2010年4月アーカイブ

止めよう再処理! 共同行動ニュース4月号

もんじゅ運転再開に抗議する全国集会に500人

100418.jpg  1995年のナトリウム漏れ事故以来、停止している日本原子力研究開発機構(原子力機構)の高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の運転再開が間近に迫る中、運転再開に抗議する集会(主催/原水禁、原子力資料情報室、原子力発電に反対する福井県民会議など5団体)が、もんじゅの見える白木浜で開かれました。晴天の中、全国から、緊急の呼びかけににもかかわらず500名の仲間が結集しました。集会はミュージシャンの朴保(パク・ポウ)さんの軽快な歌ではじまり、その後、主催者を代表して、藤本泰成・原水禁国民会議事務局長から、「六ヶ所再処理工場は高レベルガラス固化施設もトラブルを起こし止まり、もんじゅもトラブルを起こし、高速増殖炉の先もない、核燃料サイクルシステムは破綻している」と訴えました。県民会議の小木曽美和子事務局長からも、「いま動かせば、必ず事故が起きてしまうのではないか」と指摘されました。元京大原子炉実験所の小林圭二さんからは、もんじゅの持つ危険性について訴えられました。集会は、申し入れ文を確認し、白木浜からもんじゅのゲート前までデモ行進をし、ゲートを挟んで原子力機構側と対峙しました。「もんじゅ運転再開をやめろ」の声を背に、申し入れを行いました。

 もんじゅは、08年2月の運転再開予定でしたが、ナトリウム漏えい検出器の施工ミスが発覚するなどのトラブルを起こし、これまで4度も運転再開が延期されてきました。そして、今年3月の年度内の運転再開が目論まれましたが、北陸新幹線の敦賀市までの伸延や電源三法交付金の拡充など地域振興策をバーターで県が求めていることもあり、年度内再開がズレ込み、いまも運転再開には至っていません。しかし、来月(5月)には再開が言われ、これからさらに強く抗議の声をあげなければなりません。さらに全国の声を国、県、事業者などへ集中してください。

核兵器廃絶にむけて660万筆の署名提出

  4月16日、首相官邸において原水禁・連合・核禁会議3団体の代表は、鳩山由紀夫首相に対し、「核兵器廃絶を求める1000万署名」として集めた6,660,569筆(1000万筆には届きませんでしたが)の署名を提出しました。3団体を代表して、古賀伸明連合会長が、来る5月から始まる核拡散防止条約(NPT)再検討会議で、被爆国日本の政府として核兵器廃絶に向けた積極的な姿勢を示すことを要請しました。鳩山首相は「核兵器を減らしていく努力を世界的にしていかなければならない。NPT再検討会議でも主張していく」と述べました。なお、この署名は、国連へも持参し、5月3日の総会の場で議長をつとめるフィリピンのカバクトゥラン国連大使に手渡す予定となっています。
 今も世界に、21,000~30,000発とも言われる核兵器が存在する中、核と人類は共存できないことをあらためて訴えていかなければなりません。

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左から、古賀連合会長、藤本泰成原水禁事務局長、鳩山首相、松井孝治官房副長官

■鳩山首相への要請書はこちら

 アメリカのオバマ大統領の登場により、これまで停滞していた核軍縮の流れが動き出そうとしています。昨年4月のプラハでの演説では、「核兵器のない世界」を訴え、それにあわせて国際的な核軍縮(廃絶)の機運が高まってきました。そのような背景の中、今年5月3日~28日かけて米・ニューヨークの国連で開催されるNPT再検討会議が開かれます。今後の核軍縮・不拡散の行方を左右するもので、核軍縮の流れをさらに押し進め、具体的に核保有国の核ゼロに向けた取り組みをどれだけ迫れるかが注目されるところです。
 このNPT再検討会議にむけて、原水禁をはじめ労働組合のナショナルセンターの連合、そして核兵器禁止平和建設国民会議(核禁会議)の三団体が呼びかけた「核兵器廃絶1000万署名」が昨年5月から展開されました。この署名には、広島と長崎の知事・市長をはじめ、歌手のさだまさしさんら、多数の方々が賛同する署名となりました。署名の中で、今回のNPT再検討会議で核兵器廃絶の道筋をつけることや、2020年までに核兵器を廃絶することを訴えました。

2010年4月16日

内閣総理大臣
鳩山 由紀夫 様

日本労働組合総連合会
会長  古賀 伸明
原水爆禁止日本国民会議
議長  川野 浩一
核兵器禁止平和建設国民会議
議長  丸尾 直美

要請書

 核兵器廃絶に向けた政府のご努力に深く敬意を表します。

 さて、私ども連合、原水禁、核禁会議の3団体は、核兵器廃絶と世界の恒久平和の実現に向けて今日まで国内外で様々な活動を続けてきました。

 1945年8月6日と9日、広島と長崎に原爆が投下されて両市あわせて21万人以上の尊い命が犠牲となりました。また、被爆された方々は国の内外で今なお原爆症で苦しめられています。現在、世界中には約2万1千発の核兵器が存在しているといわれています。人類と核兵器は決して共存できません。被爆65年の今年、改めてノーモアヒロシマ、ノーモアナガサキを世界に発信し、核兵器廃絶を訴えることは被爆国の責務といえます。

 とりわけ5月3日からはニューヨークの国連本部でNPT再検討会議が開催されます。3団体からも代表団70名をニューヨーク市へ派遣します。この再検討会議は、核兵器をなくすための重要な国際会議です。私たちは被爆国民の訴えをこの再検討会議に届けるために、核兵器廃絶に向けた全国的な署名活動を取り組んできました。署名の趣旨は別紙の通りです。政府におかれましては、この寄せられた国民の声をぜひとも各国政府とりわけ核兵器保有国に届けていただきたく、ここに申請申し上げます。

 なお、この署名の目録を3団体の代表が潘基文国連事務総長宛に提出いたします。

以上

第25回「4・9 反核燃の日全国集会」アピール

4・9反核燃の日全国集会に全国から1200人

100413-01.jpg 4月10日、25回目となる「反核燃の日全国集会」が、原水禁をはじめ再処理とめよう!青森県実行委員会など4団体の主催で青森市内の青い森公園で、全国から1200名が集まり開催されました。

青い森公園での集会
 集会では、主催者を代表して藤岡一昭原水禁副事務局長が挨拶に立ち、「もしこのまま10月本格稼働に強引につき進めば、大事故や大災害が発生しないとも限らない。絶対に稼働させてはならない」と訴えました。さらに地元青森からも「当初7600億円で完成させる予定が既に2兆2000億円もかかり、17回も完成時期が延期されいまだ完成していない」欠陥施設であること、「新たな活断層も指摘され再処理工場は危険である」ことなどが訴えられました。

市内デモ
 各地からは、再稼働を前にした「もんじゅ」を取り巻く状況が福井から報告されました。また女川原発のプルサーマル計画の動きについて宮城の仲間から報告がありました。集会は、集会アピールを採択し、青森市内を「六ヶ所再処理工場の稼働反対」と訴えながらデモをしました。

 その後、青森市市民文化会館で「全国交流集会」が300名の参加で開かれました。集会では、原子力資料情報室共同代表の西尾漠さんから「破綻するプルトニウム利用政策」と題して、再処理・もんじゅ・プルサーマルの現状とそれぞれの将来展望がまったくないことが明らかにされました。結局、再処理をしてもムダで危険なだけでしかないということでした。各地からは、幌延、大間、女川、福島、柏崎刈羽、もんじゅ(福井)、と報告がありました。中でも、大間原発の建設に対して、今年、集団訴訟を起こし、そのための原告・支援者への参加呼びかけがありました。各地の闘いと再処理を結びつけ、プルトニウム利用路線の破綻をさらに明らかにしていくことが確認されました。

六ヶ所再処理工場前集会
 翌日(4月11日)は、六ヶ所村の再処理工場正門前での抗議集会(約250名参加)を行い、村内をデモしました。

 なお、「反核燃の日全国集会」の前日(4月9日)、日本原燃及び青森県に対して申し入れを行いました。日本原燃は、担当者が不在(本当?)を理由として、話を聞き置くだけに終始し、企業としての説明責任を一切はたそうとしませんでした。青森県は、行政として県民の安全・安心のために事業者に対して積極的に関わるべきところ、積極的に何ひとつ自ら動こうという姿勢がみられませんでした。常に受け身で、これでは県自ら安全を確保しようとする姿勢が欠けているようでした。まさに業者のいいなり、といったところでした。

第25回「4・9 反核燃の日全国集会」アピール

「沖縄返還密約」認める

 東京地裁・杉原則彦裁判長が、元毎日新聞記者・西山太吉さん、作家の澤地久枝さんら原告25人の「沖縄返還密約」の存在を認め、国が文書の不存在を理由に開示しなかった処分を取り消し、開示を命じる判決。

 チェコ・プラハで、米ロ両国首脳が第一次戦略兵器削減条約(START-1)の後継条約「新START」条約に調印。7年以内に核弾頭数を1550に、運搬手段を800に削減。但し爆撃機は1機1弾頭と計算。

新START調印と核に関する今後の国際協議に向けた原水禁の見解

米国「核態勢の見直し(NPR)」発表に際して

 プラハ演説から1年、4月6日に米国の「核態勢の見直し(NPR)」が発表されました。消極的安全保証を宣言、核兵器の役割を縮小する、核の無い世界にむけた具体的な一歩です。核兵器の役割が基本的に核攻撃の抑止に限定されたこと、トマホーク退役が決定したことなど、日本からの働きかけも功を奏したものと思われます。核の無い世界に向けて、これからも紆余曲折が予想されますが、ようやく流れ始めた核軍縮の川が、核廃絶の海へ流れ着くよう、後押しを続けます。

 

米国「核態勢の見直し(NPR)」発表に際して原水禁の見解

2010年4月8日

原水爆禁止日本国民会議
事務局長 藤本泰成

 プラハで行われる新START(戦略核兵器削減条約)の調印式をひかえ、米国の「核態勢の見直し(NPR)」が6日に発表されました。プラハ演説から1年、核の無い世界にむけて、ようやく具体的な一歩を踏み出しました。NPT遵守という条件付きですが、米国として消極的安全保証 ─ 非核国を核で攻撃しない、を宣言し、核兵器の役割を縮小する方向を明確にしました。原水禁は、核廃絶の運動に取り組んできた立場から、今回のNPRを核廃絶への一歩として歓迎します。

 これまで米国政権内での議論がまとまらず、NPRの発表が延期されてきました。その原因と言われた、同盟国への核抑止の提供の問題に、今回一つの解決をみせたと言えます。日本の外交政策は、これまで核によらない攻撃に対しても米国の核抑止力を求めていました。日本からの要請を口実に戦術核の延命をはかる勢力が米国内でも一定の力をふるう中、新たな核弾頭の開発を廃止し核の数を減らす方向を示し、加えて「核兵器の基本的役割を核攻撃への抑止である」とした今回のNPRの内容は高く評価されます。

 しかし、ロシアとの新戦略兵器削減条約(新START)や包括的核実験防止条約(CTBT)の議会批准を見据えたとはいえ、保守派への配慮から核兵器維持管理・核開発施設強化、ミサイル防衛の拡大などが盛り込まれ、全体としてNPRの内容が後退したことは遺憾であると言わざるを得ません。

 この間、原水禁は、旧来の通常兵器による攻撃にも核抑止力を求める政策を問題にし、国際的な核兵器廃絶運動に取り組む専門家を招聘するなど、核拡散核軍縮に関する国際委員会(ICNND)や政府への働きかけ等を通じて、「核の先制不使用」やそれにつながる「核の唯一の役割宣言」を求めることに取り組んできました。新政権の鳩山由紀夫首相・岡田克也外相ともに、核兵器廃絶への姿勢を明確にし、特に岡田外相は先制不使用の考えを支持し、米国へ核付きトマホークの延命を求めない書簡を送付するなど、日本外交としては画期的な動きを示してきました。11月のオバマ大統領の初来日時には、原水禁としても核付きトマホークの廃棄や「核兵器の唯一の役割宣言」を求める書簡を送りました。2月には民主党を中心に204人の超党派議員が連名で、同様の要請書簡をオバマ大統領に送る等、様々なレベルでのとりくみが行われてきました。

 今回、核の役割が縮小されたことやトマホーク退役が決定したことは、日本からの働きかけの成果であるとも言えます。

 4月8日の新START調印、12-13日の核セキュリティー・サミット、5月のNPT再検討会議と核問題に関する重要な舞台が続きます。パン・ギムン国連事務総長はNPRに消極的安全保証が含まれたことを高く評価し、核保有国に対し、すべての核兵器を廃棄するよう促すと発言しています。原水禁は、核軍縮への流れを止めることなく「核と人類は共存できない」という基本姿勢を堅持し、とりくみを強化していくものとします。

タイのアピシット内閣が非常事態宣言

米政府が「核態勢の見直し」(NPR)発表

MOX燃料の2回目の製造開始を発表

 関西電力が福井県の高浜原発3、4号機のプルサーマル計画で使用する、MOX燃料の2回目の製造が、仏シュスランのメロックス社工場で始まったと発表。3号機用20体、4号機用16体の計36体を製造。

「名張ぶどう酒事件」で審理の差し戻し決定

 1961年、三重県名張市で女性5人が死亡、12人が中毒症状になった「名張ぶどう酒事件」で、最高裁第3小法廷は、死刑が確定した奥西勝死刑囚の再審開始決定を取り消した名古屋高裁決定を取り消した名古屋高裁決定を取り消し、審理を高裁に差し戻す決定を行う。

S300は航空機や巡航ミサイルを対象とし、米古訓パトリオットミサイルに匹敵するといわれている。射程は150キロ、契約額は約20億ドルと推測。

 中国電力は、3月30日に島根原発1号機及び2号機で123件の「点検漏れ」があったと発表しました。すでに中国電力は2007年にも同原発の非常用発電ディーゼルの故障時に他の系統が作動可能か確認を怠るなど保安規定違反があったとして、原子力安全・保安院から行政処分を受けていました。

 その再発防止に取り組んでいる中で、またもや大量の「点検漏れ」の発覚は、中国電力に原発を安全に運転していく能力と姿勢が欠如していることをあらためて示すものです。

 その数も、123件もの大量の数でした。これは単なる記入「漏れ」や連絡ミスにだけで済まされるものではありません。これまで「データ改ざん」・「事故隠し」を繰り返してきた企業体質・業界体質がいまだ改善されていないことがあらためて示されたといえます。原水禁は原因の徹底究明を求めます。

 今回の「点検漏れ」の機器の中には、重要な部分も含まれ、それを重く見た原子力安全・保安院は、国内で初めて運転停止を求めました。原発の安全にとって、重要な機器の「点検漏れ」はそのまま重大な事故に直結するもので、許されるものではありません。

 さらに、今回の「点検漏れ」は、昨年から分かっていたにもかかわらず、今回の発表まで伏せられていたことも問題です。昨年、中国電力は上関原発建設に向けて、原子炉設置許可申請や工事用ブイの設置などを強行してきました。上関原発の建設に世論の注目が集まる中、今回の点検漏れを隠し続けたのは、世論からの批判を回避しようとするものであったと言わざるを得ません。島根原発が全号機止まっても電力は賄えることは、上関に原発をあえて造る必要はないことを示しています。安全を軽視する中国電力は、現在計画されている上関原発を建設する資格もありません。即時建設中止を求めるものです。

 また、同日、四国電力は、伊方原発3号機でプルサーマルの営業運転を開始しました。島根原発の「点検漏れ」と同様、安全性を大きく阻害するプルサーマル計画の推進に対して、強く抗議します。MOX燃料の使用は、使用済み燃料の行方や最終処分の問題などを残したままの見切り発車的運転と言えます。MOX燃料は、通常の核燃料より数倍のコストがかかり、さらに、原子炉の制御が困難で危険性の高いプルサーマル計画の実施は、多くの問題をかかえています。課題を先送りした強硬実施は、企業としての責任が問われます。すでに破綻している国のプルトニウム利用から、四国電力は早急に撤退することを強く求めます。

原水爆禁止日本国民会議 議長 川野浩一

 

ニュースペーパー2010年4月号

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