曝者を生み出し、30万を超える屋外退避者を出しました。事故の記憶も年々風化していく中で9月26日、今年も集会とデモが開催されました。水戸市・みと文化交流プラザを会場に「JCO臨界事故11周年-事故の教訓を生かし、プルサーマルを止めよう!」と銘打ち、原水禁国民会議、原子力資料情報室、茨城平和擁護県民会議、反原子力茨城共同行動の4団体の主催で、全国から 約300名が参加しました。

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 集会では、主催団体を代表して原水禁国民会議の藤本泰成事務局長が、事故の教訓を踏まえ、原子力中心の今のエネルギー政策を、「人に優しい、環境に優しいエネルギー」に転換していくことが必要だと呼びかけました。

 原子力資料情報室共同代表の山口幸夫さんからは、「JCO事故から11年、原発の課題」と題して基調講演がなされました。
 この11年の間で、9.11同時多発テロの発生(2001年)や、新潟県中越沖地震(2007年)に代表されるようなマグニチュード6.0以上の地震が日本で11回も発生し、テロと地震の恐怖が改めて浮かび上がったこと。さらに東京電力をはじめ、電力各社のトラブル隠しなどの発覚、核燃料サイクルの行き詰まりなど、JCO臨界事故以降の動きをまとめ、原子力政策転換の必要性が訴えられました。

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発言する大泉昭一さん

 JCO臨界事故による健康被害裁判の元原告である大泉昭一さんからは、この間の裁判闘争の経過が報告され、今後地域において「臨界事故を語り継ぐ会」を結成して、事故を風化させない取り組みを行うことが語られました。
 また、東海第2原発でのプルサーマル計画の動きについては、地元である東海村村議の相沢一正さんから、隣県の福島第一原発3号機のプルサーマル実施については、脱原発福島ネットワークの青木祐一さんからそれぞれ報告がなされました。その後、集会決議を採択し、参加者は水戸市内を「プルサーマル反対」、「臨界事故を風化させない」などと訴えながらデモ行進を行いました。

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 翌27日には、茨城県、東海村、日本原子力研究開発機構、日本原子力発電に対し、申し入れを行いました。

 ■JCO臨界事故11周年全国集会・集会アピール(PDF)

 ■日本原子力発電-東海発電所所長宛・申し入れ書(PDF)
 ■茨城県知事/東海村村長宛・申し入れ書(PDF)
 ■東海研究開発センター長宛・申し入れ書(PDF)

中国漁船の船長を処分保留で釈放―那覇地検

 那覇地検が尖閣諸島沖で逮捕した中国漁船の船長を処分保留で釈放。「国民への影響や日中関係を考慮」し独自判断と語る。中国外務省は日本の司法手続きは無効と発言。米国務省クローリー次官補が「正しい決断」と歓迎。
 

 東アジアサミット(ASEANと日中韓、インドが参加)に2011年より参加を表明。領有権問題が発生している南シナ海問題では平和的解決で一致。

 一方、クローリー米国務次官補は、日本に漁船衝突事件で日中両国が対話を強化し早期に解決するよう求めた。尖閣諸島の領有権が日中両国のどちらにあるかについて米国は立場を明確にしないと語る。
 

 工場設備費用を含め50億ドルを超える見通しといわれる。航空自衛隊も次期戦闘機として検討している。
 

止めよう再処理! 共同行動ニュース9月号

 米国防総省が沖縄駐留米海兵隊のグアム移転について、日米合意の2014年の移転先送りを明記した環境アセスメントの最終決定書発表。基地拡張に伴う基盤整備の資金計画は日本側からの追加負担の検討を待つため見送りに。
 

青少年団1000人の受け入れ取りやめ―中国

 中国の上海万博で訪問予定の青少年団1000人の受け入れを、中国側が現在の雰囲気では友好事業を実施するのにふさわしくないと通知し、取りやめに。

 アフガン駐留の米陸軍戦闘旅団の隊員5人が、今年1月からアフガン市民を気晴らしで殺害していた疑いで米軍から訴追されているとワシントンポストが報じる。

 尖閣諸島付近で衝突し逮捕・送検された中国漁船船長を石垣簡裁が10日間の拘置延長を決める。

 9月19日、福島県大熊町の商工会館において東北各県や関東各地などから約300名が結集し、前日の東京電力・福島第一原発3号機でのプルサーマル実施(臨界)に対する「プルサーマル実施に抗議する福島県民集会」が開かれました。主催は脱原発福島県民会議(福島県平和フォーラム、プルサーマル反対双葉住民会議、社民党福島県連合)で、原水禁国民会議は後援として集会を支えました。

 集会では主催者から、トラブルにより臨界が大きく遅れたことは、今後の安全性を考える上でも問題であることや、この間の知事の条件付き受け入れは、国の動きに県が屈服したものであることが訴えられました。

100919fukushima_1.JPG また地元からの報告では、東京電力の関連企業で働く人も多く(5000~6000人とも言われる)、運動もやりづらいが、声をあげ続けなければならないと、企業城下町の中での運動の大変さと決意が語られました。県会議員の古川正浩さんからは、この間の知事の動きと県議会での動きが報告されました。

 連帯の挨拶として原水禁国民会議からは、六ヶ所再処理工場の2年延期やもんじゅでのトラブルなどプルトニウム利用路線がすでに破たんしていることを訴えました。女川原発のプルサーマルを抱える宮城県護憲平和センターや、日本原電の東海第2原発のプルサーマルを抱える、茨城県東海村からも連帯の発言があり、同じ東京電力の管内で、柏崎刈羽原発を抱える新潟県柏崎市からも、中越沖地震による影響と現状が報告されました。

 集会アピールを採択後に参加者は、町内を「プルサーマルはいらない」とデモ行進を行いました。100919fukushima_2.JPG


集会決議文

 8月6日、佐藤雄平知事は、今年2月の県議会において示した3条件がクリアーしたとして福島第一原発3号機でのプルサーマル計画受入れを表明した。
 これに基づき東京電力は、原子炉の定期検査中の8月21日にプルトニウムとウランを混合したMOX燃料を原子炉に装荷し、9月18日に原子炉を起動した。
 今後、9月22日に試運転が開始され、10月26日に国の検査を受けて営業運転に入る予定となっている。
 これが行われれば、プルサーマル実施は国内で3番目となるが、高経年化対策が施されている原子炉として及び沸騰水型軽水炉として国内初、また長期保管のMOX燃料による実施も国内初になる。
 しかし、プルサーマル実施については、安全・安心が確保されているとは決して言えない現状である。
 知事が示した3条件は、そもそも福島県においては、原発の老朽化、地震の多発、MOX燃料の経年変化等の悪条件が揃っていることに起因している。本来ウラン燃料用に設計された軽水炉でMOX燃料を使うプルサーマルは、安全上すべてマイナスに作用し、事故の時の被害も甚大になると指摘されている。ただでさえ危険なプルサーマルをこのような悪条件のもとにあえて福島県において行うべき理由は全くない。
 県が求めてきた、原子力安全・保安院の経済産業省からの分離・独立は未だに実現していない。また核燃料サイクルは確立しておらず、使用済み燃料の処分の目処も立っていないことから、行き場を失った使用済みMOX燃料が原発内に備積され続けることになる。原発のプール水漏えいによる環境汚染も心配されている。
 また原子力安全・保安院の「保安活動総合評価」によれば福島第一原発3号炉は「重要な課題あり」と判定されており、福島第一原発、福島第二原発においてトラブルが相次いでいる現状も指摘せざるを得ない。
 県は、東京電力や原子力安全・保安院の説明を受けて原子力発電所安全確保技術連絡会で検証を進めてきたが、この中にはプルサーマルに慎重、反対の立場で発言する委員はいなかった。しかし、県民の命に関わる重大な問題であることからすれば、すべての情報を公開し、推進派、反対派両者の間で徹底的な議論を行うことが必要である。県民にこの問題が十分に説明されておらず、県民の意見を聞く場が設定されなかったことも問題である。
 今回の知事の了解はあまりにも拙速である。このようなことでは安全・安心に対する県民の信頼は決して得られず、不安も払拭されないと言わなければならない。
このまま、プルサーマルを実施することは将来に重大な禍根を残し、県民の安全を根底から揺るがすことになる。
 私たちは、今回の佐藤雄平知事による受入れ表明と、それに基づき実施を進める東京電力に強く抗議し、県民の安全・安心を確かなものにするため、プルサーマルを即時中止することを求めるとともに、原発に頼らない社会づくりをめざして脱原発の闘いを強化するものである。
以上、決議する。

2010年9月19日
プルサーマル実施に抗議する福島県集会

 9月10日、日本原燃(株)は、青森県六ヶ所村に建設中の再処理工場の完成を、当初2010年10月であったものを2012年10月へと2年間延期すると発表しました。これで18回目の延期となりました(事業指定を受けた1992年以降で14回目の延期に当たる)。合わせて「財務基盤強化策」として4000億円もの巨額な資金の増資を10電力会社を中心に要請することも発表しました(現在の資本金は2000億円)。
  これまで行ってきたアクティブ試験(試運転)の最終段階で高レベル放射性廃棄物ガラス固化体製造施設でのトラブルで、2008年12月以降停止したまま長期中断に追い込まれていましたが、さらにその解決の見通しもたたないまま、泥縄的な今回の延長となりました。しかし、その延長で必ず問題が解決するとは限りません。むしろ、度重なる完成時期の延長は、六ヶ所再処理工場が欠陥工場であることを物語っています。「商業」施設と位置づけられている再処理工場は、その前提として完成された技術(?)が前提であり、「研究」施設ではないはずです。だからこそ度重なるトラブルはその技術の未完成を端的に示しています。そのことは地域住民にも多くの不安を与えるものです。
 再処理工場の度重なる延長で、原子力政策の無計画性が明らかになりました。このまま六ヶ所再処理工場が稼働しなければ、これまで進めてきた核燃料サイクル路線そのものが破綻することは明らかです。まさに六ヶ所再処理工場はその結節点に立っています。さらに工場の完成が遅れれば遅れるほど、原発の使用済み核燃料を搬出できずに、原発は停止せざるを得ません。現在進めている全量再処理とする核燃料サイクル路線が早晩行き詰まるのは明らかです。
 費用が益々膨らむことも明らかです。当初建設予算が7600億円だったものが、すでに2兆2000億円にまで膨れあがりましたが、それでもいまだ完成していません。さらに日本原燃の有利子負債残高は、1兆円を超えており、経営への影響が懸念されています。それらの負債や今後の莫大な経費の負担は、私たちの電力料金などから徴収され、結局は政策の失敗のツケを国民に回すものでしかありません。
 日本原燃の川井吉彦社長は、三村申吾青森県知事に対して「延期は今回が最後」として「全身全霊」で取り組むことを約束しました。はたして本当に実現できるのでしょうか。技術的な裏付けのないまま進めてきたこれまでの事実を考えれば、2年後にまたしても「延期」は容易に想像できます。それにもかかわらず、安易な先延ばしを図る事業者に対しては、県民も国民も不信感を高めています。
 いま大切なことはもう一度立ち止まって、核燃料サイクル政策の見直すことです。第二再処理工場の見通しも立たない中、全量再処理にこだわり、プルサーマルを進めるための核燃料サイクル政策を続けることは、まさにムリ・ムダ・危険を拡大再生産することでしかありません。私たちは、原子力政策大綱の見直しと共に、あらためてプルトニウム利用路線からの撤退と六ヶ所再処理工場の建設中止を強く求めるものです。
 

2010年9月17日
 原水爆禁止日本国民会議
 議長 川野 浩一

菅改造内閣発足。

米上院が米ロの新START条約を承認。

 キャンベル米国務次官補が上院で証言し、6ヵ国協議再開の条件として、「南北対話の再開」「核放棄の確約を盛り込んだ2005年共同声明履行の意思表明」が必要と述べる。

 ウイーンで開催された国際原子力機関(IAEA)定例理事会(35ヵ国)で、イランのソルタニエ担当大使がイラン核兵器疑惑解明を求める天野之弥事務局長の書簡を「事実を完全に誤解している。外部の圧力下で書かれた」と批判。

 電話するが連絡つかず、岡田克也外相に電話するも電話会談できず、未明に丹羽大使に面会。(14日まで6回の抗議)。
 

 「ぎんぎらぎん」という言葉がふさわしいのかどうかは別にして、9月11日13時の鹿児島市中央公園は猛暑の夏にふさわしい、厳しい日差しを浴びていました。九州各県から集まった1200人を超す仲間たちは、暑さに負けることなく、川内原発3号機増設を絶対に許さない熱い思いを確認し合いました。最初に発言に立った川内原発増設反対県共闘会議の荒川譲議長は「重要電源開発指定を阻止し、川内原発3号機増設を絶対に認めない。危険な原発に頼らず自然エネルギーを中心とした政策に転換すべき。」と表明しました。多くの方の議論も、電力は不足していない、159万キロワットの大原発がなぜ九州に必要なのか、核のゴミはどうするのかというもので、多くの疑問が投げかけられました。

 また、「鹿児島の海はめちゃくちゃになっている、原発の南側はひじきもわかめもテングサも全滅した」との衝撃的な報告もありました。原発が温暖化対策にならないことはもちろんのこと、放射能は目に見えず静かに私たちの環境を破壊しています。将来の子どもたちに、原発を、核のゴミを押しつけない、さんさんと輝くこの太陽を利用して優しい豊かな社会を残していこうとの思いを、さらに強くしました。

 薩摩川内市では、原発の是非を市民全体に問おうではないかと、市民投票条例の制定に向けた運動も進んでいることが報告されました。国の政策や企業の論理ではなく市民の生活者の思いが生かせる地方自治の確立が求められます。
100911kagoshima1.JPG 集会後、猛暑の中を1200人の仲間たちは、天文館からいずろ通りの繁華街を、原発増設反対を訴えパレードを行いました。

 中国外務省が中国漁船船長逮捕に関連して、東シナ海ガス田開発に関する日中政府の条約締結交渉の第2回会合の延期を決めたと発表。日本政府は一方的な延期は遺憾であるとして不快感を表明。

「在日米軍の抑止力強調。普天間飛行場の代替地を沖縄県内とせざるを得ない。」「中国軍動向に懸念。」「竹島を固有の領土。」「北朝鮮の核・ミサイルは脅威」などが記載される。

NATO主導の国際治安部隊(ISAF)の2011年撤退が可能との認識で一致。
 

船員14人は船内で事情聴取。中国政府の王光亜筆頭外務次官が丹羽宇一郎・駐中国大使に強く抗議。
 

イスラエルとパレスチナの2国家共存が和平交渉での共通の目標であることを確認。1年以内に和平合意に達することが可能だとの認識で一致、次回交渉を9月14日~15日に中東で実施、以後は各週で定期的に開催することで合意。

 被爆65周年原水禁世界大会・国際会議は、「2010 NPT再検討会議を受けて―東北アジアをめぐる核状況と非核化」をテーマに、8月3日、広島市のアークホテルで、パネルディスカッション形式で開催されました。討論は、川崎哲さん(ピースボート共同代表)、中村桂子さん(ピースデポ事務局長)の二人をコーディネーターとして進められました。

「ヒバク国日本」が今ほど問われるときはない
 初めに、藤本泰成・原水禁大会事務局長がキーノートスピーチを行いました。そこでは、①崩壊の危機の中で開催された2010年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議は、不十分ながらも「合意文書」を採択したことによって、核廃絶社会への新たなスタートを切ったと評価。しかし米ロなど核兵器国が、核兵器廃絶への「行程表作成」に強く抵抗したことが示すように、核兵器保有国の核兵器への強い執着心も浮き彫りにされたことから、世界の核廃絶運動の一層の強化が重要。②中東非核化会議の2012年開催は、イスラエル、イランを含む中東全域での今後を左右するものとして評価。③韓国哨戒艦沈没をめぐり緊張が続く朝鮮半島について、韓国内では合同調査団の報告に多くの疑念が存在している。真相究明には時間がかかるが、それを待つことなく、6ヵ国協議再開を求めて行くことの重要性。④現在、日印政府間で協議が進んでいる「日印原子力協定」は、NPT体制を崩壊させかねない問題であり、強く反対すると提起しました。

東アジア非核化へ向けての熱い討論
 パネルディスカッションでは、米国・ピースアクション政策担当のポール・マーティンさんが「米核戦略と朝鮮半島の非核化」と題して報告。まずNPT再検討会議で合意文書が採択されたことを評価した上で、「核態勢の見直し(NPR)の中で、オバマ大統領は核兵器の役割を削減すると約束しているが、米ロ間の『新START条約』の調印はこうした考えに基づくものだ。議会保守派は新STARTに反対しているが、これは批准されるだろう。また朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の核問題は、軍事的というより、政治的な意味が強い。日本政府は6ヵ国協議を進展させ、米国に協議を継続するよう促すことができる立場にある。もっと積極的に行動すべきだ」と訴えました。
 韓国・参与連帯のイ・テホさんは「朝鮮半島の非核化から東北アジアの非核化へ―今求められること」と題して、東北アジアは核の脅威が解決されるか、さらに悪化するかの岐路にある。積極的な平和活動(先制平和行動)が今、東北アジアで最も求められていると訴えました。

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左からポール・マーティンさん、イ・テホさん、候紅育さん

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パネリストの議論に熱心に耳を傾ける参加者

 中国人民平和軍縮協会の候紅育さんは「中国から見た東北アジアの非核化」というテーマで、特に北朝鮮、韓国、日本が非核地帯化で合意し、それを中国、ロシア、アメリカが尊重する、いわゆるスリー+スリー(3+3)方式が最も望ましいと訴えました。
 日本からピースデポ特別顧問の梅林宏道さんは「NPT再検討会議の結果と東北アジアの非核化」と題する報告の中で、「核軍縮を進める包括的アプローチ」として、核兵器禁止条約と東北アジアの非核地帯化の必要性を指摘しました。また、討論の中で、元英国海軍将校のロバート・グリーンさんの「核抑止論は虚構である」との報告などもあり、参加者からの意見も含めて討議が進められました。これらの内容は、大会記録集に収録される予定です(10月発行・1,500円)。
 

広島・長崎に1万人を超える人々が結集
 被爆から65年目を迎えた8月4日から9日にかけて、広島・長崎で「核も戦争もない平和な21世紀に」をメインスローガンに、原水爆禁止世界大会を開催しました。参加者は、原水禁・連合・核禁会議の三団体の開会大会に広島6,800人、長崎4,500人が集まりました。
 8月5日の国際会議には、約100人が参加し、今年5月の核拡散防止条約(NPT)再検討会議をどのように受け止め、具体的な運動に結びつけるのかを問いました(内容は5ページ)。
分科会では、核兵器廃絶、ヒバクシャとの援護・連帯、脱原発の三つの課題を中心に議論しました。また、子どもたちの取り組みとして、「メッセージfromヒロシマ2010」には全国から約400人の子どもたちが集まり、高校生1万人署名運動も、炎天下で元気に署名活動や集会に取り組んでいました。

「核の傘」から離脱し、東北アジア非核地帯を
 NPT再検討会議の議論を受けて、核兵器廃絶に向けた具体的な動きをつくり出すために、これまで以上の原水禁・連合・核禁会議の三団体と平和市長会議との連携強化を進めていくことが確認されました。
 また、核密約問題が明らかになる中で、一部の政治家やマスコミなどによる非核三原則の2.5原則化(一時的寄港や通過を認めるなど)への動きに対して、非核三原則の法制化を提起しました。今後は法制化へ向けた議論や地方議会決議などの展開が求められています。
 日本とインドとの原子力協定の動きは、被爆国日本が率先してNPT体制を空洞化させるものであることも訴え、広島では大会特別決議も採択しました。これも今秋以降、締結反対の地方議会決議などの取り組みが求められています。
 さらに、東北アジアの平和と安全をどのように築きあげるのかが問われ、朝鮮民主主義人民共和国の核実験や韓国の哨戒艇沈没事件、米軍再編と普天間基地問題など、様々な不安定要因を抱える中で、東北アジア非核地帯構想を掲げました。米国の核の傘からの離脱を求めていくことが重要となる中で、菅直人首相の「核抑止力は必要」との発言は大きな問題です。

ヒバクシャ援護対策の充実と国際的な連帯を
 被爆者健康手帳の所持者は227,565人(2010年3月末)となり、高齢化が進む中で、生活や健康不安を抱えて暮らしており、残された課題の解決が急がれています。特に今大会では、長崎の被爆体験者へ被爆者健康手帳を交付させることや、在外被爆者の課題では、「被爆者はどこにいても被爆者」という立場から、現行の最高限度額を設定した助成制度に限定した制度を国内と同様にすること、さらに、これまで何の援護も受けていない在朝被爆者への援護を行うこと、被爆二世・三世の健康不安を軽減させるための健康診断の充実などが、今後の運動の課題として確認されました。
 また、アメリカの先住民のメニュエル・F・ピノさんが参加し、ウラン採掘における被曝の実態が報告されました。ウラン採掘に日本企業が関わっていることや原子力の商業利用の中での核被害の問題が明らかになり、今後の連携の強化が求められています

hiroshimasikiten.JPG広島の平和祈念式典にバン・キムン国連事務総長が出席(8月6日)

プルトニウム利用の破たんとエネルギー政策転換へ
 脱原発の課題では、プルトニウム利用政策の破たんとエネルギー政策の転換を訴えました。六ヶ所再処理工場が稼働できないでいる中で、もんじゅやプルサーマルが動き出しましたが、その先行は不透明なままです。大会では、プルトニウム利用路線の転換の必要性を明らかにし、各地での今秋以降の運動の強化が確認されました。
 さらに、エネルギー政策の転換を求める上で、自然エネルギーの積極的活用を訴え、エネルギー政策の転換を求める提言を原水禁としてまとめ、今秋からの国会での議論を進めることをめざしています。

「6ヵ国協議をできるだけ早く再開することで合意」したが、北朝鮮が韓国哨戒艦沈没事件の責任を認めていないとして、意見一致に至らず。

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